『FM802 35th ANNIVERSARY “Be FUNKY!!”  ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-SPECIAL LIVE HIGH!HIGH!HIGH! supported by 栗本鐵工所』

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『FM802 35th ANNIVERSARY “Be FUNKY!!”  ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-SPECIAL LIVE HIGH!HIGH!HIGH! supported by 栗本鐵工所』2024.8.8(THU)なんばHatch

FM802 DJ 落合健太郎 撮影=渡邉一生

『FM802 35th ANNIVERSARY “Be FUNKY!!” ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-SPECIAL LIVE HIGH!HIGH!HIGH! supported by 栗本鐵工所』が、8月8日に大阪・なんばHatchで開催された。

『HIGH!HIGH!HIGH!』は、大阪のラジオ局・FM802で放送中の生放送プログラム『ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!-』(月~木曜21:00 OA)が主催する、夏恒例のインドアライブイベントで、2014年にスタート。今年はアコースティックステージも設けられ計10組が出演、約6時間半にわたり宴を盛り上げた。

撮影=渡邉一生

フードブースでは、番組を担当する「オチケン」ことFM802DJ落合健太郎自ら、この5年間ほぼ毎晩のように食べ続けるほどハマッているという卵豆腐(ステッカー付)を販売。他にも、FM802DJ樋口大喜監修の絶品「HIGH!HIGucHi!バーガー」やフランクフルト、かき氷なども用意され、5種目競技にトライすると豪華景品が当たるスポーツ縁日『体!体!体!』も催されるなど(笑)、開演前からお祭り気分は満載だ。オープニングトークでも、オチケンが感心するほどハイテンションで準備万端のオーディエンス。年に一度の『HIGH!HIGH!HIGH!』、いよいよ開幕!

名誉伝説

撮影=渡邉一生

2023年結成にして、FM802の2024年8月度のヘビーローテーションに「ナビゲーター」が抜擢。このスピード感だけでも、『HIGH!HIGH!HIGH!』のトッパーを飾った理由が分かるニューカマーが、名誉伝説だ。「ラヴィング」を歌い上げるこたに(Vo)の第一声から、何とも人懐っこいボーカルであっという間にリスナーをとりこに。その後も「シャバイライ」「地獄でスキップ」「今晩の喧嘩」と、軽快でハートウォームなポップミュージックと急転直下の強烈なグルーヴを行き来。持ち味のサウンドの多彩さで魅せていく。

「『HIGH!HIGH!HIGH!』、今日は呼んでくれてありがとう! トップバッター、全力で盛り上げたいと思います。幸せに会いに行こう」(こたに、以下同)といざなった「ポルトロン」の醸し出すハピネスに満たされ、ユニークなワードチョイスとリフレインが耳に残る新曲「ルビを振れ」、続く「feat.あなた」では、リリック面でもバンドの個性を存分に発揮する。

「次はFM802のヘビーローテーションに選ばれた大切な曲です」と優しき「ナビゲーター」をじっくり聴かせ、「大阪、本当にありがとう。また戻ってきます。『HIGH!HIGH!HIGH!』、最後まで楽しんでいってください!」と「プロポーズ文句」でフィナーレへ。お茶の間を射程圏内に入れた楽曲群には期待しかない、名誉伝説のライブだった。

ayaho(Lala)

一方、なんばHatch内の階下に設置されたアコースティックステージでは、FM802DJ板東さえかのナビゲートの元、普段はバンドのフロントマンとして活躍するアーティストが続々と弾き語りライブを披露していく。

FM802 DJ 板東さえか 撮影=キョートタナカ

京都発の青春ロックスリーピースバンドLalaのayaho(Gt.Vo)は、一撃で見る者を魅了する求心力で「死にものぐるいで恋をしていた」「Jealousy」と立て続け、「憧れのFM802のアコースティックステージに出させていただいて本当にうれしいです、ありがとうございます!」と喜びを語る。

撮影=キョートタナカ

以降も最新EP『全人類ときめきが止まらない』収録の「Monster」に加え、「別れのキスで」や「君を泣かせたい」を届け、ソールドアウト続出の全国ツアー真っただ中の高揚感を背に、新たな出会いの場を勝ち取っていた。

bokula.

撮影=渡邉一生

1曲目の「涙ばっかのヒロインさん」から、すさまじい気迫でなんばHatchをロックオンしたbokula.は、新曲「青くね」でも、これぞライブバンドな疾走感でぶっ飛ばす!

