旅行は「円が安くていけん!」というのはわかるんですが…。

コロナ禍では路線網の維持に全力

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で続いていた、日本入国時の水際対策。2022年11月から入国者数の上限撤廃、訪日観光客の個人旅行などが再開され、実質的にはコロナ以前のように日本と海外との往来が再開されるようになります。この近況について5日、JAL(日本航空)の赤坂祐二社長が報道陣の取材に応じています。


JALの赤坂祐二社長(2022年10月5日、乗りものニュース編集部撮影)。

「これまで、どうしても動かなければいけない人もいらっしゃるので、路線ネットワークだけはとにかく維持するよう努力してまいりました。これからはそういったことを考えずに『全便運航でいける!』と考えています」そう話す赤坂社長。一方で、国際線がコロナ以前のように戻るのは「2025年といわれています」とも。これについて赤坂社長は次のような理由をあげています。

「1番のネックは空港のマンパワー、つまり空港で航空機を扱う方々の人手不足です。現在は我々が飛ばしたくても『人手が足りないから飛ばしてくれるな』という空港もまだ世界中で多い状況で、その解消が見込まれるのが2025年とされています。また、中国、ロシアについては早く飛ばしたいですが、まだ先の読めない状況です。これらの2国を除けば、2025年には国際線がもどってくるのではと考えています」

 規制緩和が発表されて1週間の、海外発JAL国際線便(乗り継ぎを除く)の予約数は、発表前の週と比べると3倍まで跳ね上がっているとのこと。

 その一方で、課題が残るのが日本発の日本人渡航者の動向です。

課題の日本発国際線の戻りの現状は?

 赤坂社長が課題とする日本発の国際線復調の遅れは、観光・ビジネスの両面で発生しているとのこと。観光需要については「円安の影響がものすごい大きいです」としたうえ、「ビジネスはまだまだ海外に出るような気運がないんです」と話します。

「企業の中では、まだ出張、ビジネス渡航を制限しているところもあります。これでは日本の経済や産業が難しくなってしまうんじゃないのかな、と考えてしまいます。私も海外で仕事をしていますが、現在は(コロナによる渡航制限などは)全く関係なく、フェイストゥフェイスでのビジネスが行われています。ここに日本人だけがいないんです。私どもが申し上げることではないのかもしれませんが、この事態はまずいのではないか……と考えてしまいます」

 一方、国内線の需要の完全回復については「早ければ年内、遅くとも年度内」と赤坂社長は見立てています。

 実施が決定された「全国旅行支援」については「一番大きなことは『人の動くきっかけ』ができたことです。これが長距離を人々が移動するきっかけになって欲しいなと考えています。金額がどうこう、といったことよりもまず『弾みをつける』というのが、我々が一番期待しているところです」と話しました。