周りが気を使いすぎ?

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伝説のトレンディードラマ

〈「新しい地図」という場所ができて、9月で7周年になります。グループが解散し、「何もなかった」7年前は、音楽にアート、ドラマ、MCと様々な仕事ができている今のような未来像は描いていませんでした。いや、「描けなかった」という方が正しいかな〉(朝日新聞9月8日付)

【写真を見る】まもなく解散から8年。かつてのSMAPメンバーの今

「新しい地図」の香取慎吾(47)が、メンバーの稲垣吾郎(50)、草なぎ剛(50)とリレー形式で連載している「地図を広げて」でこう書いている。2016年末のSMAP解散後、リーダーだった中居正広(52)も20年3月いっぱいで旧ジャニーズ事務所を退所し、現在は個人事務所「株式会社のんびりなかい」に所属して順調に活動している。

周りが気を使いすぎ?

 では、残るあの人はどうか――。

 フジテレビがブームの火付け役となったトレンディードラマの全盛期だった1993年10月から12月まで、看板ドラマ枠である「月9枠」で放送されたのが「あすなろ白書」。同じ大学に通う男女5人の友人グループ「あすなろ会」の面々が初めて人を愛し、苦い経験もしながら、大人への階段を上っていく姿をノスタルジックに描いた。

 主演は、92年後期のNHK朝の連続テレビ小説「ひらり」でヒロインを務めた石田ひかり(52)と当時は新進気鋭の俳優だった筒井道隆(53)。友人グループのメンバーを演じたのが西島秀俊(53)、鈴木杏樹(54)、そして、91年にグループがCDデビューし、後に数々の月9ドラマで主演をこなすことになる木村拓哉(51)だった。等身大の大学生に近い年齢のキャストをそろえたのが功を奏したのか、平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)は最終回の31.9%がトップで、全11話で27.0%を記録。月9の歴史に名を刻む名作となった。

 8月27日、フジの昼の情報番組「ぽかぽか」に石田と筒井がそろって出演した。MCを務める神田愛花アナ(44)が夏休みだったため、石田がMCを務め、筒井は特に告知があるわけではなかったものの出演を果たした。

「木村君と杏樹さんにLINEをしました。すると、木村君は『アイツ、大丈夫かな?』って言ってまして、杏樹さんは『よろしくね』って言ってました」

 という石田の報告の後、当時のドラマ撮影の様子などを語ったが、視聴者からの質問に筒井は真剣な表情で「『東京ラブストーリー』とか見てたから、あの感じを壊さないようにって。だから、今の人たちはどう思ってるのかなって? 僕だけかもしれないですけど」と語ると、石田もこう応じた。

「そういう看板は意識してたかも。今は違うかもしれないけど、私たちの場合、『ここでコケてはいけない』というのがありましたよ」

トメとか2番手でもいいのでは…

「当時の月9といえば、91年は『東京ラブストーリー』、『101回目のプロポーズ』、92年には『素顔のままで』、そして93年は『ひとつ屋根の下』などヒット作を連発中でした。W主演を任された石田さんと筒井さんはとてつもないプレッシャーを背負わされたはず。木村さんは3番手、しかも俳優として経験が浅かったこともあり、2人よりはノビノビできて、その自然体の演技が後の爆発的な人気につながったのです」(ベテラン芸能記者)

 筒井は木村が主演を務めた23年4月期の月9ドラマ「風間公親−教場0−」にて、月9枠では30年ぶりに共演している。共演自体は、木村が主演した98年3月放送のTBS系のスペシャルドラマ「織田信長 天下を取ったバカ」以来となった。筒井は「教場」の撮影を振り返り、

「すごい久しぶり。TBSでやって以来だったんですけど、(木村が)すごく大御所みたいになってて、(周囲の)みんなすごく、(時代劇で殿様や代官にひれ伏すかのように)『ハァァァーー』ってやってて、(木村は)『グッモーニング』とかって言っちゃって、なんか、場違いでしたもん」

 木村本人の態度は「でも気さくでした」としつつも、木村に対する周囲の過剰なまでの態度を「あれ、良くないですよ。(木村が)さみしいと思いますもん。僕、そんな気がしますもん」と強調し、木村の胸中をおもんぱかった。そのうえで、

「なんか、トメとかやればいいのにと思いますもん。主演じゃなくて、2番手とかやると、また(自分が立ってる)地点が変わるから楽しいと思いますよ。なんか、もったいないなと思って。たまに違うことやれば」

