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優れた最新中国製モデル

中国車の進化のスピードは、前例がない。25年前、中国は「ルバオCA6410」のようなモデルを生産していた。これは、実質的にはオースチン・モンテゴのフロントエンドにオースティン・マエストロのリアエンドを組み合わせ、トヨタのエンジンを搭載したものだった。

【画像】日本にもいつかやってくるかも? 高性能な中国EV【MG 4、ニオET5、シャオペンP7を写真で見る】 全42枚

しかし今日、数十年にわたる経済成長、模倣品の創出、そして電気自動車(EV)への集中により、中国車は業界トップクラスにまで成長した。


成長いちじるしい中国製EVから最良の10台をピックアップ。

安価でありながら信頼性も上昇傾向にあり、また、中国製の最新EVはエネルギー消費効率の高さでも上位にランクインしている。

価格重視の実用主義ばかりではない。インテリアの質感や運転の楽しさという点でも、欧州や日本、韓国のメーカーに追いつきつつある。

ここでは、母国を飛び出して激戦区の欧州で闘っている(または発売間近の)数多くの中国メーカーの中から、AUTOCAR英国編集部が選んだおすすめのモデルを紹介する。

MG 4

英国由来のブランドで、今は上海汽車(SAIC)の傘下にあるMGを大きく変えたモデル。長期保証付きの安価だが退屈なブランドから、注目に値するブランドへと(再び)変貌させた。

MG 4はシンプルに素晴らしいクルマであり、特別な表現や説明は必要としない。鍵となるのは、運転のしやすさである。スムーズな走りと、安心感のある強力なブレーキ、コーナリングでちょっとした楽しみをもたらす後輪駆動プラットフォームを備えている。


MG 4

インテリアも合理的で、優れたレイアウトを採用。エアコンの温度調整などの操作性はフォルクスワーゲンID.3よりも良い。実走行テストでは、市販EVの中でもかなり上位に入る効率性が確認できた。

ツインモーター四輪駆動のホットハッチ仕様「MG 4 XPower」も販売されている。トラクションとパワーが追加されているにもかかわらず、それほど楽しいものではない。しかし、4万ポンド(約760万円)以下で合計出力435psを誇るクルマは他にほとんどない。

ニオET5

ニオ(NIO)は2025年末までに25の市場で販売開始する計画で、英国にも右ハンドル車が導入される見込みだ。

同社のバッテリー交換技術は有名で、5分以内に消耗したバッテリーを新しいものと交換することができる。


ニオET5

ET5は、欧州向けに特別に開発されたニオ初のモデルである。小型の高級車市場をターゲットとしているため、ライバルにはBMW i4やテスラ・モデル3などが挙げられる。

興味深いことに、ステーションワゴンタイプの「ET5ツーリング」も販売される。このクラスではまだ珍しい電動ワゴンとして、存在感を際立たせるだろう。

欧州では75kWhと100kWhの2種類のバッテリーが用意される。100kWhモデルの航続距離は最長560kmとされているが、AUTOCARのテストでは520kmだった。

乗り心地は最高だ。油圧ダンパー付きの5リンク・サスペンションは、急な負荷にも対応できるため、500ps近い出力も扱いやすい。

ニオET7

ET7は全長5.1mのフラッグシップモデルで、メルセデス・ベンツEQSやBMW i7に対抗するべく設計された高級電動セダンである。

中国では、航続距離約1000kmの半固体電池を搭載したET7が販売されている。欧州市場への導入はまだ確認されていないが、現時点では75kWhと100kWhのバッテリー(標準タイプ)があり、航続距離はそれぞれ444kmと580kmだ。


ニオET7

2基の電気モーターにより、合計出力653psを発生。フロントに245ps、後輪に408psが配分されるリアバイアスの設計だ。0-100km/h加速は4.0秒未満を誇る。しかし、リアモーターの使用を極力抑える最も効率的な走行モードでは、約13.0秒かかる。

インテリアはソフトタッチ素材を多用し、12.3インチの大型タッチスクリーンとレターボックス型のインストゥルメント・ディスプレイを備えている。

標準装備のエアサスペンションがプレミアム感をさらに高めている。カメラ画像とセンサーを使用して前方の道路を「監視」し、調整を行う。メルセデス・ベンツやBMWのフラッグシップモデルと互角に戦えるレベルの落ち着きを感じる。

シャオペンP7

シャオペン(Xpeng)は2021年にひっそりと欧州に進出し、徐々に販売エリアを拡大している。このP7は、テスラ・モデル3に対抗するEVだ。

P7はテスラの戦略から多くを学んでいる。後輪駆動と四輪駆動のバリエーションを持つセダンで、複数サイズのバッテリーと出力が用意されている。最高峰は合計出力472psと576kmの航続距離を誇る「パフォーマンス」仕様である。


シャオペンP7

重要なのは数字だけではない。ステアリングは、一部の新興ブランドには欠けているなめらかさがあり、ハンマーのような力強い電気トルクで楽々と加速できる。

車内スペース(特に後部座席)は十分すぎるほど広く、インフォテインメント・システムのソフトウェアは業界最高水準だ。

ジーカーX

ジーカー(Zeekr)Xはドイツ人がデザインし、スウェーデンで設計され、中国で生産されている電動クロスオーバーだ。

最高出力272psのシングルモーター後輪駆動モデルと合計出力428psのツインモーター四輪駆動モデルの2つのバリエーションがある。親会社である吉利汽車グループのSEA EVプラットフォームを使用しており、ボルボEX30とは兄弟車ということになる。


