「ななつ星 in 九州」10年目に一新! 「正直、いじりたくなかった」… 客室減らして“茶室”爆誕!?
運行開始から10年目を迎えるJR九州の豪華クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」がリニューアル。客室数や定員を減らした一方で、「茶室」が車内にしつらえられるなど、中身は豪華になっています。どのような旅が始まるのでしょうか。
新たに茶室、サロン、バーを設置
JR九州の「ななつ星 in 九州」は、2013(平成25)年10月15日に運行開始した豪華クルーズトレインです。本2022年で10年目を迎えるにあたり、一部がリニューアル。10月12日(水)、博多駅において報道公開されました。
DF200-7000が牽引する「ななつ星 in 九州」は、10月15日から新たなコースで九州を巡る(2022年10月12日、皆越和也撮影)。
「ななつ星 in 九州」は2、3、4、6号車がリニューアルされ、部屋数は3号車が2室減、4号車と6号車が各1室減と、従来の14室から10室となり、定員も28名から20名となりました。
大きくリニューアルされたのは2、3号車です。2号車は従来ダイニングカー「ジュピター」として利用されていましたが、このたびサロンカー「木星」とされ、長椅子を並べたサロン、そして1.5畳の茶室が設けられました。サロンでは乗客同士で会話が楽しめるほか車内アクティビティの場としても利用でき、ドリンクもセルフサービスで提供されます。茶室は、床は畳敷きであるものの、正座ではなく椅子を用いた立礼式(りゅうれいしき)を採用しています。
3〜6号車はゲストルーム「スイート」ですが、3号車についてはバリアフリーの301号室はそのままに、302、303号室をギャラリーShop「なな」とBAR「KAZBAR」にリノベーション。「なな」では選び抜かれた九州の伝統工芸品、現代の匠の作品、九州独自の食の名産品などが並びます。JR九州によると、「家に持ち帰っても日常生活で楽しめ、人にも贈りたくなるような『ななつ星』ならではのアイテム」だそう。
一方「KAZBAR」はわずか4席のみ。「ななつ星 in 九州」スタート時からのクルーである数澤さんがバーテンダーとなり、“注文した人だけ”のオリジナルカクテルを出してくれるそうです。
水戸岡さん「正直言うといじりたくなかった」
報道公開にあたり、JR九州の福永嘉之鉄道事業本部長は次のように挨拶しました。
「今まで9000組、1万7000人を超えるお客様にご利用いただきました。10月15日より“エピソード2”として新しいコースを設定しましたので、コンセプトに変更はありませんが、“100年を超える物語をつなぐ”ということをテーマに取り組みたい。車両の改造はお客様に出会いを提供できる場を作りたいということで、6月から3か月間かけてやってきました」
水戸岡鋭治ドーンデザイン研究所代表(2022年10月12日、皆越和也撮影)。
またデザインを担当した水戸岡鋭治ドーンデザイン研究所代表は「正直言うと運行開始から9年ほどではいじりたくありませんでした。最初の時点で死にそうになって作りましたから(笑)」と明かします。
「第二章ということでどんな舞台にするか、皆さんの考えを聞いてデザインしたわけですが、まずは車両を磨き上げると、これまで使い込んだものが美しく経年変化して別の味わいを表現している状態に蘇りました。定員が20名に少なくなったので、2号車には全員が一緒に集まれるようなサロンを作りました。また茶室では九州の神羅万象を感じながら豊かな時間を過ごすことができると信じています。線路の上を走りながら、世界の一流ホテルに負けない豊かな感動を心と身体で味わえる、そんな時間と空間を提供したつもりです」
クルーズトレイン本部長である松尾英典さんは以下のように話します。
「これまでも九州各地には『ななつ星』ファンの子どもたちが来てくれました。いつも駅で手を振ってくれていました。3か月お休みしていましたが、ようやく走り出すわけですから、『ななつ星』が帰って来たと集まって欲しいし、いつかこの列車に乗りたいと思ってもらえるような列車であって欲しい」
「ななつ星 in 九州」のエピソード2は10月15日(土)に始まります。1泊2日コースでは初めて南九州を走行するほか、3泊4日コースでは10〜12月が霧島コース、1〜3月が雲仙コースを予定。旅行代金は65万円(スイート)からです。