「ここ、誰かの家…?」というサプライズにドキドキする、隠れ家レストラン4選
静かな住宅街で、ごく普通の民家のような顔をしてひっそりと佇むレストランがある。
訪れる誰もが意表を突かれるが、足を踏み入れれば温かな空気がふたりを包み、心解けるような夜を演出してくれる。
ノスタルジックなデートが楽しめる、東京の隠れ家レストラン4軒をご紹介!
1.店前での束の間の不安が心地良く裏切られる、内装と料理のセンスの良さ
『HAUS』@表参道
時折、道を行き交うタクシーのヘッドライトさえ幻想的に映るほど、夜は密やかな空気に包まれる“外苑裏”。
これから店に向かうというより、友だちとの遊びに夢中になって帰り道を急いだ子ども時代の記憶がふと蘇るこの場所に、ドイツ語で“家”を意味する『HAUS』がある。
元家具職人のオーナーが開いたカウンターのみの店は遊び心と快適さが同居する、大人の癒し空間。
「ふらりと遊びに来てください」
三軒茶屋の裏通りで人気を集めた『ナティーボ』で働いたシェフが作る料理と豊富にそろうナチュラルワインや厳選したクラフトビールをゆるやかに楽しむことができる。
「グリーンアスパラのソテー」¥2,700。ビスマルク風に
旬の食材を盛りこんだ料理は、パスタや自家製のデザートも。
「チーズのキッシュ」(¥1,870)はシェフのスペシャリテ。グリュイエール、ペコリーノ、パルミジャーノの3種のチーズを使い、ワインに合うコク深い味に仕上げている。すっきりとした酸とまろやかなタンニンを併せ持つ赤ワインとの相性が抜群
ほろ酔いで店をあとにし、しんと静まりかえった道を歩く時間もおだやかな気分に満たされる。
2.出会って間もないふたりなら、東京タワーを望む“家”で必ずや打ち解ける
『東麻布 いち川』@東麻布
暮れなずむ空を見上げると都会の夜の始まりを告げる明かりの灯ったタワーが目に入る。
その眺めに気を取られているとうっかり見逃してしまうほど、ひっそり佇む古民家は、いまの東京の多様性を物語るようだ。
赤羽橋の駅から徒歩数分。界隈には昔ながらの製本所やお茶屋さんが点在し、どこか庶民的なムードに心がなごむ住宅街に昨年オープンした『東麻布 いち川』。
「旬の贅沢を堪能してください」
築70年の古民家をリノベーションした趣のある食空間で腕を奮うのはミシュランの星付き店で日本料理の技ともてなしの心を体得した、笑顔が素敵な店主。
華やかな八寸。端午の節句にちなんだあしらいも美しい。真鯛の鮨や車海老と菜の花の白和え、ミョウガの甘酢漬けにそら豆の蜜煮など、日本酒やワインに合う料理が満載
コースで供されるのは先付けに始まり、季節感あふれる八寸や深い滋味に癒される椀物、旬の食材を使った炊き込みご飯など。
炊き込みご飯。筍と桜エビのほか、とり貝や青柳といった“春の貝”をたっぷりと。料理はすべて¥18,000と¥20,000のコースから
お造りの盛りつけも魚や肉の焼きも、カウンター内の厨房で一品一品、丁寧に仕立てる。
構えは正統派、でも飾らない雰囲気と心尽くしの料理が“口福”と安らぎを運んでくれる。
3.友人宅に招かれたような空間と骨太フレンチがもたらす、心の距離を縮める相乗効果
『ボンクルール』@武蔵小山
日常にささやかなしあわせを。そんな願いを叶えてくれるレストランを知ることは人生の豊かさにも直結する。
ジャンルを問わず、上質でカジュアルな、大人好みのレストランが集まる武蔵小山。
駅からわずかに離れた静かな住宅街の一角に店を構える『ボンクルール』のランチはフレンチベースのカレーが評判。
金曜と土曜限定のディナーではクラシカルなビストロ料理とワインでゲストを温かく迎える。
「ワインもクラシックをご用意してます!」
カウンター内のキッチンできびきびと働く女性店主は、東京のビストロ人気を牽引した目黒時代の『モルソー』で腕を磨いた実力派。
“スパイス好き”という個性を昼のカレーだけではなく、週2日の夜営業でも発揮する。
「鴨のコンフィ」¥2,900。脂を回しかけて外側をパリッと。タイムのような香りを持つアジョワンのソースがアクセント
ビストロの定番料理にさらりとスパイスを合わせたオリジナリティ溢れるひと皿は明るい彼女の人柄そのもの。
「対馬の穴子のカダイフ巻き」¥2,800。
ふっくらした穴子とパリパリのカダイフの食感のコントラストも楽しい。赤ワインとフォン・ド・ボーを合わせたボルドレーズソースで。
自然体で居られるレストランがふたりの夜をカラフルに彩る。
4.マンションという緊張感は繊細なフレンチに解され、やがて寛ぎに変わっていく
『Câline』@渋谷
発見やときめきが詰まった、求心力のある街。“奥渋”の洒落た空気は、いまや海外からのツーリストをも魅了している。
だが、そのメインストリートでひと際、存在感を放つ黄色いヴィンテージマンションに美食の穴場が潜んでいることを知る人はまだ少ないはずだ。
老舗の鮮魚店が営む定食屋やセンスの良い雑貨店などを過ぎ、19時の一斉スタートに遅れぬようマンションの小さな入り口へ。
連れて行く相手が、「まさかここ?」と驚く様子を見るのが、楽しくもある。
場所は奥渋のマンションの一室。青く塗られたドアを目印に
階段を上った先の青い扉に小さく『Câline』と書かれた文字を見つけて安堵する顔も面白い。
「仲良し夫婦でお待ちしています」
明るい笑顔の夫婦に出迎えられ、7坪ほどのミニマムな空間でディナーがスタート。
数種類の「アミューズ」。グリーンピースと八朔のタルト、ホタルイカと馬肉のタルタル、フランボワーズのピュレでまわりをコーティングしたレバーペーストなど、心弾む前菜がひと皿に
華やかなアミューズに始まり、シェフの技術が光る軽やかなフレンチが次々に繰り出され、入店までの不安はいつのまにか霧散する。
「鰆のミキュイ」。レア状に火入れをした魚の身にスープ・ド・ポワソンと春キャベツのソースを合わせて軽やかに。
料理はすべて¥10,000のコースから。
“奥渋”の秘密基地のようなレストランで過ごす時間は、想像以上にクセになる。
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