米南部フロリダ州で2024年9月28日、ハリケーン「ヘレン」によって被害を受けた地域=ロイター

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 ハリケーン「ヘレン」が米南東部を直撃し、28日までに少なくとも50人超の死者が出ている。

 ロイター通信によると、被害額は950億〜1100億ドル(13兆〜16兆円)になると見込まれており、「アメリカの近現代史上、最悪の被害規模」という。

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 ヘレンは26日夜、勢力が5段階で上から2番目に強い「カテゴリー4」のハリケーンとして、フロリダ州北西部に上陸。テレビ映像には激しい風雨が辺り一面をたたきつけ、多くの家屋が倒壊したり水没したりしている様子が映されている。ヘレンはその後北上し、勢力を弱めて熱帯低気圧になったが、米国立ハリケーンセンター(NHC)は「壊滅的な歴史的大洪水が起きた」とした。

 AP通信によると、ジョージア州アトランタでの48時間降雨量は約280ミリに達し、1878年に観測が始まって以降最多となった。ロイター通信によると、テネシー州ノックスビルの北東部では、洪水が街一帯を流し、50人以上が避難先の病院の屋上から救出されたという。

 ハリケーン関連で、直撃があった周辺部の少なくとも300万戸が停電し、復旧までには数日かかるとみられている。バイデン大統領は28日、「人命の損失と壊滅的な被害を深く悲しんでいる」とする声明を発表し、復興支援に全力を尽くすとした。(軽部理人)