「広島県から来ましたbokula.です! 俺も学生の頃ラジオに救われた時期があったし、今は救う立場になってるかもしれないと思うと、いろいろと感慨深いです。ルールはないから、自由に楽しんでいってください」(えい・Gt.Vo、以下同)

中盤はズシリと重たいビートのロックバラード「まみれて」、友人に捧げた別れのアンセム「バイマイフレンド」と、楽曲に乗せた思いが心臓を貫く静かに熱いミドルチューンが続く。「楽屋でオチケンさんからメッセージカードをもらって、「最高に夏がぴったりなbokula.に」って書いてあったんですよ。そう言えば夏の曲があるわ」と口火を切った「夏の迷惑」は、オチケンのレコメンに偽りなしの飛び切りのサマーチューン! ここで、いつの間にか脱げてしまっていたスニーカーを履き直したえいが(笑)、「こういうことは今日は言わないでおこうと思ったんですけど……」と再び口を開く。

撮影=渡邉一生

「俺がバンドを始めたキッカケが、今日一緒にやるバンドなんですよ。その人たちの音楽に救われたし、CDがリリースされたら必ずラジオを聴いていた。俺もようやく人に寄り添うことができる、音楽とまっすぐに、真摯に向き合うことが、俺たちのできる最善のことだと思って35分間、デカいステージに立たせてもらってます。俺たちがあなたの愛してやまない一瞬に、一年に、一生になれるように」

撮影=渡邉一生

そんな願いを刻んだ「愛してやまない一生を.」が刺さらないわけがない。汗だくでぶん投げた「群青謳歌」からの爆裂パンクな「満月じゃん。」で、ライブならではのぐちゃぐちゃの爽快感をなんばHatchに残したbokula.、完全燃焼!

ちとせみな(カネヨリマサル)

撮影=キョートタナカ

続いてアコースティックステージには、ガールズスリーピースロックバンド、カネヨリマサルのちとせみな(Vo.Gt)が登場。「いっぱい来てくれてうれしいです!」と目の前に広がる景色に感謝を述べ、「関係のない人」「わたし達のジャーニー」であどけなくも親しみやすい声を気持ち良く響かせる。

「弾き語りは年に1~2回という私ですが、こんな祝いの日に呼んでいただいてありがとうございます。大切な一日になればいいな。私ができる大好きな音楽をやって帰ります」と新曲「嫌いになっちゃうよ」もお披露目し、「私は大阪生まれ大阪育ちで、自分の中での憧れみたいなラジオのイベントに出させてもらって光栄です。今日の出会いがまたつながっていくように頑張っていきます」と宣言。「君にさよなら」「もしも」「バンドマン」……彼女が純度100%で誠実に歌い切ったのは、その歌声を聴いた誰もが感じたことだろう。

Cody・Lee(李)

撮影=渡邉一生

最新アルバム『最後の初恋』さながら、SEの「NOT WAR,MORE SEIKATSU」からガラリと空気を変えたのが、Cody・Lee(李)だ。「We are Cody・Lee(李) from sakuramachi records、よろしくお願いします!」と高橋響(Vo.Gt)があいさつし、力毅(Gt.Cho)のスライドギターとコーラスワークが抜群に効いたパワーポップ青春賛歌「涙を隠して(Boys Don't Cry)」でいきなり鳥肌。たった一曲でソングライティング力、アレンジ力の高さを証明する問答無用のグッドミュージックで、「ストロベリーエンジェル~Don't Say Goodbye~」でも80~90sなオケヒを駆使したビートロックな遊び心と大仰なサウンドスケープでも楽しませるなど、音楽が好きでたまらないミュージックラバーぶりがみずみずしく溢れ出す。

撮影=渡邉一生

浮遊感漂う「異星人と熱帯夜」~アーバンシティポップな「真夏のジャイガンティック」と、ゆったり目のBPMで送るメロウでチルなナンバーの連続にはマジ昇天。そして、「Cody・Lee(李)が新しいムーブメントを巻き起こします!」と高橋が告げ突入したのは、「DANCE扁桃体」だ。有言実行のサイケデリックなダンスビートでフロアを揺らし、「我愛你」では何もかも忘れて音楽に没入するエクスタシーへと導いていく!

ダークでファンタジックでプログレッシブな圧巻の「烏托邦」まで、言葉よりも何より音楽で雄弁に伝えたCody・Lee(李)による、全7曲35分のユートピア。もう最高!

