【片岡 亮】「少女がいきなりズボンをおろして」…中国人の「路上排便」が世界中で深刻な問題になっていた

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世界各地で「路上排便」が問題視される

中国人観光客の「路上排便」が世界中を騒がせている。

韓国・済州島の駐車場で、しゃがんで排便している子どもと、それを見守る母親とみられる女性の写真がネット上で公開され、ニュースにもなった。中国人観光客に人気の同所では、6月にも車が行き交う都市部の路上で排便をしている子どもと、それをさせる母親の動画が拡散し、大騒ぎとなったばかりだ。

この話が英語ニュースとなってSNS で世界中に拡散されると、各国で「私も似た光景を見た」とか、「ほかでもやらかしている」とか過去の類似ケースが紹介され、中国人観光客迷惑行為が改めて大きく広まる事態となっている。

15年、イギリスのバーバリー本店前で中国人女性が子どもに排泄させた衝撃画像が世界を巡ったことがあった。台湾でも本土中国から来た母親が空港内の床の上で、子どもに排便させたことが大騒ぎになったことがある。

タイでは各地で、中国人観光客が路上排便したり、小便器で大便をしたり、汚れた生理用ナプキンを壁に貼ったりするなどの行為が問題となり、寺院など複数の観光名所で「中国人お断り」となったり、中国人用のトイレが別途設置されたことがあった。

中華系が多いマレーシアでは多発

筆者が取材拠点を持つマレーシアでも中国人観光客マナーの悪さは話題になっている。1月、高原リゾート地のキャメロン・ハイランドの宿泊施設の庭で、中国人観光客の女性が排便、監視カメラに一部始終が記録された。また、彼女が排便している間、一緒にいた別の女性が見張りをしていたことも映っていた。

2019年にはクアラルンプールの西にある港町、ポート・ディクソンの海水浴場で人々が泳いでいる中、中国人観光客と見られる成人女性が、足もとが水に浸かる程度の深さの砂浜でしゃがんで排便、これも動画となってSNSで拡散された。

多くのマレーシア人ネットユーザーが嫌悪感を示し、「猫でさえトイレに行くのに」「中国では公共の場所全体がトイレなのか?」などと投稿していた。

こうした各地で起きた過去の迷惑行為も、韓国で相次いだ行為をきっかけにSNSでシェアし直されている。マレーシアは3割ほどの中華系国民がいて、日本や欧米より物価が安いため、必然的に中国人の来訪が多い国だ。

それだけに中国人の迷惑行為の事例も比例して多く聞かれることだが、最も衝撃を受けたのは、留学生による滞在先のマンションの使い方だ。

退出時の部屋内はゴミだらけ、設置物は破損多数というケースがかなり多い。当然、不動産業者からは嫌われまくっており、入居を断る家主もいる。

クアラルンプールのアメリカ大使館が見下ろせる一等地にある新しめのマンションでも、半年間、留学した男女大学生3名が過ごした2LDKの部屋は退出後、ゴミが散乱し、なぜか床が泥まみれになっていたという。さらにトイレは詰まった状態で溢れた上に、さらに何度も排便した跡があり、不動産担当者を絶句させた。

清掃には2週間かかり、修復に2万リンギ(約66万円)以上かかったそうだ。また、盗難被害も報告されており、家主によると「備え付けの大型テレビがなくなっていた」という。

「弁償してほしいが、彼らに電話してもすぐに切られてしまい、対応してくれない」と不満の声を漏らす。

「路上排便」に賛否両論が集まるワケ

筆者自身も海外旅行で、中国人観光客の排泄を目の前で見たことがある。

地中海に浮かぶ島国マルタ、ルネサンスの理想都市といわれる世界遺産、要塞都市ヴァレッタを散歩中、公衆トイレ前に集まっている男性7、8名の中国人旅行客が、「有料」であることに不満な様子で立ち往生。

果てに2人の男性がそのトイレの横で壁に向かってズボンを降ろし立ち小便をした。行き交う人々は、その光景を見て目を丸くし、スタッフが悲鳴を上げていた。

南アフリカのケープタウンでも、野生ペンギンが見られる有名な海岸で、中国人女性客の集団がペンギンにジュースの空き缶やペットボトルを次々に投げていたので、筆者がやめるよう注意したのだが、その後、この一行の数名が公園内で排便をしようとして警備員と揉めごとになっていた。

近年、経済成長が進む中国の都市部では先進国と変わらない文化水準になっていて、街もクリーンになり、生活者のマナーも良く、店では人がきれい列をなしているから、路上で排便をするような人々がまだいなくなっていないのか、と驚く。

以前から情報交換している天津市の中国人記者に聞いたところ、「北京や上海など経済的に発展している地域はマナーが向上していますが、発展途上の地域では、いまもマナーの悪さが問題になっていますし、人口が多いので何千人かにひとりはおかしいのがいて、どうしても目立ってしまう」という。

「大都市の天津市では近代的な地下鉄がありますが、通勤する中国人たちに『一番許せない地下鉄マナー』を調査したところ、1位が唾を吐くことで、2位が子どもにホームや車内で排便させること、だったんです。喫煙とか列に並ばないこと、座席に横たわることなどよりも排便のほうが上というのは、我々現地の人間にとっても衝撃的な結果でした。そもそも、排便することが回答にある時点で衝撃的なことです。

さらに、『礼儀正しいマナー』についてのアンケートでも、1位は高齢者や障害者に席を譲ることだったんですが、4位に子どもに排便させないこと、という回答があったので、排便させる親がまだ多いことを示しています。本当に恥ずべき習慣です」

これで分かるのは、中国社会でも社会問題になっているということだ。中国人の間でも「迷惑だ」という認識が共有されている。

実際、中国内では、現在も「大便禁止」のステッカーが普通に売られており、「人は犬とは違います」なんて当たり前の文言が記載されているものもある。

前出記者によると、「公共の場所での排泄が、個人の問題なのか、それとも社会問題なのか中国でも論争になっている」という。

「公衆トイレが少ないのが原因だとSNSで主張した母親に対して賛否両論があって、何が原因かの議論が巻き起こっています。擁護派は、一般的な衛生感覚があっても、ときに路上で生理的欲求を満たさなければならない場合もある、とか、子どもたちは我慢できないときがあるしパンツを脱がずに中で漏らすのはそれはそれで衛生的ではない、という反論がありました」

世界最高にきれいな公衆トイレを持つ日本でも、いまだ立ち小便をする大人がいるのは事実で、たしかに衛生教育だけの問題ではないところはあるが、さすがに中国人の路上排便のニュースは多すぎる。それがなくなるのに、あと何年かかるのか。

【もっと読む】『「中国人のマナーが悪い」印象は老人のせいだった…“迷惑老人”であふれる中国の絶望的な状況』では、中国の悲惨な状況についてレポートしている。

「中国人のマナーが悪い」印象は老人のせいだった…“迷惑老人”であふれる中国の絶望的な状況