牛丼100円引きセールでにぎわう吉野家の店舗(9日、東京都千代田区で)

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 大手牛丼チェーン3社が、いずれも「並盛」が300円台となる大幅な値引きを期間限定で始めた。

 かつて「デフレの申し子」と呼ばれた牛丼も、近年は原材料高などで値上げが相次ぐ。各社は割引を通じ、値上げで離れた客足の回復と、新規客の開拓を目指す。

 吉野家は9日、牛丼を100円値引きする1週間のキャンペーンを始めた。通常498円(店内飲食・税込み、以下同じ)の並盛が398円となる。こうした割引企画は2011年以来、13年ぶりという。

 東京都千代田区の有楽町店では9日、ランチタイムを過ぎても客足が途切れなかった。数年ぶりに訪れたという都内の会社員女性(23)は、「SNSで知った。100円引きは大きい」と話していた。

 松屋は8日から15日まで、すき家も9日から16日朝まで、値引きクーポンを公式アプリなどで配る。松屋の牛めし並盛は通常430円が380円に、すき家の牛丼並盛は通常430円が350円になる。

 各社は近年、物価高や円安を受けて値上げを強いられてきた。吉野家は21年以降、4年連続で値上げを実施し、今年7月の値上げで並盛が498円になった。19年(387円)から比べると、111円値上がりしている。

 関係者は、「値上げが客足にも影響している」とみる。各社は割引キャンペーンで注目を集め、値上げによって離れた客を取り戻し、新たな客層を引き寄せる考えだ。

 牛丼各社は10年代前半、主要原材料の米国産牛肉円高などで安く調達できたため、激しい値下げ競争を繰り広げた。吉野家では並盛280円まで下がったこともあり、デフレを象徴する存在となった。