アメリカの連邦取引委員会(FTC)は、消費者が有料のサブスクライブプランやメンバーシップを簡単に解約できるようにする「クリックで解約(Click-to-Cancel)」の最終規則を2024年10月16日(水)に発表しました。この規則は、連邦官報に掲載されてから180日後に発効します。

Federal Trade Commission Announces Final “Click-to-Cancel” Rule Making It Easier for Consumers to End Recurring Subscriptions and Memberships | Federal Trade Commission

https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2024/10/federal-trade-commission-announces-final-click-cancel-rule-making-it-easier-consumers-end-recurring



Negative Option Rule: Final Rule | Federal Trade Commission

https://www.ftc.gov/legal-library/browse/federal-register-notices/negative-option-rule-final-rule

オンラインのデジタルサービスが普及すると共に、製品を買い切りではなく月額あるいは年額有料のサブスクリプションで提供するケースが増えています。しかし、こうした有料のサブスクリプションは、契約は簡単にできる一方で解約手続きが非常に複雑で、簡単に解約できないという苦情の声が消費者側から上がっています。

例えば、Creative Cloudという形で有料サブスクリプションのプランを複数提供するAdobeは、サブスクリプションの解約方法が消費者にとって非常に分かりづらいのは詐欺的であるとして、2024年6月にFTCから提訴されています。

「Adobeのサブスクリプション解約手続きは難しすぎて詐欺的」と連邦取引委員会がAdobeを提訴 - GIGAZINE



今回発表された最終規則は、バイデン政権の主導で2024年8月頃から進められていた規則の見直しによるものです。

サブスクの解約をもっと簡単にすることを義務づける規則を連邦取引委員会が提示 - GIGAZINE



FTCは「企業が自社の製品やサービスに消費者を登録することがかつてないほど容易になっているデジタル化が進んだエコシステムにおいて、サブスクリプションやメンバーシップ、その他の定期支払いプログラムに関連する不公平で欺瞞的な慣行に対抗するためにこの規則を近代化しています」と述べています。

最終規則では、サブスクリプションやメンバーシップを含むネガティブオプションについて、以下の行為が禁止されます。

・ネガティブオプションを備えた商品およびサービスを販売する際に重要な事実を偽って伝えること。

・ネガティブオプションに関連して消費者の請求情報を取得する前に重要な条件を明確かつ目立つように開示しないこと。

・ネガティブオプションについて請求する前に消費者から明示的な同意を得ないこと。

・ネガティブオプションをキャンセルして課金をただちに停止するための簡単なメカニズムを提供しないこと。



最終規則は、FTC委員の投票によって3対2で可決されました。反対票を投じたメリッサ・ホリーオーク委員は「『不公平で欺瞞的な慣行』が具体的に定義されていないため、この最終規則は法的要件を満たしておらず、消費者や競争に害を及ぼす可能性がある」と主張する(PDFファイル)声明を発表しています。

FTCのリナ・カーン委員長は「サブスクリプションを解約するためだけなのに、企業は消費者に果てしない手続きを踏ませることが多すぎます。FTCの規則はこうした策略や罠をなくし、アメリカ人の時間とお金を節約させます。誰も、もう必要のないサービスに支払いを強いられるべきではありません」とコメントしています。