Googleによる独占禁止法違反訴訟に関連して、Appleのサービス担当シニアバイスプレジデントであるエディ・キュー氏がGoogle側証人として出廷し、AppleがGoogle検索を採用し続けていることについて、「最良の検索エンジンで、代わりがなかったから」と証言しました

Apple defends Google Search deal in court: ‘There wasn’t a valid alternative’ - The Verge

https://www.theverge.com/2023/9/26/23891037/apple-eddy-cue-testimony-us-google



Apple's Eddy Cue defends default search contract with Google in trial

https://www.cnbc.com/2023/09/26/apples-eddy-cue-defends-default-search-contract-with-google-in-trial.html

Apple's Eddy Cue Explains Why Google is iPhone's Default Search Engine - MacRumors

https://www.macrumors.com/2023/09/26/apple-on-why-google-is-default-on-iphone/

Apple端末に採用されているデフォルトブラウザであるSafariでは、デフォルトの検索エンジンにGoogle検索がセットされています。これはGoogleとAppleとの契約に基づくもので、2002年から続いています。

GoogleとAppleの契約内容は当然極秘ですが、外部要因で明らかになっている部分があり、たとえば2014年にGoogleが支払った金額はAndroidによる収益の1%にあたる10億ドル(約1500億円)相当であることが、GoogleとOracleとの裁判資料から判明しています。

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その3年後、2017年の支払額は30億ドル(約4500億円)と3倍に増えたことが、投資会社アライアンス・バーンスタインのアナリストによって指摘されています。

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さらに今回の独占禁止法違反訴訟で、司法省側弁護士が外部資料をもとに、Googleの2020年の支払額を「40億ドル(約6000億円)〜70億ドル(約1兆500億円)」だと言及しています。

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キュー氏は2016年に契約の再交渉が行われた際、Googleのスンダー・ピチャイCEOと話し合いを行ったとのこと。Apple側は、当時の支払い条件が「売り上げシェアのうち一定割合」だったことから、「支払ってもらうシェアの割合を増やすこと」を目標としました。一方、Googleは現状維持を目標としました。最終的に、両社の契約交渉はお互いの主張通りには決着せず、ライセンス料は非公開の別の数字を用いて決められることになったとのこと。

この2016年の契約交渉について「Googleと再契約しない選択肢はあったか」と質問されたキュー氏は「考えたこともなかった」と答えています。

「取引を成立させることがGoogleにとって最大の利益であり、我々の利益でもあったから」と語ったキュー氏ですが、経済面の問題だけではなく、そもそも「AppleにはGoogle検索に代わる選択肢がなかった」と述べました。

司法省は、端末のセットアップ時にGoogle以外の検索エンジンの選択肢が提供されていないと指摘し、キュー氏もそのことを認めましたが、その理由としてキュー氏は「ユーザーは早く端末を起動したいから」だと述べ、聞いたこともないような検索エンジンが複数並んでいてもユーザーエクスペリエンスの悪化にしかつながらないと説明しました。また、キュー氏は「最適な検索エンジンを選択した上で、ユーザーが変更できるようにしています」とも説明しています。

加えて、AppleとGoogleが最初に契約した当時、検索エンジンの選択肢は限られており、URL入力欄にURL以外のテキストを入力してそのまま検索できるというアイデアをシームレスに実現していたため、Google検索がApple製品で採用されることになったと説明しています。