｢転職する？｣迷う人､絶対知りたい"成功法則"3つ

2023年6月2日 5時40分

転職に役立つ戦略的・計画的なキャリアアップのコツとは（写真：zon／PIXTA）

コロナ禍を経て、「スタートアップで働きたい」という人が急増している。社会が大きく変わっていく時代だからこそ、「社会を変革する側」に早めに入っておきたい、と考える人が増えているのだ。

スタートアップ企業にコアメンバーとして参画するための転職・副業サイト「アマテラス」を2011年から運営している藤岡清高氏は、「スタートアップ転職・副業のプロ」として、これまでに2000人以上からスタートアップ転職や副業の相談を受けてきた。アマテラスを通じて、毎年200人以上がスタートアップ企業のコアメンバーやCxO候補として参画している。

そんな藤岡氏の初の著書『「一度きりの人生、今の会社で一生働いて終わるのかな？」と迷う人のスタートアップ「転職×副業」術』は、スタートアップで「働きたい人」「副業してみたい人」「興味がある人」の知りたいことが全部わかる、日本初の入門書だ。

「スタートアップ転職・副業のプロ」である藤岡氏が、転職を考える人が成功できる｢"染み出し"の法則｣について解説する。

「成果を出せるスキル」を身につけるには？

「いまの仕事を辞めたいけれど、経済的な不安で辞められず、いやいや仕事をしている」

「会社都合でキャリアが分断し、長年勤めていても社外で通用するスキルが積めない」

こうした不安を抱え、「転職したくてもできない」と悩んでいる人を、僕は数多く見てきました。

この悩みを打破する有効手段のひとつは、個々人が「成果を出せるスキル」を確立し、いつでも動ける＝転職できるようになることだと思います。

先端スタートアップでも通用するほどの「成果を出せるスキル」を身につけるためにおすすめしたいのが、「いまあるスキル」を軸として、職種や業種をシフトさせ、戦略的・計画的にキャリアアップしていく「染み出し」という成功法則です。

「染み出し」について、｢今と違う仕事したい！｣人の"成功法則"はこれだで解説しましたが、具体的に「染み出し」を実現させるには、じつは「3つの成功法則」があるのです。

戦略的・計画的なキャリアアップの法則「染み出し」のイメージは、「製氷皿」と似ています。

製氷皿のあるひとつの升に水を入れて、そこが満タンになると、隣接する升に、水が染み出してきますよね。

スキルも同じことで、「染み出す」ことができるのです。

「染み出し」で戦略的・計画的にキャリアアップをしよう（図『スタートアップ「転職×副業」術』より）

染み出し先は「いまあるスキル」次第で変わる

【成功法則①】職種などのスキルでの「染み出し」

まず1つ目は、「職種などのスキル」を活用して染み出す方法です。

染み出し先の範囲は、あなたの「いまあるスキル」次第で変わってきます。

「財務経理」「ソフトウェアエンジニア」など、専門性の高いスキルを持っていれば、さまざまな業種への転職が可能です。

しかし、「マーケティング」「法人営業」などは「顧客層やビジネスモデル、商習慣が近い業種」への転職のほうがいいですし、「教師」「医師」などの他業種への応用が難しいスキルは、同一業種への転職に限られます。

スキルに関して、詳しくは｢私､転職できる？｣判別する"3大スキル"はこれだも参考にしてみてください。

【成功法則②】業種での「染み出し」

これまでに経験してきた業種によっても、「染み出し」の範囲は変わってきます。これが成功法則の2つ目です。

業種群は、次の3つに大別できます。

【業種群①】取引先として幅広い業種と接点がある業種
→「業種またぎでの染み出し」が可能

業種群①は、コンサルティング、HR（Human Resources＝人的資源全般に関する業務）、メディアなどです。

幅広い業界を取引先としてビジネス展開を行っているため、他業界に関する知見が一定程度あり、業種をまたいだ「染み出し」が可能になります。

また、業界にこだわらず価値を出せる仕事をしていれば、転職の選択肢の幅が広くなるでしょう。

「業種」によっても「染み出し」の難易度は変わる

いっぽう、次の2つの業種群は、「業種群①」と比べると、転職先が限られてきます。

【業種群②】顧客やビジネスモデルが近い他業種がある
→「近隣業種での染み出し」が可能

「業種群②」は、一度自身の担当が決まると、同じ業界、属性の人たちと長くコミュニケーションをして業界のプロになる人を指します。製造業（造船、鉄鋼など）、商社、通信などです。

その業界を軸に転職し、ビジネススキルを染み出しながら広げていくことが可能です。

他方、最も染み出しの範囲が狭い「業種群③」は、いわゆる規制業種や閉鎖的な業界です。

【業種群③】規制業種などで、その業種独自のルールが多い
→「同一業種での染み出し」に限る

これらの業界では、その業界独自のルール対応が求められる一方で、業界を超えたポータブルなスキルが習得しづらく、結果として転職の選択肢が狭められます。

典型的なのは、医療・教育・金融業界です。保険、バイオ、エンタメなども「業種群③」に当たります。

とはいえ、業種群③に一度就職してしまったら、終身雇用以外のキャリアアップ方法はないのかというと、そんなことはありません。同業種の最先端領域へと染み出せばいいのです。

「スキルに自信のない人」にこそおすすめな方法

そして、「いまあるスキル」に自信がない人にこそおすすめなのが、成功法則の3つ目である「ビジネスモデル・ツール」を活用した「染み出し」です。

【成功法則③】「ビジネスモデル・ツール」の経験値を活用した「染み出し」

成功法則の3つ目は、「ビジネスモデル・ツール」、すなわち「新しいビジネスの形」を構築した経験を生かし、転職をするということです。

採用ニーズが高い「ビジネスモデル・ツール」は、以下のようなものです。

・EC（eコマース、電子商取引）
・SaaS（Software as a Service、提供者［サーバー］側で稼働しているソフトウェアを、インターネットなどのネットワーク経由で利用するサービス）モデル
・B2B/B2C/C2Cプラットフォーム
・サブスクリプション（定額料金を支払い利用するコンテンツやサービス）モデル
・THE MODEL（営業プロセスを分業体制で運営し効率化させる仕組み）の構築

「転職をしたいけれど、スキル的に難しいかも……」と思う人は、いま勤めている古いワークスタイルの自社にメスを入れ、DX（デジタルトランスフォーメーション＝デジタル技術を用いたビジネス改革）プロジェクトを立ち上げる提案をしてみましょう。

すでにDXプロジェクトがスタートしていたら、手を挙げてメンバーとして参加させてもらいましょう。

自社のビジネスモデルが、SaaSモデルやTHE MODELのような形に変わることに成功すれば、経営者から大きく評価されますし、会社の生産性が上がればやりがいを感じることもできます。外部のDXコンサルティング会社を巻き込んでみてもいいかもしれません。

結果を出した暁には、あなたは社内の「名誉ある改革者」「DX人材」としてのスキル経験を手に入れるだけではなく、貴重な「転職チケット」までついてくることになるというわけです。