Windows 11にてiCloudフォトをサポートする「フォト」の一般提供が始まった。Microsoftの公式ブログによれば、11月中の広域展開を予定している。

iCloudフォトをサポートした「フォト」(Microsoft公式ブログから)

昔からPCで写真や動画を管理する場面は多いが、筋金入りのPCユーザーを自負する筆者でも、現在は一人で見るときはスマートフォン、複数名ならタブレットを使う。ただ、今回対象となるのはiPhoneやiPadではない。iCloudだ。つまりiCloudへ写真や動画をアップロードしていないユーザーは何も映し出されないので、初めは戸惑うだろう。だが、「フォルダー/iCloud写真/Photos」に画像ファイルをドラッグ&ドロップすると同期対象に含まれるため、PCからiPhone・iPadへ写真や動画を送り出すのが若干便利になる。

iPadの「写真」

PCからiCloudフォトに画像ファイルをアップロードした状態

筆者はiCloudを有償契約していないが、先の画像ファイル同期は確認できた。こうなるとiCloudの容量がほしくなる。調べてみると、クラウドストレージ容量を拡張するiCloud+は50GBが130円、200GBが400円、2TBが1300円(いずれも月額、税込)。200GBあたりが手ごろに感じるが、法人向けおよび個人向けMicrosoft 365(個人向けは現在休止中)、Google Cloudと複数契約していると、これ以上増やしたくないのが正直なところ。ただ、個人用Microsoft 365を契約して画像・動画ファイルをOneDriveで管理し、普段からiPhoneで撮影・録画しているユーザーはiCloud+の契約は一考に値するだろう。

iPadでiCloudフォトの同期を有効にすると、過去の写真が現れる

最終的に画像・動画ファイルはバックアップを除けば、一カ所にまとめるのがベストだ。筆者は現在、Microsoft 365 Business StandardのOneDrive for Business内で管理しているが、「フォト」はOneDrive for Businessに未対応。そこでローカルフォルダーの追加を試みたがうまくいかない。個人向けアプリのため後回しなのかもしれないが、「フォトレガシー(旧フォト)」はフォルダー単位で追加できたので、少々ガッカリしてしまった。

そういえば、Androidデバイスの画像・動画ファイルは「スマートフォン連携」を使う必要がある。各メーカーのオープン性が関わっているのは理解しつつも、モバイルデバイスによって使用するアプリを変更するのも面倒だ。

「スマートフォン連携」

iPhone・iPadを主たるモバイルデバイスとして使用している筆者だが、いずれも内蔵ストレージ容量は最小限の端末を選んでいる。近年のコロナ禍で外出する機会が減り、写真を撮影することもめっきり少なくなったが、iPhone・iPadのiCloud同期を無効にして、OneDriveアプリの自動アップロード機能を利用。最終的にOneDriveないしOneDrive for Businessで管理するスタイルに変わりはなさそうだ。

筆者が心配することではないが、個人用Microsoft 365の1TBクラウドストレージが持つアドバンテージが曖昧にならないだろうか。少々斜めから見てみると、個人用Microsoft 365の売り上げに上限が見えてきて、Windows 11の価値を高める方向性が強まったとも思える。

著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。 この著者の記事一覧はこちら