ジーカーX

ボルボと同様、直線加速では圧倒的な速さを発揮するが、ゆったりとした乗り心地は街乗りに適している。そして、これもボルボと同じだが、ほぼすべての操作を14.6インチのタッチスクリーンで行う。

物理的なボタンで操作したい方にとっては、非常にフラストレーションが溜まるだろう。しかし、後部座席のスペースが広く、トランクもそこそこの大きさ(362L)なので、小型のファミリーカーとしては十分だ。

MG 5

EVのステーションワゴンはまだあまり多くない。ポルシェのタイカン・クロスツーリスモは、ステーションワゴンと呼ばれることを望んでいないようだし、最近登場したBMW i5ツーリングやフォルクスワーゲンID.7ツアラーなども高価だ。

前述したニオET5ツーリングも、本格的な販売が始まるのはこれからだ。そのため、今のところはMG 5が独自の市場を占めていると言えるだろう。容量479Lのトランクと、ロングレンジ仕様では公式航続距離400kmを誇り、合理的で実用的、無駄のないドライブにぴったりである。


MG 5

特に英国では販売チャート上位の常連であり、ロンドン中心部を歩いていると、その効率性とコストパフォーマンスの高さを活かしてUberのタクシーとして活躍するMG 5をよく見かける。

BYDアット3

BYDという名前も徐々に浸透してきた。まだ聞き覚えがない人も多いかもしれないが、インターネットをよく使う人なら聞いたことがあるだろう。

革新性と販売台数でトップクラスのメーカーだが、欧州の乗用車市場に参入したのはつい最近のことだ。


BYDアット3

その急先鋒がアット3である。タッチスクリーンを軽く指で押すだけで縦画面から横画面に切り替わる機能には、多くの人が魅了された。また、ギターの弦に着想を得たスピーカーデザインも注目された。しかし、はっきり言って、これらはあまり機能的なものではない。

ギミックに目を奪われずに冷静になってみると、広々としたよく考えられた電動SUVであることが分かる。実走行では約320kmの距離を簡単に走行でき、4年間/7万4500マイル(12万km)の保証と、8年間/12万4000マイル(20万km)のバッテリー保証がそれぞれ付いているのも心強い。

アイウェイズU5

これもまた、聞いたことのないブランドかもしれない。しかし、アイウェイズ(Aiways)は2017年の創業以来、飛躍的に成長してきた。

シンプルな設計・生産を誇りとしており、実車を見てもそれは認めざるを得ない。


アイウェイズU5

例えば、ナビゲーション・システムは搭載されていない。その代わりに、スマートフォンのミラーリング機能を用意している。スマートフォンの優れたソフトウェアを有効活用してくれということなのだろう。

走りはやや平凡で、特徴に欠けるものの、リラックスできる。柔らかいスプリングのサスペンションは道路の凹凸をうまく吸収するが、最高出力204ps程度ではテスラファンの心を掴んでモデルYから乗り換えてもらうことはできないだろう。

BYDドルフィン

BYDは、ドルフィンが電動ハッチバックのクラスにおいて大きな話題を呼ぶと期待している。

サイズ的には、オペル・コルサ・エレクトリック(Bセグメント)とフォルクスワーゲンID.3(Cセグメント)の中間に位置するが、両車よりも手頃な価格となっている。


BYDドルフィン

エントリーグレードの「アクティブ」は最高出力95psと非力だが、小さなバッテリーで340km(公称値)を走れる。中間グレードの「ブースト」は最高出力176psにパワーアップし、「コンフォート」グレードと「デザイン」グレードは最高出力204ps、60.4kWhのバッテリーを搭載し、公式航続距離は最長426kmに達する。

つまり、ほぼ全てのユーザーのニーズを満たす仕様があるということだ。

ドルフィンはアット3と多くの機械部品を共有しており、予想通り、この2台は運転感覚がよく似ている。確かに快適ではあるが、驚くほどのレベルではない。

GWMオラ3

かつて欧州でピックアップトラックのスティード(別名:ウィングル)を販売していた長城汽車(GWM)が、トレンドの小型EVを発売した。

紛らわしいことに発売当初は「オラ・ファンキー・キャット」という名称だったが、その後改名し、GWMオラ3と呼ばれるようになった。奇抜なネーミングだっただけに少し残念。


GWMオラ3

さて、GWMオラ03は、フィアット500やオペル・コルサ・エレクトリックに対抗するモデルであり、48kWhのバッテリーを搭載し、実走行で約240kmの走行が可能である。

正直に言えば、フィアットやオペルほど考え抜かれたクルマではありませんが、安価でありながら車内は広く、十分に使える1台となっている。

(翻訳者あとがき:「価格」はEVの購入障壁の1つと言われています。中国製EVは比較的安価ですが、欧州連合による追加関税の影響がどこまで広がっていくか、今後注目です。各メーカーの戦略も多種多様で面白い。AUTOCAR英国編集部は、多少の “英国贔屓” もあるかもしれませんが、MGをやたら高く評価しています。皆さんはどのEVがお好きですか?)