新潟空港を拠点に就航へむけ準備が進んでいる新規航空会社「トキエア」が、就航地の目玉としているのが、佐渡空港です。どのようなところで、これまで空路が途絶えていたのはなぜなのでしょうか。

本州への往来は海路がメインの「佐渡島」

 新潟空港を拠点とするリージョナルLCC(地域間輸送格安航空会社)のトキエアが、就航開始にむけ準備を進めています。2022年10月にはヨーロッパの航空機メーカーATRより、同社むけ初号機、ATR72-600「JA01QQ」が納入されています。このトキエアが将来的な就航地の目玉として掲げているのが、新潟県の「佐渡空港」です。


佐渡空港(乗りものニュース編集部撮影)。

 新潟県の佐渡島は、東京23区の2倍の面積を持つ日本海側最大の離島で、人口は約5万1000人(同市ホームページより)。その空の玄関口が佐渡空港ですが、2022年現在、定期旅客便は運航されていません。

 本州〜佐渡島は長年、海路での往来がメインです。新潟港〜両津港のカーフェリー(2時間30分)、ジェットフォイル(1時間7分)と、直江津〜小木港のジェットフォイル(1時間15分)がそれぞれ運航されています。そうしたなかトキエアは2023年以降に、新潟〜佐渡線の開設を予定しており、順調にいけば海路一択といえた本州のアクセスに、空路が追加される予定です。

 その佐渡空港は、どのようなところで、現在どのような状況なのでしょうか。

佐渡空港、実際に行ってみた

 佐渡空港は1958年11月に佐渡飛行場として開設。1971年には県空港として供用が開始されました。両津港より約4kmの場所にあり、滑走路の長さは890m、その一方は湖(加茂湖)に面しています。かつては日本国内航空や新中央航空、新日本航空などが定期便を就航させていましたが、2014年より運休状態が続いています。

 佐渡空港の空港ビルは、1階建ての小ぢんまりとしたものでした。館内にはカウンター、ソファのある待合室、化粧室などの設備があります。一方で、通常の空港のような大型機械のある保安検査場、売店といった設備はなく、いうなれば公園の管理棟のようなイメージです。

 その空港内には、トキエアの就航を願うポスターや、空路の開設、そして滑走路の延伸を訴えるパネルが掲げられています。

 佐渡空港に就航した定期便が相次いで運休となってしまったのは、この滑走路の短さも理由とされています。890mだと就航できる旅客機は20席級のプロペラ機程度で、ジェット機の運航はまずできません。滑走路が長ければ発着できる旅客機の種類も増え、ひいては首都圏空港への発着も可能になるということで、2000mへの拡張整備を推進する動きも見られます。


トキエアのATR72-600「JA01QQ」(画像:トキエア)。

 一方トキエアが使用するATR72-600は70席クラスのプロペラ旅客機。スペック上、890mでは重量などの制限なしでは滑走路の長さが足りない状況です。

 そこで同社では、現在開発が進んでいる「ATR42-600S」を導入し、佐渡線へ投入する計画の検討を進めており、2021年には同機に対する取引意向書を締結しています。ATR42-600SはATR72-600を一回り小型にした、40席クラスのターボプロップ機。最短800mの滑走路で離着陸が可能なSTOL(短距離離着陸)性能が特徴で、このモデルであれば佐渡空港へも難なく発着できます。なお、ATR42-600Sの初号機納入は2025年初頭を予定しているとのことです。

 長年、地域航空会社にとって“鬼門”のひとつだった佐渡空港。もしかするとトキエアが、この空港に新たな風を吹かせてくれるかもしれません。