 これまで、スタッフやメディア関係者の誰もが口にしなかった進言をした。

「筒井さんが言った『トメ』とは、エンドロールで最後に名前が出る人です。主演でなくても、一番格上の役者という扱いです。しかし、木村さんは96年4月期に主演した月9ドラマ『ロングバケーション』がヒットしてから、主演のオファーしか受けないことで、自身の“ブランド価値”を高めてきました。一部で筒井さんの進言を受け入れたという報道も出ましたが、そんな簡単に2番手やトメなんて、今さらできないでしょう。そもそも、若いころから主演での立ち振る舞いしか知らない。自分の意向で仕事を決めることができるようになった今、あえて売り方を変えるという選択肢はなさそうですし、そうなったらそうなったで、現場のスタッフがどう扱っていいか、もっと困惑することになりそうです」(テレビ局関係者)

 結成時のメンバーで96年に脱退してオートレーサーに転身した森且行(50)も含め、SMAPはメンバーそれぞれが俳優業に力を入れていた。

「SMAPは旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)の創業者・故ジャニー喜多川氏がチーフマネジャーとなる飯島三智氏に全権を委ねました。その結果、飯島氏は、それまでのジャニーズタレントがあまり力を入れていなかった俳優業とバラエティーに力を入れることにしたのです。まず、メンバーの中で最初に頭角を現したのは森さん。CDデビュー前にもかかわらず、89年に人気コミックを実写化したドラマ『ツヨシしっかりしなさい』(日本テレビ)で初主演の座をゲットしました。その後、各メンバーも主演をこなすようになりますが、いつの間にか木村さんが抜きんでて、ドラマの主演とCMのオファーが途切れず。当然、メンバー間の収入格差も広がり、そのまま解散を迎えたのです」(同)

 解散後、旧ジャニーズから所属タレントたちのマネージメント権を受け付いた新会社・STARTO ENTERTAINMENTに所属しているのは木村のみ。

「『新しい地図』の3人は俳優業をベースに映画、舞台に出演しつつ、香取さんはアートの創作活動も手掛けており、CMのオファーも安定。中居さんは司会業に専念し、最近は俳優活動もこなしていません。結局、4人は自分の適正なポジションが見つかったので、余計に仕事を広げることはなく、安定してします」(芸能記者)

動画の登録者数は増えているが

 袂を分かった4人に対して、木村は8月にリリースした3枚目のソロアルバム「SEE YOU THERE」を引っ提げ、今月29日から全国5都市8公演のツアーを開催する。さらにTBS系の主演ドラマを映画化した「グランメゾン・パリ」が今冬に公開される。また、今年1月にはYouTuberデビューを果たしたが、ここに来て登録者数が100万人を突破。俳優・歌手・YouTuberの“三刀流”で芸能界に君臨しているのだが……。

「筒井さんが指摘したような“大御所”になってしまったのは、SMAP時代に絶大な権力を持っていた飯島氏をテレビ業界が畏怖して忖度していた名残です。木村さん本人は共演者やスタッフに対して気さくに話しかけたり、コミュニケーションを取っており、特に偉ぶったり威圧感があるわけではないのです。しかし、これまでの実績や数々の報道、うわさなどで木村さんに対して『大物だから注意して接しないと』『本当は怖い』といったイメージができあがっているため、目の前にいるとついへりくだってしまい、筒井さんが暴露したような現場の雰囲気ができあがってしまうのです」(先のテレビ局関係者)

 そのせいではないだろうが、YouTubeの登録者数の伸びとは裏腹に、もろもろの数字は下降気味だ。

「今年4月期の主演ドラマ『Believe−君にかける橋−』の全9話の平均世帯視聴率は10.3%でなんとか2ケタ越え。ソロアルバムの初動売り上げ5.5万枚ほどで、ファーストアルバムの3分の1ほどでした。そんな状況で、今冬の主演映画がそこまで興行収入を伸ばすとは思えません。木村さんの場合、本人の意思とはお構いなしに、妻で歌手の工藤静香さん、2人の娘であるCocomiさん、Koki,さんも最大限にSNSを活用するのはいいのですが、たびたび炎上。図らずも木村さんの足を引っ張っている形です」(先の記者)

 結果、木村はどの音楽番組からも声がかからず。その一方、今月14日に日テレで放送される音楽番組「with MUSIC」の2時間スペシャルに稲垣、草なぎ、香取が出演。3人が「新しい地図」名義でリリースした楽曲「雨あがりのステップ」をテレビ初披露することになった。

 結局、今の木村に足りないのは、優秀な“参謀”、そして、筒井のようにズバズバ物申してくれる“同志”のようだ。

デイリー新潮編集部