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RS4の25周年を記念 ベースはコンペティション

これまでも、アウディは巧みに特別仕様をリリースしてきた。モデルチェンジが目前に迫った現世代のA4やA6にも、アウディ・スポーツが深く関わった記念版が発売されて当然といえる。

【画像】歴代で1番「ハードコア」 アウディRS4 アバント 25イヤーズ 欧州の俊足ワゴンたち 全140枚

2023年には、限定でRS4とRS5にコンペティションを設定。2024年には、RS6やRS7にパフォーマンスが用意された。また、RS6にはGTが控えている。しかし、まだアウディの気持ちは収まらないらしい。


アウディRS4 アバント・エディション25イヤーズ(欧州仕様)

最新版として、RS4にはエディション25イヤーズが、RS5にはパフォーマンス・エディションが登場した。今回試乗したのは前者だが、名前通りRS4の誕生25周年を記念した特別仕様となる。

2000年に発表された初代RS4は、イエローのボディカラーで記憶付けられた読者も多いと思う。それに習って、最新版にもイモラ・イエローが用意されている。

ちょっと鮮やかすぎるとお感じなら、グレーやブラックも選べる。だがここは、思い切って眩しい色を選びたいところ。生産は250台の限定で、グレートブリテン島には50台が割り当てられる。

ベースとなっているのは、RS4 コンペティション。KW社製の車高調整式コイルオーバー・サスペンションには手が加えられ、2.9L V6ツインターボエンジンは、20ps増しの470psへ増強された。

従来以上にシリアスなシャシー 驚くほど洗練

サスペンションは従来以上にシリアス。通常のRS4より車高は10mm低く、オーナーの好みでさらに10mm落とすことも可能。ダンパーはアダプティブではなく、減衰力はコンペティションよりハードに調整されている。

他にも、フロント・コントロールアームは高剛性化され、ネガティブキャンバーは2度プラス。リアのサブフレームは、ラバーマウントを介さず、直接モノコック構造へ固定されているという。


アウディRS4 アバント・エディション25イヤーズ(欧州仕様)

凛々しい20インチ・ホイールは、コンペティションとデザインが似ているが、仕上げとインセット値が異なる。タイヤはこれまでより外側で踏ん張り、フェンダーラインとのツライチ感が増している。

公道へ出てみると、確かに乗り心地は硬い。しかし、扁平率30と極薄なタイヤを履いている割には、アスファルトの不整を巧みに吸収。鋭い入力も、角が丸められていた。そもそもBMW M3 ツーリングでも、コンフォートモードが快適だとはいいにくかった。

サブフレームのラバーマウントがなくなったことで、路面のザラつきがキャビンへ伝わってくる。だが、その構造から想像するほど酷いわけではなかった。過去最もハードコアなA4 アバントといえるが、走りは驚くほど洗練されてもいる。

落ち着いた操縦性は現代のアウディ的

操縦性は、いかにも高速な現代のアウディ。フロントタイヤのネガティブキャンバーが強められたことで、回頭性はかなり鋭い。

とはいえ、基本的には極めて落ち着いた印象。試乗場所はスペインだったが、チャレンジングなワインディングより、開けた高速ルートの方が向いているように思えた。


アウディRS4 アバント・エディション25イヤーズ(欧州仕様)

ヘアピンの出口で、2速を選びアクセルペダルを踏み込んでも、僅かにアンダーステアを示すだけ。路面が乾燥している限り、強力なトラクションでひたすら加速していく。

カーブへの侵入時に回頭性を高める、スポーツ・ディファレンシャルが組まれている。だがこれは、一定の速度域以上で効果を発揮するようだ。

8速オートマティックは、スポーツ・モードがより積極的になった。明確な変速ショックが、ドライバーの気持ちを刺激する。穏やかに走っているぶんには、ノーマル・モードの方が回転数へピタリと合い心地良いとしても。

ドラッグレースで競えば、M3 コンペティション・ツーリングの方が勝つかもしれない。それでも、RS4 25イヤーズの470psでもまったく不足は感じない。20ps増しによる変化は小さいが、オーナー同士の会話で、自慢のネタにはなるだろう。

エグゾーストも専用品で、より排気音を堪能できるようになった。特定の回転数では、メロディアスな響きも奏でられる。大半は、怒り狂ったような咆哮ではあるけれど。

高めの価格設定 アウディ・マニアを強く誘惑

英国価格は、11万5880ポンド(約2318万円)。通常のRS4より、約4万3000ポンド(約860万円)お高い。限定だったRS4 コンペティションと比べても、約3万1000ポンド(約620万円)も上にある。

BMWは、先代M5のモデル末期に、珠玉のM5 CSをリリースした。これは、語り継がれるようなドライバーズサルーンといえた。


アウディRS4 アバント・エディション25イヤーズと、初代アウディRS4 アバント

対して、RS4 25イヤーズの運転体験が、そこまで進化していないことは事実。正直なところ、かなり強気な価格設定に思える。だとしても、限定の高速ワゴンには不思議な魅力がある。アウディ・マニアを、強く誘惑するに違いない。

アウディRS4 アバント・エディション25イヤーズ(欧州仕様)のスペック

英国価格:11万5880ポンド(約2318万円)
全長:4780mm(通常RS4)
全幅:1865mm(通常RS4)
全高:1435mm(通常RS4)
最高速度:299km/h
0-100km/h加速:3.7秒
燃費:9.9-10.4km/L
CO2排出量:217-229g/km
車両重量:1745kg
パワートレイン:V型6気筒2894cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:470ps/5000-6000rpm
最大トルク:61.1kg-m/3000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)