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 バイエルン・ミュンヘンのオリヴァー・カーン代表は、マヌエル・ノイアーによるクラブ側への明確な批判に対して反論。南ドイツ新聞やアスレティックとのインタビューの中で、36歳の主将は「トニ・タパロヴィッチ氏の退任に関して、この2つのインタビューではキャプテンとしても、そしてバイエルンの価値観という点で共有できるものではない」発言があったと、ドイツ通信社に対して語った。「しかも彼が今回発言したタイミングは、我々がまさに非常に重要な域に差し掛かっている、マズい時期に行われたものなのだよ」

 ノイアーはそのインタビューのなかでクラブ首脳陣、とりわけ長年の友人でもあるトニ・タパロヴィッチGKコーチの退任について批判を口にしており、「僕のキャリアでも最も辛辣だった」とコメント。これにカーン代表は「個人的にダメージを受けてしまった。そのことについてはある程度理解は示さなくてはならないだろう」とした上で、「我々がノイアーにこのことを説明した時にも、このGKコーチ問題は決して軽々しく出した結論ではなくチームにとってベストであることを意識的に説明していたんだ」と強調。

 自身もまたドイツ代表時代に懇意だったゼップ・マイヤーGKコーチが退任、その後にアンドレアス・ケプケGKコーチが就任して、それからイェンス・レーマンに先発の座を譲るという経験をしたことがある。「私も当時は失望したものだよ」とカーン代表。「だがね、私にとっては皆の目標の方が重要だった。ここで個人的な感情よりも優先すべきことがあると思ったんだ。だから私は当時に公言するようなことは避けている、マヌエルは今、その逆をいってしまったがね」と言葉を続けている。「我々はこのことについて、しっかりとマヌエルと話し合いの場をもつよ」

自己防衛に走ったノイアー

 普段のノイアーは試合後にチームのことについてインタビューを受ける時、プレーと同様に守る盾として非常にアクティブに、外交的な振る舞いで大衆主義や厳しい批判に走ることなく、冷静さと自制心もって臨む姿が頻繁に向けられる。だがこと自身のこととなると攻撃モードに切り替わるところがあり、それは『マーク=アンドレ・テル=シュテーゲン案件』において、一部の評論家が代表チームにおけるフェアな争いを求めた際にも、あくまで主観的に自己防衛に走っており、今回もまた然り。だが今回はより激しさをもって守りに入っていた。

 相手について特に名指ししているわけではないとはいえ、ただタパロヴィッチ氏との退任に影響を与えたとみられるユリアン・ナーゲルスマン監督とは、今回のインタビュー後より一層冷え込んだ関係性となることは間違いない。そもそもノイアーよりもジョシュア・キミヒとの意見交換を好むと言われる指揮官とは、負傷する前からとりわけ親しかったわけではなかったのだ。

 そういった経緯がある中で今回、もはやすでにクラブ首脳陣に伝えていたであろう内容を、メディアに対して、しかも自身の擁護のために発言を行なったということ。これはカーン代表のいうように「非常に重要な局面にある」チームを踏まえ、「主将としてもクラブとしてもその価値観を共有できるものではない」はずだ。