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 一見するとその未来はただ順風満帆なものでしかないようにも見えた。10代でトッテナム・ホットスパーで定着を果たし、イングランドで最も期待される若手選手と目されていたデレ・アリだったが、それからわずか数年でその名声は失墜することになる。パーティや怠惰な生活、その結果で迎えた当然のキャリアの転落。イスタンブールを経て、今はエヴァートンに在籍する27歳のキャリアは、もはや終着駅に向かっているようにさえ感じられるかもしれない。

 「正直いって僕自身、このことを口にすることに不安を感じているんだ」スカイのTV番組オーバーラップの中で、ゲイリー・ネビル氏にそう明かした同選手は、1ヶ月半の入院生活を経て3週間前に退院し、「でも今は何が起こったのか、それを口にするときがきたのだと思っている」と語る。

 「大丈夫なのかい」とネビル氏が問うと、「そうだね、久しぶりにそういえる」とアリ。特に精神的には「今までのなかでは、かなり良い」そうで、「サッカーへの情熱をまた感じられるようになっている」と感じられるまで、何年にもわたってアリは精神的な問題に苦しみ続けてきた。「練習にいってそこで笑顔で楽しくプレーすることはできていた。でも心の中は間違いなくボロボロだった」そこでの武器となったのが、アルコールや睡眠薬である。「僕は依存症になっていた」

 アリへの批判家はこの流れをみると自らの正当性を感じているかもしれない、しかしそこに陥った理由は決してサッカーにおける成功や名声に酔いしれた結果なのではなかった。幼少期に味わったあまりに憂鬱な体験。話を聞くネビル氏の表情が非常に険しくなるほどに。「僕の母親はアルコール依存症だったんだけど、その友人に僕は虐待を受けていたんだ」とアリ。「それから僕はしつけという事で父のいるアフリカにいった。そして7歳でタバコを吸い、8歳でドラッグを売った。」そんな少年に12歳のとき救いの手を延べたのが、養父母となる「これ以上望めないほどに素晴らしい人たち」だった。

 しかし「僕は何年も自分自身を見失ってしまっていた、救いの手を僕は掴もうとしていなかったんだ。むしろ自分自身の力でなんとかしてやろうと思っていた」と振り返る。だが24歳のとき「ある朝のこと、僕は鏡の前に立ち、自分自身に自問自答したんだ。お前は自分が本当に大好きなことを捨ててしまうのか?ってね」それがサッカーだった。

 そしてサポートを受けながら今年の夏になり、遂にアリは受け止めることができるようになったという。それはまるで全てが一変したような感覚で、「これまで自分の足かせとなっていたことを、もう過去のものにすることができたんだ」とコメント。それは産みの両親とのコンタクトも含まれる。

 今回このことを公言したことは、「決して自分がこうなっていったことを、誰かに責めようとするためではない」とアリは強調。むしろこれによって「誰かが救われるかもしれない」と願ってのことであり、救いの手をためらわず握りしめて欲しいと、そしてこれまで「サポートや理解を示してくれた」クラブへ改めて感謝の気持ちを伝えた。

 そして27歳となったアリはまさにこれから生まれ変わり、第2のサッカー選手としての人生を歩んでいくことになる。「選手としても、そして人間としても、僕はあの頃よりもっと良くなりたい」と意気込みをみせたアリは、「これからどうなっていくのか。僕はいまただワクワクして前を向いているんだ」とその目を輝かせている。

エヴァートン、アシュリー・ヤングを獲得

 先日7月9日に38歳の誕生日を迎えたアシュリー・ヤングが、エヴァートンに移籍することが発表された。2007年から2011年までアストン・ヴィラ在籍し、その後のマンチェスター・ユナイテッドでのキャリア全盛期に繋げた同選手は、その後にインテルを経て2021年夏より再びアストン・ヴィラに復帰するも、この夏をもってフリートランスファーにて退団。今回新天地とは1年契約を締結している。