東京のシンボルの真横についにタワマンが?

東京タワー横のうかいがなくなるって?そんな話、このあたりじゃあ2〜3年前からしているよ」

そう語るのは、東京タワー近くで長年商売を営む地元男性だ。現地で聞き込みをしたところ、複数の周辺住人から同じような答えが返ってきた。

1958年に完成した東京タワー。この高さ333mのオレンジの電波塔は、長らく東京のシンボルとして愛されてきた。ところが現在、不動産界隈ではこんな情報がまことしやかに囁かれている。

東京タワーの真横に巨大なタワーマンションが建つのではないか--。

候補地と目されているのが、『東京 芝 とうふ屋うかい』(※以下とうふ屋うかい、運営元を指す場合はうかいとする)が店を構える約6000?の土地だ。2005年に東京タワーの隣接地にオープンしたこの料亭は、風情ある日本庭園を眺めながら会席料理を味わえるとあって、大事な接待や家族の祝い事などで利用する客が多い。

そもそも、東京タワー周辺の再開発はいまになって浮上した話ではない。プロジェクトの存在が明るみになったのは2021年のこと。

東京タワーとその周辺地を保有するTOKYO TOWER社が再開発を検討していると、日経新聞が報じたのです。同社がプロジェクトのパートナーに選んだのは三井不動産。商業施設などを含む複合ビルの建設を計画していて、早ければ2030年には何かしらの建物が建つという話でした。そしてこのときも、とうふ屋うかいが立つ土地が再開発されるのではないかと噂されていた」(都内の不動産関係者)

2004年にTOKYO TOWER社が発表したプレスリリースには、同社が事業用定期借地権契約でうかいに土地を貸し出す旨が明記されている。かつて三井不動産に勤務し、現在はオラガ総研代表取締役の牧野知弘氏は次のように語る。

「事業用定期借地権の契約期間は現在10年以上50年未満となっていますが、2008年以前の契約ならば10年以上20年以下です。契約締結が2004年なら今年が期限かもしれません。基本的に更新はなく、期限を迎えたら借主は土地を更地にした上で返還しなければいけません」

つまり、うかいはいずれ土地をTOKYO TOWERに返さなければならない。となれば、その跡地に新たな建物を建てるという再開発計画も現実味を帯びてくる。

とうふ屋うかいの「衝撃の回答」

ことの真相を確かめるべく、とうふ屋うかいのフロント責任者に話を聞いた。

--近ごろ、とうふ屋うかいがなくなるという噂が流れています。これは本当でしょうか?

「お客様からも『お店がなくなってしまうんですか?』という問い合わせをたまにいただきますが、特にそういった話は現場にはおりてきていません」

--では数年のうちになくなってしまうということはないということでしょうか?

「もし数年後になくなるのであれば、現場の人間にもすでに知らされていると思います。現時点でそういった話は聞いておりませんので、おそらくそれもないかと思います」

--うかいがなくなるという話は一切ない、と。

「ただ、そのような話は一度出たことがあると聞きました。東京タワーさんがこの周辺を再開発するというので、そういった話が出たとかで。ただ、一旦計画が“白紙”に戻ったそうなので、今のところそれ以上の話は知りません」

--東京タワー周辺の再開発の話が白紙に戻ったということでしょうか?

「おそらく……。細かい話は現場までおりてきていないので、詳しいことはわかりません。そういった話が1度出たというのは上長から聞いていますが、直接どんなやりとりがあったかはわからないんです」

「白紙に戻った」とは、一体どういうことなのか。

つづく記事『“巨大タワマン”の乱立で「東京タワー」がどこからも見えなくなる…!港区「最後の聖域」で繰り広げられる「仁義なき“眺望”決戦」』では、とうふ屋うかいの代表者とのやり取り、東京タワー周辺の再開発に関するTOKYO TOWERと三井不動産の対応を詳報。さらにタワーマンション建設の可能性も解説する。

“巨大タワマン”の乱立で「東京タワー」がどこからも見えなくなる…!港区「最後の聖域」で繰り広げられる「仁義なき“眺望”決戦」