撮影=渡邉一生

蓮(TRACK15)

撮影=キョートタナカ

バンド名の由来はふと目にした大阪・天王寺駅の15番ホームの案内板。冒頭の「プラネタリウム」からはかない歌声で引きつけたTRACK15の蓮(Vo.Gt)は、アコースティックステージとの相性もバッチリで、「シティーライト、今夜」もまさに「聴きほれる」という様相で、息をのんで見つめる人だかり。

「自分たちの「眠れない」という曲の歌詞に802と入れるぐらい愛好家なんで、『HIGH!HIGH!HIGH!』に出られてうれしいです、今日はやらないんですけどね(笑)。楽屋にあったオチケンさんからの手紙に、「蓮くんの歌声は素敵です」と書いていて。ずっとラジオを聞いていた側の人間だったから、めちゃくちゃうれしくて」と、関西のアーティストらしいエピソードも飛び出し、「ブーケ」「青い夏」「私的幸福論」……今年も躍進間違いなしのネクストブレイカーが、一服の清涼剤となる世界観を作り上げた。

にしな

撮影=渡邉一生

幕が上がると同時に鳴り響いた不協和音を切り裂くように始まった、シンガソングライターにしなのライブ。ニットキャップにオンブレシャツ、カーゴショーツとラフなストリートスタイルで現れた彼女は、「クランベリージャムをかけて」からハンドマイクでステージを横断。「キャンディ欲しい人~?」と飴玉を放り投げ、「東京マーブル」や「U+」でも、盤石のバンドセットを背に、より自由に軽やかに歌い上げていく。

撮影=渡邉一生

「『HIGH!HIGH!HIGH!』、元気ですか? 夏ですが、恋してますか? みんな恋の1つや2つや3つや4つ……いっぱいあるかもしれないですけど(笑)、「あれは恋だったのかな?」なんて思う曲がありまして。まだライブでやったことがないんですけど、この場を借りてやってみてもいいですか?」

ボカロPであり新世代のクリエイター、くじらとのコラボ曲「あれが恋だったのかな feat. にしな」が『HIGH!HIGH!HIGH!』にスペシャルな疾走感をもたらし、満場のクラップ&ウェーブに彼女も思わず「いい感じ!」とほほ笑んだ「ケダモノのフレンズ」、にしな流のダンスミュージック「bugs」と続け、熱量はまたたく間にピークへ!

撮影=渡邉一生

「暑いけど皆さん水は飲めてますか?」と時折、客席を気遣い放ったのは、名曲「ヘビースモーク」。その場に立ち尽くす観客が一心に彼女に熱い視線を送る光景に、音楽という魔法は必ずあると改めて感じる。グッとこらえた感情のダムを決壊させるのは、ダメ押しの「ワンルーム」。にしなという歌い手のかけがえのなさを思い知る、幸福な35分間だった。

撮影=渡邉一生

涼音(レトロリロン)

撮影=キョートタナカ

アコースティックステージのトリは涼音(レトロリロン)。エッジィなギターとしなやかな歌声で引きつけた「DND」から見応え十分のパフォーマンスで、「ヘッドライナー」「深夜6時」でもハイクオリティなポップスを4人で作り上げる普段とはまた異なり、歌声とメロディラインが際立つソリッドな魅力もまた一興だ。

果敢にコール&レスポンスでも場を巻き込み、「今日はフライングしてド頭のオチケンさんのオープニングから見ていて、すごく緊張しております(笑)。バンドをやるようになってから大阪で弾き語りするのは初めてですし、呼んでもらえるのはすごくうれしい」と武者震いする涼音。「TOMODACHI」や「ひとつ」もしかり、「緊張」も「初めて」も疑いたくなる素晴らしい歌唱は、近いうちバンドで『HIGH!HIGH!HIGH!』の大舞台に戻ってくることを確信させた。

KANA-BOON

撮影=渡邉一生

サウンドチェックから「Torch of Liberty」「1.2. step to you」とキラーチューン連発の大サービスで、満を持しての出番となったKANA-BOON。「盛者必衰の理、お断り」からみんなKANA-BOONを待っていたと言わんばかりの熱気で、最後方までぎっちぎちに埋まったなんばHatchの見渡す限りの手が上がった絶景を前に、「フルドライブ」を容赦なくぶち込む手加減抜きのアドレナリン祭りで攻め立てる!

