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 ランス戦を前に行われた記者会見の席にて、パリ・サンジェルマンのクリストフ・ガルニェ監督は「パリ・サンジェルマンのリーダーは誰か?」との質問に「マルキーニョスだ」とシンプルに返答した。確かにここで主将の名前を答えることは、さして難しいことではない。ただ注目されているのはその背後にいる副主将の存在であり、パリ・サンジェルマンでは。プレスネル・キンペンベ、マルコ・ヴェラッティ、セルヒオ・ラモス、そしてキリアン・エムバペという4人が控えているのである。

 とりわけエムバペについては昨夏の契約延長の際により多くの発言権、影響力が約束されたともいわれており、今シーズン途中から就任したガルティエ監督としては当然ながら、その約束を果たしていかなくてはならない立場にあるといえるだろう。だからこそ「エムバペが副キャプテンである」と発言したことは、シーズン当初の流れから大いに注目を浴びることになった。そこでこの日の会見で指揮官は「誤解を招いてしまった」と発言内容に距離を置く姿勢をみせており、SNSで苛立ちをみせたキンペンベを気遣ったのである。

 確かに本来ならばマルキーニョスの代わりに主将を担う際に、まずはキンペンベが務めることはほぼ明白なことであり、今回の騒動はガルティエ監督就任以来はじめて起こった選手と監督による摩擦。いかにパリという場所ではエゴの部分で影響を及ぼすものか。いかに慎重さが求められるものか、身をもって痛感していることだろう。ただ基本的には、あくまで事実のみを語っていたにすぎない。それでもチーム内の雰囲気には確かに影が落とされてしまった。

 パリ・サンジェルマンにおける内部のヒエラルキーは、キャプテンのマルキーニョスを頂点にした明確なものではあるものの、比較的おとなしめなキャプテンよりも最も影響力をもっているのはどうやらエムバペのようで、さらにその後ろにはリオネル・メッシはもちろんのこと、前述のヴェラッティやラモスら、おなじみの顔ぶれがズラリ。とはいえ年明けから思うような戦いがみせられないフランス王者としては、ここで権力争いに集中する用意などない。結局は日曜のリーグ戦で痛み分けを演じており、2位ランスとの勝ち点差は3という状況にあるのだ。

 そんな中でパリ・サンジェルマンでは、オリンピック・リヨンから、フランスが大いに期待する逸材ラヤン・チェルキの獲得を目指しているといわれているところ。3年前よりトップチームで活躍する19才はスピードがあり、またトリッキーなプレーもみせる、テクニック面で特に優れた選手。レ・キップによればフランスU21代表FWの移籍金額は2000万ユーロで、さらに成果に応じたボーナスの可能性もある模様。