KNB北日本放送

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アメリカ大統領選挙で共和党のトランプ前大統領が勝利し、4年ぶりに返り咲くことになりました。

「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ前大統領は、自国内の製造業を保護するため、輸入品に対する関税を引き上げる方針を示しています。

今後の影響をどうみるか、富山県内の経営者や専門家に聞きました。

自動車の車体製造ラインの設計や製作などを手掛ける小矢部精機です。輸出製品の半分ほどを北米向けが占めています。

小矢部精機 藤田淳二社長
「率直に言えば前向きに受け止めているのが本音」

大統領選で勝利したトランプ前大統領は、自国の経済の立て直しを最優先とする「アメリカファースト」を掲げて支持を集めました。

日本を含む外国から輸入される製品に対し、10パーセントから20パーセントの追加関税をかける方針を示しています。

自動車産業を中心に、日本企業が打撃を受け経済に混乱が生じる可能性を指摘する声もありますが、藤田社長は関税によるマイナス面よりも、アメリカの経済が上向くことによる”プラスの効果”を期待したいと話します。

小矢部精機 藤田淳二社長
「日本の自動車メーカーにとってはマイナス面になりますし、設備投資意欲が下がるという意味では、関税20パーセントかけるというのは懸念される材料かなと思います。一方で(アメリカ国内の)景気は間違いなく上向いていく。イコールそれはアメリカで車の販売が好調になることも考えられますし、そうすると自動車の生産設備も今よりも必要になってくる。北米市場を以前よりも大きくとらえて、舵を切っていきたいと思っています」

県内経済に詳しい専門家は、関税やエネルギー問題における今後の影響に注目しています。

北陸経済研究所 倉嶋英二総括研究員
「富山県、北陸全体で輸出依存度が高いのが化学工業。それから機械産業、このあたりが関税の影響で業績が若干停滞する可能性はあるかなと。脱炭素の動きは後退するだろうと予想される。そうすると、エネルギーの供給制約が若干少なくなっていくだろうと、そうするとプラスに作用する可能性はある」

トランプ前大統領が当選確実となってから、円安に大きく振れた為替の動きについては。

小矢部精機 藤田淳二社長
「円安になれば輸出産業いいじゃないかと言われるんですけども、日本って輸出大国でありながら輸入大国でもあるという、私たちもエネルギー、またいろいろな部品を海外から取り寄せているものですから、円安があまりにも進むと、今みたいにここまで進むと、どちらかというとマイナス面の方が大きくなりつつあるので」

アメリカファーストの政策により今後、どのような影響が出るのか。

倉嶋総括研究員はトランプ前大統領の「政策の矛盾」の影響について慎重に見定めたいと話します。

北陸経済研究所 倉嶋英二総括研究員
「具体的な政策の中身を見ていくと減税、支出の拡大、財政出動ですね。需要を喚起する政策がみられる。移民の抑制、これを進めた結果、移民の安い賃金で成り立っていた職業が人手不足になってしまう可能性がある。アメリカのインフレを抑制と言いながら、インフレが発生するといった矛盾した状態が起きる可能性がある」