パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織・ハマスは2023年10月7日にイスラエルへの大規模攻撃を開始し、それに応酬する形でイスラエルも大規模な報復を行っており、記事作成時点では双方あわせて少なくとも2000人以上が死亡し、4500人以上が負傷したとみられています。これに伴い、XやFacebookをはじめとするSNSでは、戦闘の模様を伝える投稿が出回っています。一方でSNS上に掲載された投稿には一部虚偽や誤解を招く投稿が含まれており、欧州連合(EU)はXを保有するイーロン・マスク氏やMetaのマーク・ザッカーバーグ氏に対して警告を発しています。

Letter Elon Musk 101023 for tweet - european-commissions-letter-to-elon-musk.pdf

(PDFファイル)https://s3.documentcloud.org/documents/24025072/european-commissions-letter-to-elon-musk.pdf

Europe gives Musk 24 hours to respond about Israel-Hamas war misinformation on X

https://www.cnbc.com/2023/10/10/elon-musk-warned-about-misinformation-violent-content-on-x-by-eu.html

EU warns Elon Musk over ‘disinformation’ on X about Hamas attack | Elon Musk | The Guardian

https://www.theguardian.com/technology/2023/oct/10/eu-warns-elon-musk-over-disinformation-about-hamas-attack-on-x

Europe gives Zuckerberg 24 hours to respond about Israel-Hamas misinfo

https://www.cnbc.com/2023/10/11/europe-gives-zuckerberg-24-hours-to-respond-about-israel-hamas-misinfo.html

2023年10月7日に開始されたパレスチナとイスラエル間の紛争では、これまでに2000人以上の兵士、市民などが犠牲になっています。一方でSNS上には紛争に関する誤った情報や、紛争に関する誤解を招く主張を含むポストが数多く投稿されています。

X(Twitter)で「パレスチナ・イスラエル戦争」の偽情報が氾濫しまくり、無関係の動画やゲームの映像まで拡散 - GIGAZINE



これを受けてEUでは、オンライン上の違法コンテンツの排除などを義務付ける「(PDFファイル)デジタルサービス法(DSA)」に基づきマスク氏に対して、虚偽の投稿や誤解を招く投稿についてコンテンツモデレーションなどの対応をとるように求めています。

EUのトップコミッショナーであるティエリー・ブルトン氏はマスク氏に対し「Xはコンテンツモデレーションを行う重要な義務があります」と指摘した上で、>「パレスチナ・イスラエル紛争に関して、あなたのSNSプラットフォームが違法なコンテンツや虚偽の情報を広めるために使用されている兆候がEU内で確認されました」「これらの虚偽の投稿の影響に伴う公安や市民へのリスクを軽減するために、迅速かつ正確な対応をこの書簡の送信から24時間以内に取ってください」と要求しています。



ブルトン氏によると、虚偽や誤解を招く投稿やコンテンツが多く投稿される現状は、マスク氏によるXの買収後に実施された、プラットフォームの大幅な変更に起因する可能性があるとのこと。

もしもXがDSAを順守せず、対応を行わなかった場合、ヨーロッパの規制に基づいてXの年間収益の6%に相当する罰金が科せられる、またはヨーロッパでのXのサービス停止などの処分が科せられる可能性があります。

一方でマスク氏はブルトン氏に対し「Xの方針はすべてをオープンソース化して透明性を確保することです。EUもこの方針を支持しているはずです。該当する問題の投稿をリストアップして、一般ユーザーが閲覧できる形式で提示してください」と述べています。





これに対しブレトン氏は「当局やさまざまなユーザーが、虚偽のコンテンツや暴力を容認するコンテンツを投稿するユーザーをXに報告してきたことはあなたも知っているはずです。実際に行動に移してください」と応酬しています。





ブレトン氏からの警告を受けてXは、「2023年10月初頭にポリシーの更新を行ったこと」「ポリシーに基づいて新たに作成されたハマス関連アカウントの削除を行っていること」「トレンドのトピックを操作しようとする数百のアカウントを削除したこと」「コミュニティノートがリアルタイムで稼働していること」を報告し、虚偽の投稿に対応を行っていることを強調しています。





EUによる同様の警告はMetaを保有するザッカーバーグ氏にも届けられており、EUは、InstagramやFacebookなどのSNSにおいて、テロリズムに関わるコンテンツや違法なヘイトスピーチなどのコンテンツを監視、および削除するように求めています。

Metaの広報担当者は海外メディアのCNBCに対して「ハマスによるテロ攻撃開始後、私たちは急速に変化する状況を注意深く監視、対応するために、ヘブライ語やアラビア語話者を含んだ専門家チームを結成しました」と報告しています。また「私たちのチームは、プラットフォームの安全性を維持しつつ、ポリシーや現地の法律に違反するコンテンツに対して投稿の削除などの措置を講じ、誤った情報の拡散を制限するために現地のファクトチェッカーと24時間体制で協力を行っています」と語っています。