フジテレビ・堤礼実アナインタビュー(後編)

◆前編/フジテレビ・堤礼実アナ 話題の「顔アップ」についても聞いた>>

今年の春、競馬中継番組『みんなのKEIBA』のMCを卒業し、深夜の報道番組『Live News α』のメインキャスターに就任したフジテレビの堤礼実アナ。今回、スポルティーバとの縁もあって、活躍の場を広げる同アナを直撃。報道番組に携わるようになってからの半年を振り返ってもらいつつ、近況や今後の抱負などについて話を聞いた――。


photo by Sueishi Naoyoshi

――朝や昼の番組から夜の番組の担当に変わって、生活習慣も変わりましたか。

「もう30歳目前の人間の体というのは、そんなにすぐには環境の変化に適応してくれないんだなと気づきました(笑)。

 フジテレビに入社したばかりの頃は早朝の番組を担当していて、深夜1時に起きるような生活をしていたのですが、当時は不思議とそれが大変だったという記憶があまりなくて。大変だった記憶を消してしまっているだけかもしれないですけど(苦笑)。

 ですから、担当番組の時間が変わったから生活リズムが崩れることがあるとは思っていませんでした。でも、いざ夜の担当になってみたら、朝4時に寝てもすぐに起きてしまったりして、うまく睡眠時間が取れなくて......。今は日中にお仕事や予定がなければ赤ちゃんのように、ほぼ必ずお昼寝をしています(苦笑)」

――休日はどう過ごされているのですか。

「たとえば、昼間に好きな舞台を見にいったりしている時には、その時間は好きなものに集中しているのでいいのですが、夜はすぐに眠くなるので早く寝てしまう。でも、数日後にはまた朝に寝る生活が戻ってきてしまうので......、生活リズムを整えるのは難しいですね。自分の時間を作るという意味でも、体のためにという意味でも、時間の使い方をもっとうまくやりたいなと思っています」

――食事の時間なども不規則になりそうですね。

「本当にそうなんです! 30歳を目前にして、家族で一緒にとる食事がどんなに幸せなことだったのかと、すごく実感しています。

 特に父親とは、顔を合わせる機会がグッと減ってしまったので、『この日は外出をやめて、家で(両親と)一緒にご飯を食べよう』と思うことが多くなりました。今まであまり意識してこなかった時間が、実はすごく幸せな時間だったんだなと感じながら、家族と一緒に食卓を囲んでいます」

――メインキャスターとして、今後『Live News α』をどんな番組にしていきたいですか。

「視聴者のみなさんにとって、『明日のプラスアルファにつながるニュース』という意味では、明日への希望が持てる番組でありたいなと思っています。また、いい番組を作るに当たって、風通しのいい現場にしていきたいというのが、常々私が考えていることではあります。

 今までに私が担当してきた『めざましテレビ』『めざまし8』『みんなのKEIBA』を振り返ると、三宅(正治アナ)さん、永島(優美アナ)さん、佐野(瑞樹アナ)さんなど、番組を引っ張っていく立場の先輩方がいい空気感を作ってくださって、そのおかげで楽しく仕事ができた。今、自分が同じ立場になってみて、そのありがたさをすごく感じていますから」


photo by Sueishi Naoyoshi

――堤アナの口から「30歳目前」という言葉が何度か出てきましたが、11月23日に30回目の誕生日を迎えます。30代に入る実感はありますか。

「嫌でも感じるようになってきました(笑)。それには理由がふたつあって、まずは4月からのおよそ半年間で、すでに30代に入った友達が結構いること。それを見ていると、『いよいよ自分もか』という感覚になりますよね。

 そしてもうひとつは、やっぱり体の問題が......(苦笑)。今までなら軽々とできていたことが勢いをつけないとできなくなったり、それこそ焼肉を食べに行っても、もうカルビはちょっと......そんなに食べられない(笑)。そういう些細な生活の一場面で20代の終わりを感じることは多々あります」

――どんな30代にしたいですか。

「これまで生きてきて、理想を描いたとしても、大半のことはそうなるわけでもないということはもう重々承知していますから(笑)。自分の置かれた環境で、今自分の目の前にあることに対して一つひとつ誠心誠意向き合っていく。それを積み重ねていけば、その先、ところどころできっとご褒美が待っていると思っています。そのスタンスは変えずにいこうと思います。

 それに、これはあくまで想像でしかないですけど、これからの10年はきっと自分の人生において大きな変化もあるであろう10年になると思うので、自分のモットーでもある"一瞬一瞬を大切に"を実践し、いろんなことに自分の関心を向け、多くのことを吸収して、かっこいい30代になりたいです」

