山口真由氏

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 今月20日に告示された東京都知事選挙。信州大学特任教授の山口真由氏が指摘する、小池百合子都知事(71)と蓮舫氏(56)の“気がかりなポイント”とは。【前後編の前編】

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 小池さんも蓮舫さんも野心家で、東京都を踏み台にしようとする魂胆が透けて見え、都民からすると興ざめしてしまいます。小池さんは希望の党を立ち上げた時には明らかに国政、それもトップの座を見据えていました。蓮舫さんもまた、今回の都知事選で落選しても、このタイミングならば衆議院へ鞍替えできるという「見通し」を持っているのは明らか。野望のために都を利用するという構図は、見ていて気持ちの良いものではありません。

山口真由氏

 小池さんについては、コロナ禍で「3密」というフレーズを提示したことを評価する声がある一方、パフォーマンスが過ぎるとの指摘もあります。「東京アラート」「ステイホーム週間」などの標語を打ち出すのがあまりに巧みなため、“過剰演出”が鼻につくという都民もいるでしょう。

子育て支援は充実しているが…

 一方で、小池さんが知事になってから保育園の待機児童数は減っており、0歳から18歳までの子1人に月5000円を支給する「018サポート」を制度化するなど、子育て支援は充実しています。

 ただし小池さんからは、少子化に対するビジョンをどう描くのかが見えません。例えば石原知事時代は「東京を国際都市にする」といった強いビジョンが掲げられていましたが、そうした熱意が感じられない。いくら年間6万円もらえるからといって、ただちに子どもを作ろうとはなりません。少子化の原因の一つには東京一極集中が挙げられるのだから、国に先駆けて制度を設けるのであればその対策は不可避だと思います。

「演出された強さばかりが目立つ」

 蓮舫さんで気になるのは、自身の「弱さ」を全く見せないところです。ご家庭では双子を育てられ、かわいがっていた息子さんは一時、別の家に養子に入るなど当時は思い悩むこともあったはずでしょうが、そうした部分を一切さらさない。元夫との関係でも彼女が断然強いという感じを与えるなど、演出された強さばかりが目立ち、等身大の女性としてふに落ちないところがあります。事業仕分けの「2位じゃダメなんですか」があまりに印象的で、批判型のリーダーという旧民主党時代の残滓(ざんし)を感じてしまうのです。

 公約発表のタイミングや会見の開始時刻など、小池さんと小手先の駆け引きをするのではなく、人生を歩んでいく中での弱さや子育てをする上での苦労などに裏打ちされた、人間味のある政策を示すべきではないでしょうか。

山口真由 信州大学特任教授

 後編「『小池さんに期待感はない』 芸人・たかまつななが小池都知事、蓮舫を辛口採点」では、芸人で「笑下村塾」代表のたかまつななが都知事選で票を投じる際のポイントを解説している。

「週刊新潮」2024年6月27日号 掲載