◆制限時間が過ぎても帰らない「地蔵客」

 食べ放題といえば制限時間がつきもの。山岡さんがバイトしていたお店では、基本的に制限時間が過ぎても、多少ならスタッフが声を掛けることはしていなかったそうだが、それをいいことに「ひたすら居座る迷惑客」がいたそうだ。

「ランチタイムの13時頃に入店して、そのまま20時頃までいるお客さんがいましたね。大柄な男性で、月に1〜2回ほど来店するお客さんでしたが、基本的に長時間居座っていました。お肉はタッチパネルで注文するので制限時間が過ぎると頼めなくなるのですが、ビュッフェ形式で提供している食材やスイーツは時間が過ぎても、一応食べることができます。ディナータイムになると、ビュッフェに並ぶメニューもディナー用に変わるのですが、それもシレっと食べ始めるんですよ。お肉が注文できなくなることもあって、少しくらいの時間オーバーなら声をかけませんが、この人にはさすがに何度も声かけました」

◆時間が過ぎても漫画を読んで居座り続ける男

 いくら大柄な男性とはいえ、7時間食べ続けているわけではなく、ほとんどの時間は漫画を読んでいたのだとか……。

「最初の1時間は食べて、そのあと1時間漫画を読んで、また食べて……というのを繰り返しているんです。終了時間が過ぎていることを伝えても、その都度『あっ、ハイハイ』ってごまかして居座り続けて、4回目くらいでようやく帰りました。ランチタイムは1300円くらいで食べ放題なので、それで夜ご飯も食べて、食費を浮かせていたのかもしれませんね。安い焼肉食べ放題店には、そういう卑しいお客さんが多かったように感じました」

 SNSの普及によって目の当たりにする機会が多くなった迷惑客。インフレが続く今のご時世、低予算でお腹いっぱいになれる食べ放題店は非常に有難い存在と言えるだろう。それだけに、そんな一部の迷惑客のおかげで存続が危ぶまれる状況にだけはなってほしくないものだ。

取材・文/サ行桜井

【サ行桜井】
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。