三浦春馬さん('16年)

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 突然の訃報から2年が過ぎた。俳優としてドラマだけでなく、映画に舞台、ミュージカルと幅広く活動した“彼”の姿を、ファンたちは今でも追いかけている。

【写真】《恋人との朝》《ダンサーとの恋》三浦春馬さん本、驚きの内容

 俳優・三浦春馬さん、享年30。

 世間に見える場面だけでなく、見えない裏の場面でも、ひたむきに努力し続けた彼の姿勢はファンを惹きつけ、勇気づけてきた。しかし、“事実”として彼はもういない。突然の死以降、さまざまなメディアでさまざまな関係者が春馬さんの姿を語ってきた。そしてこのたび、非常に深く近しい“関係者”が彼について記したのだが……。

生前の恋愛話を第三者が綴る

『春馬くんとの“未来の雑談”〜三浦春馬の勉強ノート〜』

 講談社より9月16日に発売される予定の書籍のタイトルだ。著者は斉藤かおる氏。春馬さんのボイストレーナーを7年間に渡って務め、彼とはプライベートでの付き合いもあった女性だ。すでに予約販売はスタートしており、販売サイト『Rakutenブックス』では、発売前から《タレント関連本部門》にて堂々の1位にランクイン。内容紹介には、著者のメッセージとして次のように綴られている。

《「ひとりの青年の夢と努力、彼の繊細さ、素直さ、頑固さ、真面目さ、ユニークさ……私が感じた春馬くんの姿を知ってください」(歌唱の師・斉藤かおる)》

 著者である斉藤さんは、これまでも春馬さんの死去以降、彼と近くで接してきたエピソード、まさにメディアには出てこない裏での彼の努力や真面目さを自身のFacebookで発信してきた。もう本人によって更新されることは叶わない春馬さんの情報を楽しみにしていたファンは少なくなかった。

 しかし、現在は事情が違うようだ。その原因は、著書の内容にある。各種書籍販売サイトでは、すでに目次が公開されている。全8章からなる1冊は、春馬さんとの出会いから作品に対する努力、そして仕事以外のプライベートが綴られていることがわかる。

 問題はその“プライベート”の部分だ。目次の一部を抜粋する。

《恋人との朝》(第一章 出会い)
《失恋、犬とアレルギーとお母さんの愛と》(同)
《新しい出会いと別れ》(同)
《ダンサーとの恋》(第二章 『キンキーブーツ』)

 これまで斉藤さんのFacebookでの春馬さんに関する投稿がファンに喜ばれてきたのは、彼のひたむきな努力などを知ることができたからだ。彼の恋愛や失恋の話を待ち望んでいたファン、知りたがっていたファンは少ない、いや、いないだろう。2年という時間は、悲しみが癒えるに十分な時間ではないというファンは多いはずだ。

 春馬さんは'16年にダンサーである菅原小春との熱愛が報じられている。《ダンサーとの恋》という文言から、この当時を綴っていることが予想できる。相手が“誰か”容易に特定できるような生前の恋愛話が、春馬さん本人ではなく、第三者によって綴られているのだ。

“素の春馬さん”を知ることができたFB

 これはもはや回顧録でもなく、タイトルの『未来の雑談』でもなく、ただの“過去の暴露”に他ならないのではないか。この件についての春馬さんのファンたちの声は非常に辛辣だ。

《春馬くんが生きていても出版できますか? プライベートは誰でも晒してほしくない》

《本当、春馬くんでさえ、特定の女性の話をした事ないのに なぜ、ボイトレの先生が話さなきゃいけないの? 春馬くんが可哀想》

《本人の許可なく恋バナとか掲載してる本がトレンド...? 彼の尊厳、守られていますか?》

《完全プライベートなことをベラベラと誰でも読める本で暴露しちゃうのはちょっと………と思ってしまった。 それにファンとしては読んだらショック受けそうな内容》

《ボイトレ先生の暴露本なんかよりも春馬くんのキンキーブーツのDVDが見たい 暴露本は買わない人の方が多い ほとんどの春馬ファンは販売反対派 需要はキンキーの方が高い。優先順位間違えてる》


《勝手に出された春馬君は本の内容に否定も肯定も出来ない…暴露本だすなら春馬君が生きてる時、春馬君の了解を得て出してよ…卑怯だよ…先生…》

 ファンのための1冊のはずなのに、望まないファンたちが非常に多い。出版すること自体、またその内容についてファンから批判が上がっていることについて、著者の斉藤さんに問い合わせると、校閲が終わっておらず、「内容に関係することを今の段階ではお話しすることができない」という回答だった。内容については、「グリーフワークのプロセスを忘れずに、気持ちがあたたかくなるような内容になるよう心がけて書いております」とのことだった。

『グリーフワーク』とは、人との離別(死別)による“悲嘆(グリーフ)”から立ち直るプロセスや作業のこと。

《春馬くんのボイトレの斉藤先生のFB(編集部注・Facebookの意)で素の春馬くんや未来に向けて自分を向上させることを楽しんで熱心に取り組んだ様子を知り あの日以来どれだけ救われたことか!》

 上記のように、斉藤さんがFacebookにたびたび綴ってきた春馬さんの情報は、歓迎されることも多かっただけに悲しむファンが多いのは理解できる。

 斉藤さんが言うように原稿は校閲段階で、最終的な“確定”はしていないため、ファンの声を受けて変更があるかもしれず、また予約段階でランキング1位のため出版を待ち望んでいるファンも多数いることは事実であろう。

 2年前の悲嘆が癒えていないファンは多い。この1冊がさらなる悲嘆を招くことがないことを祈りたい。