Metaはスタンドアローン型のハイエンドVRヘッドセット「Meta Quest Pro」を、2022年10月26日から発売する予定です。Quest Proの発表と共に、プライバシーポリシーに「アイトラッキングに関するプライバシー通知」という項目が追加されたことから、「Metaはユーザーの視線を追跡して広告に利用するのではないか」と報じられています。

アイトラッキングに関するプライバシー通知 | Meta Store

https://www.meta.com/ja-jp/help/quest/articles/accounts/privacy-information-and-settings/eye-tracking-privacy-notice/



Meta Quest Pro VR Headset Will Track Your Eyes for Targeted Ads

https://gizmodo.com/meta-quest-pro-vr-headset-track-eyes-ads-facebook-1849654424

Meta may use the Quest Pro's eye-tracking to serve ads because of course it will - Android Authority

https://www.androidauthority.com/quest-pro-targeted-ads-3220392/

Metaが2022年10月12日に発表した「Quest Pro」は、最新鋭のVRデバイス向けチップ「Qualcomm Snapdragon XR2+ Gen1」や表情トラッキングが可能なインサイドアウトカメラなどが搭載され、性能が大きく向上しました。その一方で価格も大幅に上昇しており、日本での販売価格は22万6800円からとなっています。

発表会現地での「Meta Quest Pro」実機レポートまとめ - GIGAZINE



そんなQuest Proの発表に合わせて、Metaのプライバシーポリシーに「アイトラッキングに関するプライバシー通知」という項目が追加されました。この項目には「アイトラッキングは、Meta Quest Proヘッドセットの機能であり、カメラを使って視線の方向を推定するものです」と記されています。

アイトラッキングのデータはVRアバター同士のアイコンタクトや表情の変更、VRで見ている範囲の画質向上に用いられるとのこと。また、Metaは「追加データをMetaと共有することを選択した場合、MetaはエクスペリエンスのパーソナライズとMeta Questの改善のために、アイトラッキングを含むヘッドセットの利用状況に関する追加データを取得します」と述べ、その他の用途にもアイトラッキングのデータを使用することを示唆しています。

海外メディアのGIZMODOは、「このポリシーは、Metaがデータをマーケティングに使用すると文字通り述べているわけではありません。しかし、『あなたのエクスペリエンスをパーソナライズする』という一文は、ターゲティング広告のためにプライバシーポリシーに記される典型的な言葉です」と指摘し、アイトラッキングがターゲティング広告に使われる可能性があると主張しています。

実際、Metaの国際問題担当プレジデントを務めるニック・クレッグ氏はファイナンシャル・タイムズのインタビューで、アイトラッキングデータは「人々が広告に関心を持っているかどうかを知るために」使用できると述べています。なお、GIZMODOの問い合わせに対してMetaは回答しなかったとのこと。



ソフトウェア企業・ProPrivacyのプライバシー研究者であるレイ・ウォルシュ氏は、「アイトラッキングなどのデータは、人々が何を感じているのか、特に幸福や不安といった感情を判断できることがわかっています」「腕時計の広告を10秒間見た人がほほ笑み、購入するかどうかを考える姿を見ることができれば、従来の広告以上に多くのデータを提供することになります」と述べています。

Metaのメタバースプラットフォームである「Horizon Worlds」では、ユーザーはVR用のアバターを使ってやり取りします。このアバターで表情を変えたりアイコンタクトを取ったりするためには、アイトラッキングを有効にしなくてはならないため、Horizon Worldsのユーザーがアイトラッキングを無効にするのは難しいかもしれません。ウォルシュ氏は、「笑顔やしかめっ面でいっぱいのバーチャルルームで、自分だけ無表情なゾンビのような顔をしているのは嫌でしょう」と指摘しました。

記事作成時点のHorizon Worldsには広告が導入されていませんが、Metaのビジネスモデルが広告に大きく依存していることを考えると、将来的に広告が侵入するのは避けられないとみられています。アイトラッキングデータを活用すれば、ユーザーが広告に興味を引かれたことを検知してクーポンコードを送ったり、ユーザーの機嫌に応じて適切な広告を表示したりすることが可能になります。