【男性育休取得】過去最高33.4%も…復帰時「気まずさ」4割超、大企業と中小の差も浮き彫りに「育休取得が仕事に好影響」価値観大切

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男性の育休取得率と平均取得日数が発表され、いずれも過去最高を記録した。しかし、大企業では取得率が高いが、中小企業では3割以下に留まっている。専門家は、育休取得者の体験を共有し、キャリアや職場に良い影響があることを認識させることが重要だと指摘している。

男性育休取得が過去最高も復帰時に不安

育休が明けて復帰した職場で、4割以上の人が気まずさを感じていた。

明治安田生命保険が実施した「子育てに関するアンケート調査」によると、働く男性のうち、育休を取得できていない人は、依然、半数以上を占めているものの、取得した人の割合は、2023年に比べて2.6ポイント増えて33.4%、平均取得日数も1日伸びて42日となり、それぞれ過去最高を更新した。

ただ、企業規模で分けると、大企業で働く約半数が育休を取得しているのに対し、中小企業は、3割以下に留まっている。

育休を取得できなかった理由については、「金銭面」や「職場に戻る際の周囲の雰囲気」などに不安を抱く人が多い結果になった。

さらに、育休を取得した人も、職場に対する居心地の悪さを感じており、復帰した41.5%が「気まずく感じた」と回答した。このうち、「気兼ねなく育休を取得」するために、企業に何を求めるかを聞くと、最も多かったのは「人員の補充」で24.7%だった。

明治安田生命保険は、「政府が掲げる2025年に男性育休取得50%を達成するためにも、大企業のさらなる育休取得促進に向けた取組みに加え、中小企業の職場理解を深めていくことも重要」だと分析している。

育休が仕事に与える良い影響を経験共有

「Live News α」では、日本総合研究所・チーフスペシャリストの村上芽(めぐむ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
今回の調査結果、どのようにご覧になりますか。

日本総合研究所 チーフスペシャリスト・村上芽さん:
今回の調査結果で良かった点は、育児休業の取得率も、平均取得日数も、過去最高だということです。実際に数字が上がってくることが、まずは大事です。

育休の取得については、大企業と中小企業の差がよく指摘されますが、30人前後の企業でも、しっかり取れている場合もあります。つまり、企業規模の違いだけではないということです。

企業によって、どの年齢層が多いかや、男女比がどうかなどの人員構成、さらには経営者の価値観や、企業風土も影響していると考えられます。

堤キャスター:
男性の育休取得を広げていくために、どういったアプローチが考えられるのでしょうか。

日本総合研究所 チーフスペシャリスト・村上芽さん:
実際に取得者が出始めた企業や部署では、ぜひ経験者の話から、仕事へのいい影響を見つけて、それを共有していただきたいと思います。

育休を躊躇する理由として、キャリアへの影響を考える人もいるようですが、「育休を取ることが、仕事にもいい影響を与える」そういう風に考えることができると良いと思います。

例えば、家庭生活に関係するビジネスは多いですよね。育休中の気付きなどを業務に生かしたり、休暇明けにはオンラインツールをうまく使いこなせるようになっているなど、様々な可能性があります。

気兼ね解消に子育て世代へ柔軟な制度を

堤キャスター:
育休を取得することへの「気兼ね」についても、変えてゆく必要がありそうですね。

日本総合研究所 チーフスペシャリスト・村上芽さん:
周囲に気を遣わずに済むようにするための方策として、子どもが大きくなっているお父さん世代に対しても、休暇を取りやすくするメニューを導入することも考えられます。

1時間単位で休暇を取れるようになったので、ちょっと早く仕事を終えて、大きくなった子と駅で合流してスポーツ観戦をしやすくなった、という話を聞いたことがあります。乳幼児期以外にも子育ては続きますので、色々な工夫ができると思います。

堤キャスター:
親には子どもを育てる責任があります。そのためには、育休を取得することはもちろん、周囲が子育てへの理解と支援を深めて、環境を整えることが大切なように思います。
(「Live News α」10月17日放送分より)