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『キック・アス』『キングスマン』シリーズのマシュー・ボーン監督が放つスパイ・アクション『ARGYLLE/アーガイル』が公開中だ。ひねりの効いたサプライズ大作であるこの映画、ラストシーンにはとんでもない展開が待っている。

劇場の全席が驚愕したであろうあの衝撃ラスト、一体どういうことだったのだろうか?ヴォーン監督のコメントをヒントに考えよう。

この記事には、『ARGYLLE/アーガイル』のネタバレが含まれています。

この記事には、『ARGYLLE/アーガイル』のネタバレが含まれています。

© Universal Pictures 『ARGYLLE/アーガイル』エージェント・アーガイルが現れた?マレットヘアの謎の男

自身の執筆するスパイ小説『アーガイル』の展開が、なぜか実在のスパイ組織「ディビジョン」の作戦とリンクしていたことで、危険な陰謀に巻き込まれることになった小説家エリー・コンウェイ(ブライス・ダラス・ハワード)。しかしコンウェイの正体はディビジョンの実力スパイ、レイチェル・カイルであり、これまで記憶を失っていたことが判明する。小説『アーガイル』は、彼女のスパイ時代の記憶に基づくものだったのだ。

ディビジョンとの戦いを終えた彼女は、再び小説家として『アーガイル』の発売記念イベントに出ていた。出席者からの質問タイムに移ると、そこで挙手して立ち上がったのは、彼女の空想の世界のスパイであったはずのアーガイル(ヘンリー・カヴィル)だ。角刈りではなくマレットヘアをしており、「逆に僕に質問があるのでは?」と微笑む。エリーは、「嘘でしょ?」といった様子で目をパチクリさせる。

『キングスマン』登場?若きアーガイルの謎のシーン

続くミッド・クレジット・シーンでは、なんとヴォーン監督の看板シリーズである『キングスマン』のバーが登場。カウンターで若者が飲み物を頼むと、そのオーダー内容がおそらくキーワードとなっており、バーテンダーが銃の収められた木箱を渡す。バーテンダーが若者に名を尋ねると、彼はこう答える。「オーブリー。オーブリー・アーガイル」。映像はエリーの書斎に移り、「アーガイル:ブック・ワン・ザ・ムービー カミング・スーン」と表示される……。

へっ?キングスマン?アーガイルは実在する?次回作の映画の予告?鑑賞者の頭には、いくつかの「?」が浮かんだことだろう。映画『ARGYLLE/アーガイル』のラストは、一体何を意味するのだろうか。

まず、小説発売イベントに登場した、マレットヘアのアーガイルの正体についてだ。海外ポッドキャスト番組でこの男の詳細について聞かれてたマシュー・ヴォーンは、「ヘンリーがあのキャラクターを演じているかは分からないけれど、“マレットマン”というんですよ」とすっとぼけた回答。要するに、現時点では詳細不明ということにしておきたいようである。

続くミッド・クレジット・シーンで描かれていたことについて、ヴォーン監督は原作小説の第1巻からのシーンなのだと説明。少々ややこしいのだが、映画アーガイルに登場したエリー・コンウェイによるスパイ小説『アーガイル』は架空のものではなく、本当に現実世界に存在する。邦訳版は出ていないが、Amazonで購入することもできる。実はこの映画、現実の『アーガイル』著者エリー・コンウェイを小説ごと映像化するという、一風変わった実写映画企画なのである。

映画の劇中でエリーは小説の4巻と5巻を執筆していたが、現在現実世界に存在するのは1巻のみ。つまり、ラストで「アーガイル:ブック・ワン・ザ・ムービー」と予告されたのは、次は小説『アーガイル』第1巻を映画化しますよ、ということである。こちらでは、エージェント・アーガイルの物語が描かれる予定ということだ。

さらにヴォーンには、映画『アーガイル』の続編構想もあるという。つまり、このシリーズは今回の『ARGYLLE/アーガイル』に続いて、『アーガイル:ブック・ワン・ザ・ムービー』、そして『ARGYLLE/アーガイル2』が登場する可能性があるというわけだ。なかなかややこしい構成である。

ちなみに、若きアーガイルを演じたのはルイス・パートリッジで、『エノーラ・ホームズの事件簿』でヘンリー・カヴィルと共演しているという縁がある。

さらに気になるのは、『キングスマン』シリーズのクロスオーバーだ。映像からは、若きオーブリー・アーガイルがこれからキングスマンとなることが想像できる。アーガイルは美しく仕立てられたスーツを着ているから、彼はこれから世界最高の仕立て屋に行くことになるだろうと、ヴォーン監督はニヤリとコメント。『キングスマン』ユニバース接続の可能性を示唆した。

ただし、『ARGYLLE』が今後いかにして『キングスマン』に合流していくかは、監督によって意図的に不明瞭にされている。「若きオーブリー・アーガイルとマレットマンは別人なのですか?」と尋ねられたヴォーン監督は、「わかりません。そのうちわかるでしょう。知っているけれど、今は言いません」と神秘主義。どうして角刈りのアーガイルとマレットマンが同一の容姿をしていたのかについて聞かれても、「マレットマンが誰なのか、もうヒントはありません」とはぐらかしている。

おそらくヴォーン監督の頭の中に設計図があるはずだが、少なくともクロスオーバーの構想は抱いているらしい。「『キングスマン』が左にあって、『アーガイル』が右にあって、いつかその中央で混ぜてみたい」「どうなるかはわかりませんが、いつか一つになればと思います」と、監督は展望を話している。「ただのギミックではなく、きちんと“理由”がある形で。そして、とても説得力のある“理由”もあります。今はまだですが」。『キングスマン』に登場した犬のJBと、『アーガイル』の猫のアルフィーが夢の共演を果たすこともあり得ると、監督は予告する。

ヴォーン監督は『キングスマン』『ARGYLLE/アーガイル』の両輪で独自のスパイ・ユニバースを志しているようだが、現在は『キック・アス』ユニバースの再構築に勤しんでいるタイミングである。さらに『キングスマン』最新作も控えているところだ。『ARGYLLE/アーガイル』シリーズ新作が企画されるとしても、おそらくそれは当分先になることだろう。

『ARGYLLE/アーガイル』は公開中。日本での客入りも、シリーズにとってきっと重要であるはずだ。

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