日本では6割の夫婦が陥ると言われるセックスレス。今回お話を伺ったのは20代の頃、20歳年上の夫と社内結婚したひかるさん(仮名・45歳)。夫のED、妻の不倫、不妊治療を乗り越えて、夫婦がたどり着いたのは…。

レスのまま人工授精で妊娠。一緒にいるのが耐えられない

不妊治療のクリニックで、夫のEDを相談するも医師からはあまりいいアドバイスがもらえず。そんな状況を知った義母が、金銭面のサポートをしてくれることに。
本当は自然妊娠がよかったけれど、もう背に腹は代えられません。義母のおかげでお金の心配はせずに、不妊治療をステップアップさせていくことができました。

幸い、私たちの不妊の原因は夫のEDだけだったので、人工授精3回目で妊娠が判明。そのまま安産で、かわいい男の子が誕生しました。いろいろ助けてくれた義母も大喜びしてくれて、ホッと肩の荷が下りた気がしました。

●もしも夫の単身赴任がなければ…

しかし私は長男誕生を機に、もう目的を達成できたというか、燃え尽きてしまって。子どもは本当にかわいくて、この子のためならなんだってがんばれる! と思える一方、夫とは同じ空間にいることも耐えられないくらいに関係が冷えきっていました。行為があってもなくても関係ないくらい、もう好きではなくなっていたのです。

幸い長男が1歳のときに夫が関西へ転勤になったので、単身赴任をしてもらう形で別居。なんとか2年くらいはもったのですが、その後東京に戻ってきたタイミングで正式に離婚しました。夫の単身赴任がなければ、離婚はもっと早まっていたと思います。

●話し合いができない夫との離婚大作戦

かつて私が不倫して家を出て行っても冗談として扱われ、離婚が回避されてしまいました。だから私は過去の経験を活かし、離婚するためにあれこれ作戦を考えたのです。

まず家じゅうから夫との思い出を全部撤去。写真も、夫が買ってくれた服やアクセサリーも、旅行先で買ってきたお土産も…全部ゴミ箱へ捨てました。そして、「男がいる!」と口で言っても信じないフリをするでしょうから、今度は物理的に男の影をちらつかせることに。

このときはもう子育てがいちばんで恋人なんていなかったのですが、寝室の引き出しにわざと避妊具を入れておいたり、花束を自分で買ってきてだれかからプレゼントされたかのような演出をしたり、デートへ向かうような派手なメイクとオシャレな格好をしてわざと外出して夜中に帰宅したり、お風呂場でだれかとコソコソ電話するフリをしたり…。

そんなことを半年続けていたら、夫のほうから「もう耐えられない。離婚しよう」と言い出したのです。

●レスの夫が支払った養育費や慰謝料の金額は?

夫は最後までまともに話し合いができない人で、子どもの親権を主張してくることもありませんでした。毎月7万円を子どもの養育費として支払ってもらうことになり、慰謝料はなし。7万円という金額も、夫の懐事情を考えて、現実的に支払い可能な金額として私から提案したものです。

この離婚準備の最中に、私は外資系企業への再就職を果たし、すでに夫よりもバンバン稼いでいました。だから正直お金なんていらなかったんですが、養育費は私ではなく、子どもがもらうお金。将来「お父さんはなにもしてくれなかったんだ」と悲しむことがないように、父親である夫には誠意と責任を見せてほしいと強く頼みました。

妊活・定年・親の介護という年の差婚ならではのリスクも

そして現在、高校生になった長男。これから大学へ進学するのでますますお金がかかります。

●定年で年収が激減。苦しそうな元夫

元夫は毎月途ぎれることなく養育費を支払い続けてくれています。それは長男名義の口座に手をつけずに全額貯金したまま。けれど数年前、養育費を減額してほしいという申し入れがありました。「22歳まで払うと約束した養育費だけど、減らしてくれない? 生活がきつくて…」。なんでも定年を迎えて子会社へ再就職をしたら手取りが大幅に減ってしまったというのです。

なので現在、月々の支払いは3万円に減額。さらに最近では「もうさ、早く再婚してよ。だれかいい人いないの?」と言ってきます。これは決して私の幸せを願っての発言ではなく、私が再婚すれば養育費がいらなくなると目論んでいるようで…。つくづく、この人と離婚して正解だったと思いました。

●かっこよかったあの頃の面影はもう消えて…

元夫と子どもの権利ですから、月に一度の父子面会も欠かしたことはありません。つい先日、父子面会のあと子どもを送ってきた元夫と、ものすごく久しぶりに顔を合わせました。コロナに感染して大変だったらしく、大好きだった声もガラガラになっていて…。そこにはもう、出会った頃のあの上品で優し気なイケオジの面影はありませんでした。

私と離婚が成立した直後、元夫のお父さんがオレオレ詐欺の被害に遭って、大変な金額の現金を失ってしまったのだそう。義理のお姉さんがテキパキした人なので、直ちに金融機関へ連絡をし、警察にも被害を報告。口座の預金が全額なくなる前に気がついたらしいのですが、すでに引き出されてしまった分は救済を受けられなかったといいます。元夫だけだったら、こういうトラブルにも対応しきれなかったろうなと想像してしまいました。

●45歳、再婚予定ナシ

一方、45歳になった私は、趣味のダイビングを思いっきり楽しむ日々。長期の休みは息子と二人で海外の海へでかけることも。その影響で、息子は「大学へ入ったら夏休みにダイビングのインストラクターの資格を取りたい」と意気込んでいるほど。

再婚については、職場やダイビングで知り合った男性と、何度かデートしたことはあるのですが、もう結婚はこりごりというのが本音です。近づいてくる男性が、みんな元夫と同じように思えてしまって。仕事も趣味も充実しているので、もうだれかと深いつき合いをしたいとは思いません。

●リスクの可能性もある年の差婚に今だから思うこと

私の周りには、20歳も年齢が離れた年の差婚をした人がいませんでした。じつの母親ですら、的外れな心配をしていたくらいです。ただ1人だけ、友人のお母さんで、私の結婚を「やめたほうがいい」とハッキリ止めてくれた人がいたことを最近思い出しました。

その人の同い年のいとこが、やはり2回りくらい上の男性と結婚したといいます。子どもがいちばんお金のかかる時期に夫が退職して金銭的な苦労をしているということや、年の離れた夫とその親が全員が体を壊してしまい、1人で3人の介護を引き受けることになってしまったこと、そして生活も見た目もボロボロになってしまっているという実際のエピソードを教えてくれました。

あの頃の私は、自分は大丈夫という謎の自信で、そのまま結婚してしまったけれど、今ならば年の差婚ならではのリスクがあることもわかります。

家族や親友だと余計に、決定事項として発表された結婚に否定的な口は出しにくいもの。その後のつき合いや関係性に影響が出ますしね。

これから年が離れた相手と結婚を考えている人は、反対意見があったらしっかり耳を傾け、いろんな可能性を想定して備えておくことをおすすめします。レス以上に重たい課題がのしかかる可能性がありますから。