興味深いデータがあります。2019年に、愛知県の私立高校の生徒に対して行った性教育に関するアンケートです。ここで、生徒たちに「出会ってからどれくらいの期間で男女の関係になったか」という質問をしたところ、1カ月以内の複数の項目のうち、「出会ったその日」という回答がずば抜けて多かったのです。

なぜかわかりますか? このヒントとなるのが、「ネットの恋人」なのです。ネットで出会って、ネットでデートしていても、男女の関係にまではなれない。だから、SNSで「会ってホテル(家)へ行こう」と言って実際に会うので、アンケート結果としては「会ったその日」が多くなるのです。

ただ、ネットでやり取りしたからといって、なかなか相手のことを理解するまでに至らないですよね。最悪の場合は、相手が騙そうとして近づいてきていることだってありえます。中高生の間では、こうしたネットでの関係から生じるトラブルが年々増えてきているのですが、最近はそれが小学生にまで低年齢化しているのです。

◆親自身がどうしていいかわからないで困っている

ーー今の世の中で、私たち大人は子どもの変化をどう理解し、対策をするべきなのでしょうか。

石井:今回の取材で先生方が口をそろえたのは、親自身がどうしていいかわからないで困っているということです。科学技術が著しく進歩し、格差がどんどん大きくなっていく中で、多くの親がどうやって子どもを育てていったらいいかわからず、ネット上の情報に振り回されている。そのしわ寄せが、子どもにいっているというのです。

まずは子どもたちが抱えている現代特有の問題や変化を正しく認識することです。スマホ時代だからこそのメリットもあれば、デメリットもある。ならば、デメリットをきちんと把握し、それを子どもに自信を持ってつけさせることが大切じゃないでしょうか。

<取材・文/日刊SPA!取材班>