撮影=渡邉一生

「大阪、ただいまー! いや~楽しいですね。クリープハイプまで体力を残さなくていいですからね(笑)。我々はご存知のように元メンバーが粗相を、大スキャンダルを起こしまして……って、「もうどんどん言っていったらいいじゃん!」とクリープハイプの尾崎世界観(Vo.Gt)先輩と飲んだときに言われたので(笑)。今日は俺たちは盛り上げ役と言うことで間違ってないかな? それではタオルを回す曲を!」(谷口鮪・Vo.Gt、以下同)

撮影=渡邉一生

音のみならずMCでも大いに沸かせた最高に頼もしい問い掛けから、そこかしこで回りまくるタオルで一時的に場内が涼しくなった(笑)「ソングオブザデッド」、KANA-BOONのグッドメロディ代表格「シルエット」、トドメの「スターマーカー」と天井知らずのハイボルテージへと連れていく。

撮影=渡邉一生

「ワンマンだったら絶対に歌詞は飛ばさないので、10月からのツアーに来てください(笑)。どれだけぶっ倒れそうになっても立ち上がって、あなたに見せていきたいです。だから「KANA-BOON、頑張ってたな」と思い出して、日々乗り越えてほしいです。KANA-BOONという名前で15年もやってると、bokula.は俺たちを見てバンドを始めたり……これからも絶対に生き残ってやるという気持ちで音楽をやっていきます!」

ラストの「まっさら」まで、転んでもタダでは起きないタフネスを提示したKANA-BOONが、見事に最後のバトンをクリープハイプにつないだ。

撮影=渡邉一生

クリープハイプ

撮影=渡邉一生

SEも何もない暗闇のなんばHatchに現れ、尾崎世界観がフリースタイルでゆっくりとささやいた「ナイトオンザプラネット」。約6時間にわたり行われてきた『HIGH!HIGH!HIGH!』の大トリと言えど、とりわけぶち上げることもない。「キケンナアソビ」でズシリとくる低音を鳴らすもそのスタンスは変わらず、躍動する長谷川カオナシ(Ba)のボーカル曲「かえるの唄」でも、クリープハイプのめくるめく世界にいつの間にか引きずり込まれていく……。

撮影=渡邉一生

「『ROCK KIDS 802』とはいつもいろんなことを一緒にやらせてもらっていて、今も大阪ステーションシティと曲を作るというプロジェクトを……ってこういうことを俺が説明しちゃダメだよな。世界観が崩れるよな? 「ググれカス」で(笑)。(スポンサーの)栗本鐵工所さんとはクリつながりで……引き続きよろしくお願いします(笑)」(尾崎、以下同)

撮影=渡邉一生

ここからは一転、タイトな演奏で駆け抜けた「一生に一度愛してるよ」、クリープハイプの荒ぶるワイルドサイド「身も蓋もない水槽」と畳み掛ける! さらには尾崎のギターリフ、小泉拓(Dr)の力強いドラミング、カオナシのうごめくベースライン、小川幸慈(Gt)のトリッキーかつ耳に残るギターと次々になだれ込んでいく怒濤の「社会の窓」を皮切りに、「社会の窓と同じ構成」の曲間では、「トリだよね俺たち? 疲れるよな、長かったもんな。すごい伝わってくる。疲れと喜びと、いろんなものが(笑)。大好きやで大阪!」と歓声を一気に引き上げるなど、歴戦のライブアクトは何もかも分かってらっしゃる!

撮影=渡邉一生

「ありがとう。何かよく「会場の一体感」とかアーティストがステージ上で言うでしょ? 「一つになる」とか。そういうのもいいけど、物理的に一つになるSEXの歌を歌います!」

外すところは外し、決めるところは決める。ライブを締めくくる最適解たる「HE IS MINE」で、割れんばかりの拍手と声を引き出した文句なしのエンディングに!

撮影=渡邉一生

「みんな今日は楽しんでくれましたか? この夏の素敵な思い出はできたかな? 長時間にわたるライブ、一緒に盛り上がってくれてどうもありがとう! 皆さん気を付けてお帰りください。家に帰るまでが『HIGH!HIGH!HIGH!』ですからね(笑)。僕、落合健太郎はみんなよりひと足先に会場を出て、今はFM802で『ROCK KIDS 802』の準備をしています。ぜひ帰り道に聴きながら帰ってください。これからもラジオでつながっていきましょう!」

この日もまた、変わらず『ROCK KIDS 802』に備えるオチケンが託したアナウンスで、ラジオとライブの理想の関係性と言える『HIGH!HIGH!HIGH!』は終幕。なお、ライブ音源&公演直後のプチインタビューの模様は、番組でも随時OA。ネットラジオサービスradikoのタイムフリーも併せてチェックを。

取材・文:奥“ボウイ”昌史 写真=FM802提供(撮影:渡邉一生、キョートタナカ)