10位で予選を通過し、うれし涙を流す順大の選手たち(右は今井コーチ=カメラ・中島 傑)

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◆報知新聞社後援 第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)予選会(19日、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地スタート〜立川市街地〜国営昭和記念公園ゴール=21・0975キロ)

 順大が11時間1分25秒の10位ギリギリで通過し、14年連続66回目の出場を果たした。11位の東農大とは06年予選会の国士舘大と拓大に並ぶ歴代最小差の1秒。歴代4位の11度の箱根駅伝優勝を誇る伝統校が、チーム一丸となって異例の夏日決戦となった予選会を辛くも突破した。

 伝統のなす紺のユニホームが1秒に笑った。「第10位、順天堂大学」と結果が発表された瞬間、「もう感情が複雑すぎて自分でもよくわかんない」と就任9年目の長門俊介監督(40)の目から涙があふれた。11位東農大とわずか1秒差。最後の本大会切符を死守し「ずっと『1秒が大事だ』と(選手に)話してきたのでほっとした」と安どした。その一方で「割合でいうと悔しさが6割。全体的にはまだまだ出せたはず」と課題も口にした。

 今年の箱根駅伝は17位で4大会ぶりにシード権を逃すと、6月の全日本大学駅伝予選会では17位でまさかの予選落ち。一体感が欠けていると感じた服部壮馬主将(4年)は、普段やらない部員全員でのミーティングをその週に敢行。声がけや練習への意識などの意見を厳しくぶつけ合うことで結束力を取り戻し、部全体が再び同じ方向へ向いた。

 元祖“山の神”が1秒差の原動力となった。箱根駅伝5区で3年連続区間新記録を更新した、OBの今井正人氏(40)が4月からコーチに就任。豊富な経験に裏打ちされた調整方法やレース前の心構えなどを選手たちに伝授。この日、個人98位で通過に貢献した吉岡大翔(2年)も「自分の中になかった新たな視点が得られるのが大きい」と感謝する。今井コーチも「現役時代は1秒、1歩を大切にしてきた。初めての予選会だったが、選手の執念を感じた」とうなずいた。

 「今年のスローガンは下克上。20番目のチームだが、シードだけでなく5位以内を狙いながら戦っていきたい」と長門監督。来年1月、名門が箱根路で完全復活を遂げる。(浅岡 諒祐)

 ◆箱根駅伝予選会での僅差明暗 2006年、拓大が9位の国士舘大に1秒及ばず、次点に泣いた。当時は、関東インカレの結果や出場人数などによるポイントで、予選会のタイムが減算された。予選会のタイム順で7位だった拓大は10秒の減算にとどまり、2分25秒減算された城西大、1分55秒の大東大、3分50秒の国士舘大に抜かれ、10位に転落。1秒差の次点となった。この選考は02〜12年の予選会で採用され、拓大は03年大会でも国士舘大に4秒差の逆転を許し、予選会敗退した。