東海道フェリーの実現にも繋がったりするのでしょうか。

「さんふらわあ」ブランド盤石化へ

 商船三井のグループ会社である商船三井フェリーとフェリーさんふらわあが事業を統合し、2023年10月1日(日)に新会社「商船三井さんふらわあ」が発足します。それに先立ち、9月28日(木)に記者会見が行われました。


フェリーさんふらわあの「さんふらわあ くれない」(左)、商船三井フェリーの「さんふらわあ ふらの」(画像:商船三井)。

 そもそも、9月時点で商船三井フェリーは関東と北海道を結ぶ大洗〜苫小牧、関東と九州を結ぶ東京〜苅田、東京〜博多の3航路を、一方のフェリーさんふらわあは関西と九州を結ぶ大阪〜別府、神戸〜大分、大阪〜志布志の3航路を、それぞれ運航しています。
 
 いうなれば、東西の複数航路を持っていた兄弟会社が一緒になることで、財務基盤の盤石化、規模の拡大と効率化、業界地位の向上を図っていこうというものです。

 その背景には、少子高齢化や脱炭素社会に向けた技術革新が求める一方で、貨物輸送事業の大きな成長が見込めないなか、「物流の2024年問題」がもたらす競争激化の観点から2社の合併は必須だとして決まったそうです。
 
 こうして誕生する「商船三井さんふらわあ」は、6航路、15隻(フェリー10隻、RORO船5隻)持つを国内最大のフェリー・内航RORO船会社になるといいます。発足前のデータになるものの、統合する2社による2022年度の合計輸送量は旅客、トラック共に約3割を占めるとのことでした。

乗組員の就労環境を改善する計画も

 また、会見で強調していたのが、洋上における通信インフラの改善です。これは昨今、必須家電にまでなったスマートフォンの通信環境を改善する意味があるそう。とはいえ、これは利用客だけでなく、乗組員向けとして重要視しているとのハナシでした。

 その理由は、職場環境の改善を図るという意味合いだそう。いまや鉄道や飛行機を含め、ほとんどの場所でインターネットに接続できるようになっているなかで、船だけが取り残されているとか。そこで新会社はKDDIと連携して、衛星通信システム「Starlink(スターリンク)」を活用することで船陸間の通信を改善し、安全快適な運航を実現していくとのことでした。


2023年9月28日に行われた商船三井グループの記者会見で手を合わせる、新会社「商船三井さんふらわあ」の関係者。向かって左から新会社で取締役 副会長執行役員に就任する赤坂光次郎氏、同じく取締役 会長執行役員に就任する尾本 直俊氏、同じく代表取締役 社長執行役員に就任する牛奥 博俊氏、最右は商船三井で常務執行役員兼ウェルビーイングライフ営業本部長を務める向井 恒道氏(乗りものニュース編集部撮影)。

 ほかにも、脱炭素社会に向けた取り組みとして語っていたのが、LNG(液化天然ガス)燃料フェリーの増備です。

 すでにフェリーさんふらわあが、大阪〜別府航路で「さんふらわあ くれない」「さんふらわあ むらさき」、2隻のLNG燃料フェリーを運航しています。

 LNGを燃料にすることで、CO2(二酸化炭素)排出量は約25%、NOX(窒素酸化物)排出量は訳85%、SOX(硫黄酸化物)排出量はほぼ100%、それぞれ減らすことに成功したとのこと。

 いわば「地球にやさしい船」といえるLNG燃料フェリーを同社は今後、増やす計画であり、今後は2025年就航を目指して苫小牧〜大洗航路に2隻追加するほか、将来的には東京〜博多、東京〜苅田、神戸〜大分(2隻)の計4隻をLNG燃料船に切り替える計画だといいます。

 ちなみに、このたびの新会社発足にあわせ、さんふらわあトラベルからWeb予約限定商品「商船三井さんふらわあ合併記念キャンペーン さんふらわあ漫遊たび」も期間限定で発売されるとのことでした。