北海道には旅客機の発着こそないものの、夏季だけで年間3000回の航空機発着回数を稼ぐ“隠れ人気飛行場”があります。「グライダー」のための飛行場ながら、民間航空も使用可能なほど豪華な「滝川スカイパーク」はどのようなところなのでしょうか。

50ヘクタールの面積、舗装滑走路は800m

 北海道にある滝川市には、旅客機の発着こそないものの、夏季期間だけで年間3000回の航空機発着回数を稼ぐ“隠れ人気飛行場”があります。動力を持たないスカイスポーツむけの飛行機「グライダー」を飛ばすために作られた飛行場(滑空場)、「滝川スカイパーク」です。


「滝川スカイパーク」を離陸するグライダー(乗りものニュース編集部撮影)。

「滝川スカイパーク」は、飛行場の機能を有する日本で最初の本格的航空公園といいます。グライダー先進国とされるドイツを始め、ヨーロッパのグライディングセンターを参考に設計されており、東京ドーム10.7個分に相当する50ヘクタールの広大な面積を持ちます。

 広さだけではなく、舗装滑走路は調布飛行場(東京都)の同じ長さの800m、舗装されていない「グラスランウェイ」の長さは1400m。担当者によると、グライダーの発着がメインではあるものの、物理的には20人くらいのプロペラ旅客機であれば十分発着可能できるほどの設備を持つそうです。

豪華すぎるグライダー向け飛行場なぜ?

「滝川スカイパーク」は1981年に設置。陣頭指揮をとったのは同市を“空の街”にしようという取り組みを進めていた当時の市長でした。ただ偶然にも、滝川市はグライダーを飛ばすのに向いている地域だったそうです。グライダーの飛行場としては豪華な設備は、将来的にここへ民間航空機が飛んでくることも想定されていたためだそうです。

 滝川スカイパーク周辺は、近隣に飛行場がないことから航空管制上の制約も少ないといいます。また、なによりも、グライダーが滑空し飛行を継続するのに必要な、上方に向かって吹く空気の流れ「上昇気流」が発生しやすい環境だったとのこと。


「滝川スカイパーク」の様子(乗りものニュース編集部撮影)。

 担当者は滝川スカイパーク周辺の気流の特徴を次のように話します。「上昇気流はおおまかに分けると、4つの種類があるのですが、滝川はそれらの上昇気流すべてを体験できる場所です。『ここでグライダーの操縦技能を覚えたら、どこの飛行場でも飛ばせる』とされるほどです」。

 滝川市を“空の街”にした「滝川スカイパーク」は、冒頭のとおり公園としての機能も持ち合わせており、施設内には遊歩道やブランコ遊具などの遊具も。施設内には、実物のグライダーを間近に見たり、触ったりできる「スカイミュージアム(航空動態博物館)」なども設置されています。

※取材協力:ANAあきんど・滝川市