ラップ超難曲で「NHKのど自慢」優勝 SOUL′d OUT歌唱男性が話題...本人驚き「ネタ枠だと思っていた」
戦後から続く長寿番組「NHKのど自慢」で、衝撃のチャンピオンが誕生した。2022年12月11日放送回で、人気ヒップホップグループ・SOUL'd OUT(ソウルドアウト)の代表曲「ウェカピポ」を歌唱した男性が優勝し、ネット上で大きな話題を呼んだ。
歌うのが難しいことで知られている同曲を、なぜ歌おうと思ったのだろうか。歌唱した本人に話を聞いた。
作詞者の元メンバーも祝福「おめでとちゃんです」
NHKのど自慢は毎週日曜昼にNHK総合で放送されている参加型の音楽番組。毎週日本各地を舞台に、地域住民たちがその歌声を競い合う。太平洋戦争終戦直後の1946年からラジオ放送がはじまり、53年以降はテレビで放送されている長寿番組だ。
12月11日放送回では長崎県諫早市を舞台に、19人の参加者が出場した。7番目に登場したのが、ヒップホップ系のファッションに身を包んだシステムエンジニアの男性。選んだ曲は、2000年代中頃に人気を集めたグループ・SOUL'd OUT(14年解散)のデビュー曲「ウェカピポ」(03年)だった。
日本語と英語が交じり合った、まくしたてるようなラップが特徴の同曲は、ネット上などで「カラオケで歌うのが難しい」曲として知られる。しかし、男性は歌詞を滞ることなく歌い上げ、ゲストの五木ひろしさん、ももいろクローバーZもノリノリで手を叩いて応える。サビに差し掛かったところで「合格」の鐘が鳴り、男性はのけぞりながら喜びを表現した。このパフォーマンスが評価され、最終的に男性は優勝を果たした。
ラップの名曲がのど自慢で優勝を飾ったことに、ツイッター上では「ウェカピポで優勝!?」「マジで凄い」「優勝はヤバすぎる」「時代がようやくSOUL'd OUTに追いついてきた」と驚きの声が続出。ファンキーなリズムを奏でたバックバンドにも「生演奏してるのど自慢バンドエグい」「後ろマジでプロ過ぎん??」と称賛の声が集まった。
SOUL'd OUT元メンバーで、「ウェカピポ」の作詞を手がけたBro.Hiさんは放送後、ツイッターで「ちょっ!ウチらのがベテランなのに〜笑いやいや、おめでとちゃんです」と優勝を祝福。SOUL'd OUT ファンを公言しているヒップホップユニット・Creepy NutsのR-指定さんは、12日放送の「Creepy Nutsのオールナイトニッポン」(ニッポン放送系)で「すごい」と言及した。
「悪ノリ」で選んだ「ウェカピポ」
J-CASTニュースは12月13日、「ウェカピポ」を歌い優勝した長崎県在住の高崎さん(28)に話を聞くことができた。
――今回、のど自慢に出場されたきっかけをお教えください。
高崎さん「同僚との会話の中で、ノリで各々出ようという話になりました。今までのど自慢で見たことない曲で応募してみようということになり、悪ノリで『ウェカピポ』を選びました。結局同僚は出張が決まって出場を断念しましたが、私だけ応募してしまっていて、引けなくなったところで予選会に出られることになってしまった感じです」
――高崎さんはSOUL'd OUTのファンなのでしょうか。
高崎さん「はい!普通にファンです!中学1年生の頃だったか、SOUL'd OUTの『Starlight Destiny』という楽曲を聴いてハマりました。途中離れていた時期もありましたが好きになったのは16年前ですね。ライブDVDも買ってめっちゃ観てました。武道館LIVEのDVDは名盤です」
――ウェカピポは歌うのが難しいことで知られています。練習はされたのでしょうか。
高崎さん「練習はカラオケボックスに行ってやっていたとかではないんですが、英語の歌詞の発音は練習しました」
――ヒップホップ系の服装でしたが、ボーカルのDiggy-MO'さんのファッションを意識されたのでしょうか。
高崎さん「服装はかなり意識しました。たまたまDiggy-MO'さん公式の帽子を持っていたので、ここで被るしかないだろ!って感じです」
優勝は「嬉しいよりも驚きが勝っていました」
――優勝した心境をお聞かせください。
高崎さん「まず、合格したのがびっくりでした。正直、ネタ枠だと思っていたので。優勝発表の時も、他の参加者さん達も皆さん歌がお上手だったので全然構えていませんでした。嬉しいよりも驚きが勝っていました」
――ツイッター上では大きな反響がありました。
高崎さん「Twitterもバズってしまって、ご本人や有名な方からの反応もあって不思議な感覚ですが、皆さん好意的なコメントばかりで、SOUL'd OUTが愛されていて嬉しくなりました。今後も一サラリーマンとして働いて、一リスナーとしてSOUL'd OUTを聴きますが、これを機に何かS.O Cru(SOUL'd OUTファン)の皆さんと素敵な縁ができたのかなと思います。のど自慢にもこのようなラップ曲で優勝した前例が出来たのも大きいかなと思います。会場ではゲストの方もご年配のお客さんもみんな手を振って下さって、ジャンルにボーダーは無いと感じました。音楽最高です」
――今後の目標や、望むことがあればお聞かせください。
高崎さん「全国放送で応援しているサッカーチーム(V・ファーレン長崎)の名前が出ていたので少しでもPRできていれば嬉しいですね。新幹線もできて、ほんの少しは長崎県が近くなったと思います。他ののど自慢参加者の方もアピールされていましたが、長崎は良いところなので是非足を運んで頂ければ幸いです!ペイス!」
――最後の「ペイス」とはどういう意味でしょうか。
高崎さん「ペイスはペイスです。正直僕にも分かりません。『1000000 MONSTERS ATTACK』という楽曲の最後にDiggy(-MO')氏が『分かってんだろ?ペイス』と呟いて終わります。ライブでもよくペイスと言うので、SOファンの合言葉的になっている感じです。よろしくお願い致します!ペイス!」