中国山東省煙台市、日韓や欧米の多国籍企業が続々進出

煙台市で行われた日本企業向けの投資誘致活動の開幕式で「対日投資誘致パートナー」の表彰状を受け取る日中経済協会や愛知県上海事務所などの代表。(5月20日撮影、煙台=新華社配信)

 【新華社済南9月21日】中国山東省煙台市がここ数年、外資誘致に注力し続けている。2023年末までに200を超える国・地域が同市と貿易関係を確立し、109カ国・地域の企業が同市に投資した。外資導入額(実行ベース)は累計450億ドル(1ドル=約146円)を上回る。

 市内の経済開発区、黄渤海新区では、日本のストッキング大手アツギ(神奈川県海老名市)の子会社、厚木靴下(煙台)の工場が生産に追われている。ストッキングや綿靴下などを手がけ、世界各国に輸出している。同社からほど近い場所には5千万ドルを投じた別の子会社、煙台阿姿誼靴下があり、近く操業を開始する。

 同市への相次ぐ投資について、アツギの日光信二社長は「(煙台市の)高い成長可能性に対する自信の表れ」と語る。新会社はアツギと煙台が寄り添い合い、協力し合った画期的な成果で、さらなる市場開拓のための布石となる。長年にわたる地元政府の支援を受け、同社が投資した企業は素晴らしい業績を上げ、アツギの基幹工場に成長しているという。

中国山東省煙台市、日韓や欧米の多国籍企業が続々進出

日本のストッキング大手アツギ(神奈川県海老名市)が煙台市に構える工場。(資料写真、煙台=新華社配信)

 複雑な経済情勢の下、欧米や日韓などの多国籍企業が煙台市との協力意向を表明し、同市の「グローバルパートナー」となって相互利益の実現を図っている。中国第1陣となる14の沿海開放都市の一つである同市は、多国籍企業に対し常に真摯(しんし)に向き合ってきた。

 ドイツの化学メーカー、ヘンケルのパトリック・シュナイダー・グローバル副社長は「わが社が煙台に根を下ろし、小さな会社から大きな会社へ、そして強い会社へと成長を遂げたことは、現地の恵まれた投資環境と切り離すことができない」と市の投資環境を高く評価し、現地プロジェクトの将来性に自信を示した。

 5月に同市で行われた日本企業投資誘致活動では、日本の国立研究開発法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)北京事務所の梁驍(りょう・ぎょう)代表が「山東省は中国で水素の生産量が非常に多い省。将来的には(製造時も二酸化炭素を排出しない)グリーン水素や水素誘導体を生産し、煙台港から日韓をはじめ世界に輸出することを見込んでいる。大きな発展の可能性がある」と語った。

中国山東省煙台市、日韓や欧米の多国籍企業が続々進出

物流や食品分野での協力を深めるため煙台市を訪問した韓国食品大手CJグループの尹道瑄(ユン・ドソン)グローバル副社長兼中国社長ら。(資料写真、煙台=新華社配信)

 煙台市投資促進センターは今年、協力を求めて同市を訪れたグローバル企業60社余りと協議を重ねてきた。その顔ぶれには、米石油大手コノコフィリップス、三菱、韓国総合家電大手LG、韓国食品大手CJグループなど、世界上位500社(フォーチュン・グローバル500)に入る企業や世界的な業界大手も名を連ねる。各社とも同市の将来性を見込み、プロジェクトの立ち上げや増資、協力関係の確立を計画している。

 7月には日本の大手化学メーカー、東レの日覚昭広社長が代表団を率いて煙台を訪れ、傘下でグループ企業の事業を支援する中国法人、東レ(中国)投資が市と戦略的協力協定を締結した。同市を原材料供給拠点に据え、原料や化学品、医薬品・医療、生命科学、自動車産業などの分野での連携や交流を継続的に促進するとともに、水処理やクリーンエネルギー、グリーン・低炭素の分野での協力を深める。

 ヘンケル子会社でロックタイトブランドの接着剤を生産する漢高楽泰などの多国籍企業が1〜6月に行った利益再投資は1億2千万ドルを超え、住友などのグローバル500企業による投資も1億ドル以上となった。多国籍企業は同市にとって重要なパートナーとなっている。(記者/邵琨)

中国山東省煙台市、日韓や欧米の多国籍企業が続々進出

煙台市と東レ(中国)投資の戦略的協力協定の調印式。(7月25日撮影、煙台=新華社配信)