――『みんなのKEIBA』の共演者のみなさんとはその後、連絡を取ったりしていますか。

「たまたま別のお仕事で数回ご一緒したDAIGOさん以外はお会いできていないのですが、みなさんと連絡はとらせていただいています。DAIGOさんとは今度、みんなでご飯に行こうという話をしていますし、細江(純子)さんとは夜な夜な長電話したことも(笑)。井崎(脩五郎)先生とは直接お話はできていませんが、佐野さんやスタッフ経由でお元気そうにしているということはうかがっています。

 番組を卒業して半年以上経ちましたが、みなさんとの関係性が変わることなく、すごく可愛がっていただいているので、本当にありがたいです」


photo by Sueishi Naoyoshi

――最近の競馬界では、堤アナが担当されていた当時の人気馬、ソダシ、デアリングタクトが相次いで引退となっています。

「コントレイルやリフレイムの時もそうでしたけど、実際に活躍を見てきた馬たちが引退すると聞くと、ひとつの時代が終わっていくのを感じます。これから新たな道を歩み始めるとはいえ、少し寂しい気持ちになりますね。もちろん、一競馬ファンとしては、彼ら、彼女らのその後も見ていきたいなと思っていますが、種牡馬や繁殖牝馬としての活躍を競馬番組のMCとして追いかけることはできませんから」

――堤アナにとっての思い入れの強い馬といえば、コントレイルでしたが、先頃のセレクトセールでは、コントレイルの初年度産駒が数多く高値で取引されました。

「自分のなかで思い入れのある馬が何頭かいるので、そういう馬たちの子どもは特に気になります。コントレイルの競走馬としてのキャリアをずっと見てきたものとしては、種牡馬としての活躍も最後まで見届けたいですし、その遺伝子を継ぐ子どもたちの活躍にもすごく期待しています」

――ところで、堤アナ初のフォトブック『Treasure』の発売からちょうど1年になります(2022年10月26日発売)。その後の反響はいかがですか。

「ここ最近の話で言うと、以前なかなか会えていなかった中高時代の同級生が『買ったよ』という連絡をくれて、先日電話で話す機会があったのですが、『いつになったらサインくれるの?』と(笑)。そうやって久しぶりの友だちとつながれたのはうれしかったですね。

 また、社内の他部署の先輩からメールが届いて、その人のご友人からの頼みで『フォトブックにサインをもらえないか』と頼まれ、サインを書いてお渡ししたのですが、私が『Live News α』の取材で韓国へ行った時、そのご友人の方とばったりお会いしたんです。韓国の空港で声をかけていただいて、『先日、○○さん経由でサインをお願いしたものです』と。

『そんなことある?』ってビックリしましたね。その方は日本の方なんですけど、現在はアメリカ在住で、それなのに韓国で偶然お会いするというミラクル。そういう不思議なご縁も、この本から生まれています(笑)。」

――堤アナのことを『Live News α』で初めて知った視聴者のみなさんにも、フォトブックの魅力などをお伝えしていただいてもよろしいでしょうか。

「このフォトブックを制作している時は、もちろん1年後に自分が報道の仕事をしているとは想像もしていませんでしたからね(笑)。

 あくまでも自分の感覚ですけど、まだ1年しか経っていないのに、フォトブックの中の自分と今の自分を見比べた時、顔つきが少し違う気がしています。それは『違っていたらいいな』という願望も込めてですが、この1年の間にすごくいろんな新しい経験をさせてもらい、たくさん悩んだからだと思います。

 1年前の私と言っても、それまでの28年間がそこに詰まっていると思うので、『Live News α』を担当するようになってから私を知ってくださった方にも、1年前の私を見ていただきたいですね。本の中では文章もたくさん書かせていただきましたし、当時思っていたことを素直にそのまま書きました。1年経った今読んだら、『なんだ、今と言っていることが違うじゃん!』と思われることもあるかもしれませんが、その違いも面白がってもらえたら、と思います。

 まだお持ちでない方はぜひ手にとって、1年前の私を見ていただけたらうれしいですし、すでにお持ちの方は今との違いを単純に見比べてみるのも面白いのではないか、と。自分ではちょっと怖くてなかなかできないですけど(笑)」

(おわり)

Profile
堤 礼実(つつみ・れいみ)
1993年11月23日生まれ、アメリカ出身。2016年フジテレビ入社。
【趣味】ミュージカル鑑賞、ゲーム、ハプスブルク家の歴史を調べること、肌触りの良いタオル集め【特技】ダンス、どこでも寝られる【モットー】一瞬一瞬を大切に

◆『Live News α』(月曜〜木曜23時40分〜、金曜24時10分〜)公式㏋はこちら>>
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