ジャンボフェリーの新造船「あおい」の船内を実見。従来船よりもかなり大きくなり、“瀬戸内海に浮かぶリゾート”をコンセプトとした新造船は、豪華かつバラエティーに富んだ設備ばかり。ジャンボフェリーのイメージを覆しそうです。

海の上に“浮いてる”展望風呂!? 内装もスゴイ「あおい」

 ジャンボフェリーが32年ぶりに新造したフェリー「あおい」がいよいよ2022年10月22日に就航します。トラックの輸送能力を増強しただけでなく、小豆島に向かう観光客に瀬戸内海の旅を楽しんでもらうべく、船内設備をグレードアップ。従来のジャンボフェリーとは一線を画します。10月16日に高松港で開催された内覧会にて、その内装を一足先に見てきました。


新造船「あおい」(深水千翔撮影)。

 神戸〜小豆島〜高松の瀬戸内海航路にデビューする「あおい」は5200総トンと、これまでジャンボフェリーが導入した船舶の中で最大の船型です。置き換えられる「こんぴら2」の3700総トンに比べて、約1.4倍に拡大したことになります。積載能力は大型車換算で現行船の64台から84台となり、客室スペースも拡大したことで旅客定員は475人から620人に増えました。

 大きな船体の採用は、旅客やドライバーが利用する空間を広くし、余裕を持った配置を実現しています。ジャンボフェリーは「瀬戸内海に浮かぶテラスリゾートAoi」をコンセプトに掲げ、内装には小豆島を象徴するオリーブ・醤・石・棚田の4モチーフに取り入れたデザインを採用。船旅そのものを楽しめる空間を作り上げています。

うどんスペース拡充! 船内はマジで「リゾート」

 エントランスにはピアノが置かれており、乗船時には生演奏での出迎えも行うそうです。ここにはキッズスペースも置かれているので、子供にとっても楽しめる場となっています。

 ジャンボフェリー名物、うどんと飲食スペースは大きく拡充。うどんコーナー「ふねピッピ」では、オリーブやレモンなど地域色あふれるオリジナルうどんを、隣接する売店「うまげや」では小豆島の有名ジェラート店や酒蔵とのコラボ商品なども提供していきます。季節限定で讃岐名物のあんもち雑煮も用意されるとのことです。

 最上部の展望スペースも大きく広がっており、島が連なる瀬戸内海の風景や真下をくぐる明石海峡大橋の迫力ある光景を余すことなく楽しめるようになっています。さらに、甲板下のフロアからハングオーバー(空中張り出し)構造の展望風呂と足湯も設けられました。風呂は乳白色に輝く「ホワイトイオン泉」の色から「雲の湯」の名前が付けられています。足湯からは側面の景色だけでなく、ガラス張りの床越しに瀬戸内海を進んでいく様子を見ることができます。

客室の目玉は新規導入の「プレミアム席」

 客室スペースはプレミアム席専用エリア、自由席エリア、ペット専用エリア、大型ドライバー専用エリアの4区分。各エリアの入退場は乗船券のQRコードで管理できるようになっています。

 なかでも「あおい」から導入されたプレミアム席専用エリアは、この船の目玉とも言える客室設備です。

 2階前方には、ゆりかご式の独立コンフォートリクライニングシートや、プライバシーを確保できるコンパートメント個室などを配置。女性専用席も用意されており、一人でも安心して旅行できるよう工夫されています。ちなみにシートのクッション材には、新幹線グリーン席と同じ「ブレスエアー」を採用しているとのことです。

 最前列は“キャプテンシート”として進行方向の海を眺められるようになっています。中央にはレピータコンパスや速度計といったブリッジと使っているものと同じ航海計器が設置されており、海を見ながら「あおい」の航海士気分を味わえます。

 その後ろ側には上下2層式のロフト個室があります。2階後部には畳敷きの一般席“のびのび席”と、6人掛けのボックス席が置かれています。3階には瀬戸内海の景色を海風とともに眺められるバルコニー付き個室や、家族連れ向けのファミリー個室も設けられています。


新造船「あおい」(深水千翔撮影)。

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 客室や共用部ともに、これまでのジャンボフェリーのイメージを覆す新船「あおい」。就航初便は10月22日神戸8時30分発の小豆島経由・高松行きです。高松到着後はそのまま14時発の便となり神戸へと戻ります。