「中国語で怒鳴り合い」那須焼死体事件、被害者の妻が起こしていたライバル店舗との「警察出動」トラブル
宝島龍太郎さんが経営していた焼肉店(写真・梅基展央)
4月16日、栃木県那須町の山林で、焼け焦げた2人の遺体が見つかった。栃木県警捜査1課と那須塩原署によると、焼死体で見つかったうち、ひとりは東京・上野駅周辺で複数の飲食店を経営する宝島龍太郎さんと判明。もうひとりは40〜60代の女性とみられているが、20日現在、まだ身元はわかっていない。
県警によると、司法解剖の結果、死因は2人とも、首を圧迫されたことによる窒息死だが、女性の遺体だけ、頭蓋骨が骨折していたという。また、遺体はともに手足を結束バンドで縛られ、顔を袋と粘着テープでぐるぐる巻きにされていた。捜査関係者はこう話す。
「女性のほうだけ頭蓋骨が骨折させられていたということは、女性に対しての殺意が、より強かったのではないかと思われます」
また、殺害の手法について「慣れている人物の犯行」と分析する。
「手足に結束バンドをつけたり、袋をかぶせてテープでぐるぐる巻きにするなどの行為は、かなり準備しないとできない犯行です。灯油缶で灯油も持ってきているので、かなり以前から計画していた犯行とみたほうがいいでしょう。
殺害方法を見ると、アジア系グループの犯行の可能性も考えられます。アジア系の犯罪集団は、結束バンドやテープをよく利用します。また、灯油で遺体を焼くという犯行は、あまり日本人はやらない。中国系の半グレグループの間で、誰かが関与していないか調べているようです」
2つの会社を所持していた、実業家の宝島氏。上野近辺では有名な人だったと、同じく上野駅周辺で飲食業を営む男性は語る。
「上野の商店街は、コロナ禍でどこも経営難になり、回転寿司店や居酒屋などが並ぶ一角が、まるごと撤退しました。そこに目をつけたのが宝島さん。空き物件になったところを借り上げて、24時間営業の焼肉店やイタリアン、寿司居酒屋などを展開し、気づけば、倒産が相次いだ一角はほぼすべて、宝島さんのお店に変わっていました。
その一方で、トラブルが多発していたのも有名で、近隣店舗からは苦情が出ていました。商店街のルールとして、生ゴミなどはポリ袋に入れて、バケツに入れてから出すのですが、宝島さんのお店はバケツにしっかり入れないものだから、カラスやネズミの影響でゴミが散らばってしまって。そのまま放置されているときもありましたよ。
宝島さんは中国から帰化された方で、従業員の方も中国人が多く、近くの焼肉店と客引きでもめたときなどは、中国語で怒鳴り合いになっていました。店の前で従業員が『焼肉!』と叫んで呼び込んだり、ライバル店に入ろうとしたお客を強引に引っ張ったりと、客引きが荒っぽい印象でした」
呼び込みトラブルが原因で、警察沙汰になったこともあると、近隣店舗の従業員は明かす。
「3年ほど前です。宝島さんの焼肉店から数m先に別の焼肉店があったのですが、やはり客引きが原因でケンカに発展し、警察が出動したことが何度かありました。その焼肉店は、2、3カ月前に看板が変わって、別の焼肉店になっています。
宝島さん自身は、普通の中年男性というイメージで、目立つ人ではなかったかな。奥さんのほうが強く印象に残っています。50代くらいで、細身でメイクが派手でね。気性が荒くて、よくライバル店にケンカを吹っかける。3年前の騒動は、従業員か奥さんかは分からないですけど、相手を殴って裁判沙汰にもなっていると聞きました。騒動から半年くらいは、ライバル店に用心棒のようなコワモテの男性が立っていたので、トラブル防止のためなのかなと思っていました」
宝島夫妻が住んでいたのは、経営する店から徒歩20分ほどの場所にあるタワーマンションだ。いつも自転車で店舗を回り、売上の回収をおこなっていたという。
「だいたいお昼前くらいに、自転車で回っているのを見かけていました。18時から19時くらいにも見かけることもありますし、奥さんと一緒のことも多かった。たまに、20代後半くらいの娘さんも手伝いに来ていましたよ」(近くの飲食店の従業員)
4月17日、20代の男性が都内の警察署に出頭。この男性は調べに対し、「自分が事件に関わったのかもしれない」と説明している。事件解明に向けて捜査が進展しているのを祈るばかりだ──。