演出・生田大和(宝塚歌劇団)×主演・小瀧望 ミュージカル『DEATH TAKES A HOLIDAY』開幕

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演出・生田大和(宝塚歌劇団)、主演・小瀧望で贈るミュージカル『DEATH TAKES A HOLIDAY』が2024年9月28日(土)に開幕。27日(金)にはゲネプロ取材会が開催され、小瀧望、山下リオ、美園さくら、潤色・演出の生田大和が登壇し、初日に向けた意気込みを語った。取材会のオフィシャルレポートならびに、舞台写真が到着した。

イタリアの劇作家、アルバート・カゼッラによる戯曲『La morte in vacanza』(1924)に基づき、ウォルター・フェリスが1929年に『Death Takes A Holiday』として英語で戯曲化した本作は、1934年にフレドリック・マーチ主演で映画化(邦題:明日なき抱擁)、1998年にはブラッド・ピット主演で『ミート・ジョー・ブラック(邦題:ジョー・ブラックをよろしく)』としてリメイクされた作品。
オフ・ブロードウェイミュージカル版は、『TITANIC』で成功を収めたピーター・ストーン(脚本)とモーリー・イェストン(作詞・作曲)のコンビにより産み出され(2003年ピーター没後、トーマス・ミーハンが執筆を継承)、オフ・ブロードウェイで2011年6月~9月に初演、その後2017年1月~3月にはオフ・ウエストエンドのチャリングクロス劇場で上演された。日本では2023年に宝塚版が上演され、大きな話題を呼んだ。

今回の上演では「WEST.」のメンバーとして活躍するのみならず、2021年には舞台『エレファント・マン』での演技が評価され、第28回読売演劇大賞の杉村春子賞を受賞した小瀧を主演に迎えて、ファンタジックな物語を綴る。
一人孤独に、死せる魂を導き続けることに疲れた死神(小瀧)がランベルティ公爵一家で二日間の休暇を過ごすという本作。耳馴染みがよく、美しい旋律が心地よい楽曲が全編にわたって続き、ファンタジックでミステリアスな空気が漂っていた。随所で展開するダンスナンバーはいずれも華やか。特に小瀧が演じるサーキ王子が踊るタップダンスのナンバーは見ものだ。パリの幻を見ながら踊るこのナンバーは、ステージ全体を使った華麗なダンスに心が躍る。また、豪華な衣裳も目を惹く。 死神が(サーキとして)公爵一家との関わりの中で「生きる意味」や「命」を見つけていくと書くと、重厚なストーリーを想像されるかもしれないが、しっかりとそのテーマを根底に持ちながらも、ロマンスと笑いに溢れた極上のエンターテインメントに仕上がっていた。

ゲネプロ後に行われた取材会で、小瀧は「過去いちでいっぱいいっぱい」と話しながらも、「ファンタジーですが、魅力が詰め込まれているミュージカルです。なので、この作品を最後まで走りきるのは大変だと思いますが、必ず達成感と得るものがあると確信しているので、最後までこのカンパニーで走り抜けたいと改めて強く思いました」と意気込んだ。

ヒロインのグラツィア役をWキャストで演じる山下は「ミュージカルが10年ぶりなので、私もいっぱいいっぱいで、小瀧さんを支えるような余裕もない状況です。この作品の楽曲はとても難しいですが、だからこそこんなに美しい旋律があり、物語にぴったりだと思います。今後もっと音楽と仲良くなり、この役をこのチームで楽しく駆け抜けられたらいいなと思います」と挨拶。

同じくグラツィア役の美園は、「私にとっても宝塚歌劇団を退団してから3年ぶりの舞台で、お稽古が始まる前から緊張していましたが、その緊張感が未だにあります。どうなっていくのかなと自分自身に対する不安もありますが、小瀧さんがドンと構えて受け止めてくださるので安心感を感じさせていただいております」と想いを語った。

宝塚歌劇団でも2023年に上演された本作。宝塚版との違いを聞かれると、生田は「本質の部分では大きな違いはないと思っています。この物語が持っているエンターテインメント性、あるいはファンタジー性、そしてラブコメディ的要素、人生の素晴らしさという最終的にたどり着くメッセージというのは変わらないですが、今回のバージョンを作るにあたって、各役柄のキャラクター性というよりは、役者さんたちの持っている人間性を深めて稽古を進めていければいいなと思って取り組んでまいりました」と振り返る。そして、「サーキという人が各部屋の中でそれぞれの人生のそれぞれの要素を学んでいく。その部屋からの広がりを一つひとつ丁寧に作っていけたらと思って作りました」と明かした。

また本作の見せ場の一つでもあるタップダンスについて、小瀧は「宝塚版の映像を観させていただいて、やるんだなと思っては思っていました。観ているとできそうかもと思うんですが、やってみるととにかく難しくて。タップ稽古初日に絶望しました」と苦笑いを浮かべた。練習をスタートしたのは、今年の7月初旬。「なかなか回数を重ねることができなかったんですが、1回に2時間くらい集中して練習して。最初は足も痛かった」と当時を振り返りつつ、「振付の先生方にも助けてもらいながら楽しく頑張りました」と話した。

取材会の最後には、小瀧から改めて「今作は、僕としても挑戦がテーマと言っても過言ではないくらい、いろいろなことに挑戦しています。役者はみんな(作り上げることに)苦しんでいますが、歌も素晴らしく、素敵な楽曲ばかりで音に酔いしれる時間が多いと思います。僕はタップが挑戦でもあり、見どころかなと思います。それだけではなく、魅力あふれるキャラクターがたくさん出てきますし、聞いて、目で観て楽しめる。セットも豪華で衣裳も素晴らしい。細部まで観て全身で楽しんでいただけたらと思います」とアピールして、締めくくった。

公演は、9月28日(土)~10月20日(日)まで東急シアターオーブにて、11月5日(火)~11月16日(土)まで梅田芸術劇場メインホールに上演。お見逃しなく。

文=嶋田真己 撮影=岩田えり