この記事をまとめると

■「ジャパントラックショー2024」の会場にフィアット・デュカトが展示されていた

■展示されたデュカトは商用バン然とした仕様ながらカラードバンパーを装着していた

■「商用車+黒い樹脂バンパー」という組み合わせが大好きな人は意外に多い

トラックショーに展示されていたフィアット・デュカトに違和感

 2024年5月9日から11日の会期で神奈川県横浜市内にて開催された、「ジャパン トラックショー 2024」の会場内屋外展示スペースにフィアットブランドのLCV(ライトコマーシャルビークル)となる、「デュカト」が展示してあった。キャンピングカーなどに改造されていない、むき出しのスチールホイールに、前席から後ろは荷室のままと、まさに素の状態で展示してあった。

 しかし、そこまで「商用バン」然としているのに、フロントバンパーがボディカラーと同色(カラードバンパー)になっていた。商用車大好きな筆者としては「無塗装黒バンパー」がマストにも思えたので、さっそく説明員に話を聞くことにした。

「あのちょっとお聞きしたいのですが、バンパーはカラード(ボディカラー同色)しかないのですか?」と聞いた。怪しく思われるなと様子をうかがっていると、「そうですよね、私もなんか変だなと思っています。ただ私が調べた限りでは、欧州市場でもカラードバンパーが標準装備となっているようなのです」と答えてくれた。

「それではデュカトには無塗装黒バンパーは存在しないのですか」と聞き返すと、「欧州では走ってはいるようです。はっきりはしないのですが、レスオプションで無塗装黒バンパーが選べるようですよ」と教えてくれた。「ここまで素の状態だと、カラードバンパーというのは……」と食い下がると、「日本では正規輸入では無塗装黒バンパーにするオプションはないので、納車後に黒く塗り替えることしかないようですが、それだと印象は異なりますよね」と冗談半分で話してくれた。

「アメリカをよく訪れるのですが、そのときは無塗装黒バンパーのRAM(ステランティスグループ)プロマスターばかり見ているので少し残念です」と話すと、「ああ、RAMのほうは確かに無塗装黒バンパーばかりですよね」と話がだんだん盛り上がってきた。

 ちなみにRAMプロマスターとは見た目はほぼデュカトのまま、クライスラー系のRAMブランドの商用バンとして北米で販売されている、バッジエンジニアリングモデルとなる。V8エンジンも搭載していたRAMバンの後継として登場したときは、その欧州車風スタイル(エンジンもV6でFFになってしまった)に残念な気もちにもなったが、フロントで無塗装の黒い部分の面積の多さに惹かれるようになっていった。

 ちなみにフォードのLCVとなる「トランジット」にも無塗装黒バンパー仕様があるが、プロマスターほどの面積はない。GM(ゼネラルモーターズ)ではいまだに「伝統的アメリカンフルサイズバン」となる、「エクスプレス」がラインアップされており、こちらはアイアン(鉄製)バンパーとなっている。

意外にも黒バンパー好きな商用車マニアは多い

 また、フルゴネット(日本でいうところのライトバンのような商用車)タイプとなる、フィアット・ドブロのバッジエンジニアリングモデルとなる「RAMプロマスターシティ」も無塗装黒バンパーの面積が多くて筆者は気に入っている。

 日本の商用車では、ホンダが2006年から2010年の間ラインアップしていたライトバンの「パートナー」の無塗装黒バンパーの面積が大きくて気に入っていた。

 少し前の話になるが、ニューヨーク国際自動車ショーでは、かなり広いスペースをとって商用車専門の展示スペースが用意されていた(コロナ禍になってからは行っていないが、なくなったと聞いている)。ただ、プレスデーではメディア関係者は乗用車展示スペースを取材するので精いっぱいのため、ほとんど人の気配はなかった。

 筆者は取材を終わらせるとひとりこのスペースで展示される商用車を触りまくるのが大好きであった。ある年、トヨタの商用車展示ブースにフルサイズピックアップトラックとなるタンドラの先代モデルが展示してあった。しかも、無塗装で黒のバンパーとグリルを採用した「ワークトラック」が置いてあったのである。

 無塗装バンパーを触ったり、車内のフロアにカーペットの代わりに敷き詰められた塩ビ(塩化ビニール)というか、ゴムみたいなものを見て喜んでいると、警備員がやってきた。

「お前はさっきから何をしているんだ、トヨタはお前の国のブランドだから珍しくないだろ」と聞いてきた。そこで「タンドラは日本では販売されていないし、このワークトラックに大変興味があるのだ」と伝えると、「よくわからない奴だな」といって立ち去った。

 今回トラックショーで話が盛り上がったことからも、「商用車=無塗装黒バンパー」といったことが大好きな愛好家がいる、つまり筆者の同士は意外に多いと感じている。