ビッグフットはアメリカで目撃される未確認動物(UMA)であり、二足歩行する身長約2mの巨大な猿人のような姿をしているといわれています。そんなビッグフットの正体について、「二本足で立ったクマの可能性が高い」と主張する論文が、生命科学や医学分野のプレプリントサーバー・bioRxivに投稿されました。

If it’s there, could it be a bear? | bioRxiv

https://doi.org/10.1101/2023.01.14.524058

Bigfoot Has a Very Simple Explanation, Scientist Says : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/bigfoot-has-a-very-simple-explanation-scientist-says

ビッグフットのようなUMAにおいては、まず「実在する派」と「実在しない派」が存在し、実在しない派の中でも「UMAの正体」についてさまざまな説が提唱されています。ビッグフットの場合は狂言説やクマ説などが存在するほか、連邦捜査局(FBI)は1976年に「ビッグフットのものと思われる体毛」について分析した結果、「鹿の一種のもの」と結論づけています。

FBIが未確認動物「ビッグフット」の正体を調査した結果が公開される - GIGAZINE



by Amit Patel

新たに、データサイエンティストのFloe Foxon氏は、ビッグフットの正体として有力な「クマ説」に着目し、「北アメリカ大陸に生息するクマとビッグフットの目撃例の分布」について研究しました。

クマは基本的に四足歩行で移動しますが、時には二本足で立ったり歩いたりすることが知られています。実際にクマが人間のように二本足で歩く様子は、以下の動画を見るとよくわかります。

Watch These Bears Walk on Hind Legs Entertaining Surprised Tourists - YouTube

ゆっくり徐行するバスを珍しそうに見ている2頭のクマ。



すると、クマたちはひょいっと後ろ足で立ち上がりました。



さらに1頭は、まるで着ぐるみを着た人間のようにスタスタと2本足で歩き始めました。



また、2014年〜2016年にかけてアメリカ・ニュージャージー州で目撃された「ペダルズ」というアメリカグマは、前足のケガの影響で2本足で歩いている様子が撮影されて大きな話題を呼びました。

New Jersey's Walking Bear Mystery Solved - YouTube

Foxon氏はアメリカとカナダを対象に、Bigfoot Field Researchers Organizationが収集した20世紀以降のビッグフット目撃例とアメリカグマの生息数、そして人口密度に関するデータを照合して分析を行いました。人口密度についても考慮に入れているのは、その地域に住んでいる人が多いほど、ビッグフットの目撃例も増えると考えられるためです。

回帰モデルによる分析の結果、特に太平洋沿岸の北西部において、アメリカグマと人間の数が多いほどビッグフットの目撃例も多いという相関関係が見つかりました。Foxon氏によると、一部の州や地域では「ツキノワグマ900頭ごとにビッグフットの目撃例が1例存在する」という傾向がみられたとのことです。

一方、テキサス州とフロリダ州ではビッグフットと同一視されることが多いサスクワッチ(サスカッチ)の目撃例が多いにもかかわらず、アメリカグマの繁殖が確認されていないという例外も存在しました。Foxon氏は、「特にサスカッチの目撃情報は、繁殖するアメリカグマの繁殖が確認されていない州でも報告されています。これは、北アメリカに未知のヒト科動物が存在する証拠と解釈することもできますが、他の動物(人間を含む)の誤認などの可能性で説明することもできます」と述べています。

Foxon氏は、「結論を言うと、ビッグフットが多い地域には多くのクマがいるかもしれません」と述べて論文を締めくくりました。