放送から25年の節目を迎えた特撮テレビドラマ『ウルトラマンダイナ』の記念イベント『ウルトラマンダイナ25周年記念 スーパーGUTSスペシャルナイト』が2日、「ウルトラヒーローズ EXPO 2022 サマーフェスティバル IN 池袋・サンシャインシティ」会場にて開催された。ステージには、放送20周年イベントでは叶わなかった「スーパーGUTS」メンバー勢ぞろいがついに実現。主演・つるの剛士を中心に、25年前と変わらぬ最高のチームワークでトークが大いに盛り上がった。

上段左からウルトラマンダイナ(ミラクルタイプ)、つるの剛士、ウルトラマンダイナ(フラッシュタイプ)、ウルトラマンダイナ(ストロングタイプ)、下段左から木之元亮、加瀬信行、斉藤りさ、山田まりや、布川敏和、丈、小中和哉監督、八木毅監督

会場につめかけた『ウルトラマンダイナ』ファンの割れんばかりの拍手に迎えられ、イベントはスタート。まず初めにアスカ・シン役のつるの剛士がエンディングテーマ「君だけを守りたい」を熱唱しながら登場。その後、怪獣モルヴァイアとレギュラン星人を迎えうつべく、さっそうとウルトラマンダイナがステージに現れ、迫力のアクションを披露した。

そして、ヒビキ隊長役・木之元亮、コウダ副隊長役・布川敏和、リョウ隊員役・斉藤りさ、カリヤ隊員役・加瀬信行、ナカジマ隊員役・丈、マイ隊員役・山田まりや、ウルトラマンダイナ/アスカ・シン隊員役・つるの剛士という「スーパーGUTS」フルメンバー7人がステージに結集した。5年前となる20周年記念イベントでは、丈はオンライン中継での参加、山田は映像メッセージでの参加となったため、こうしてメンバー全員がそろってファンの前に姿を見せるのは久々のこと。かねてからの念願が叶い、メンバー全員の背中を見つめていたつるのは、開始早々にもかかわらず感極まってしまい、布川から「つるちゃん、泣くの早すぎるんじゃないの!」と合いの手を入れられた。

「思い出のシーンをふりかえる」コーナーでは、メンバーそれぞれが強く心に残る『ダイナ』の名場面を挙げて、それらを題材にトークが進行した。つるのは第13話「怪獣工場」でアスカがカリヤに「頭をはたかれる」シーンを挙げ「あのシーンは3回くらい撮り直しました。少年の部屋でマンガを読んでいるアスカに、カリヤの絶妙なツッコミが入るタイミングがよかった」と、思い出を懐かしそうにふりかえった。

木之元は第34話「決断のとき」でダイナに助けられたシーンをふりかえって、「ダイナの巨大な手のひらに僕が乗っかって、地面にゴロンと転がされる。ウルトラマンと直接絡んだことは、僕にとって自慢です。実に面白い回なので、ぜひ観てほしい」と当時の特撮カットを思い出しながらおすすめシーンを語った。

布川は「思い出の怪獣」として、第8話「遥かなるバオーン」の催眠怪獣バオーンを挙げ「バオーンは悪い怪獣じゃないんですよね。声を聴くとみんなが眠ってしまうだけで。とても好きな怪獣です」と、バラエティに富んだ怪獣・宇宙人が活躍した『ダイナ』の中でもひときわ個性的なバオーンの存在感を称えた。

加瀬は、第41話「ぼくたちの地球が見たい」で宇宙船ガゼル号に乗り込み活躍するカリヤのシーンをお気に入りに挙げ、「この話、僕はそんなにしゃべっていないし、大活躍というよりは粛々と仕事をこなしていく感じでしたが、そこがよかった。地球にいたスーパーGUTSのみんなが誰も僕(カリヤ)のことを心配していなかったのが気になりましたが」と、当時から抱いていた不満をメンバーにぶつけるひと幕があった。しかし木之元は「そんなことないよ。俺たちは仲間のことを信頼しているから、多くを語らないのがスーパーGUTSらしいんじゃないか」と、メンバー同士の強い絆がまったくゆらいでいないことを説明した。

丈のお気に入りは第51話「最終章III 明日へ…」での、決戦前にナカジマ隊員が亡き父親をしみじみ回想するシーン。丈は「メインライターの長谷川圭一さんがナカジマの主役編を書いてくださったんだけど、結局ボツになってしまった。長谷川さんから『借りを返します』と用意してくださったのがあのシーンなんです。ちょうどあのころ僕の父が亡くなりまして、長谷川さんは僕の気持ちを汲んで“アテ書き”をしてくれた。とても思い出深いシーンでした」と、1998年1月に惜しまれつつこの世を去った父・石ノ森章太郎氏への思いを込めつつ、ナカジマの人間味を引き出す芝居が出来たことを回想した。

斉藤は第22話「ツクヨの兵士」でリョウがXXバズーカを構えるシーンを挙げ「リョウがメインの回で私服姿の場面が多く、ふだんのリョウのイメージがあるのでどんな服を着ていいか困った思い出があります」と、主役回の苦労を語った。山田は第26話「移動要塞(クラーコフ)浮上せず!(後編)」でのシーンを挙げて「いつもは基地の中でコンピューターと向き合っているマイでしたが、このときは外に出てめちゃくちゃカッコいいシーンを撮ってもらえて、気分がよかったです」と、マイのアクティブな出番が多かったエピソードが思い出深かったことを笑顔で語った。

楽しいトークが進む中、スーパーGUTSの可愛いマスコットとして人気を博した「ハネジロー」が登場。思わぬ旧友との再会に、キャスト全員の表情がほころんだ。ハネジローから寄せられた質問は「いちばん大変だった『作戦』はなんですか」というもの。これに対しつるのは「一度、リーフラッシャーがなくてダイナに変身できなかったとき、ハネちゃんが届けに来てくれたことがあったのが印象深いです。僕はあのころネコを飼っていて、それがハネジローに似てたんですよ。懐かしいなあ」と、ハネジローと一緒に過ごしていた日々を、しみじみとふりかえった。

木之元は「ぜんぶ作戦は大変だったけど、映画『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』は特にすごかった。陸戦メカが使い物にならないと言われ『まだ一番立派なものが残ってるじゃねえか、コレだ!』と言って『足』を叩くところ。メカがダメなら走って攻撃する、そういうところがスーパーGUTSらしいんだよね」と、映画の中でヒビキ隊長が隊員たちに気合いを入れる熱いシーンを思い出し、客席からの感動に満ちた拍手を浴びた。

続いてのトークテーマは「25年を経た今だから言える話」。つるのは「そういうの、いっぱいありますけど」と苦笑しながら「最初に製作発表があると言われたんですけど、意味がわかっておらず、打ち合わせみたいなものかなと思って短パンとTシャツで会場のホテルに行きました。そうしたら出席者はみんな正装だったので『しまった!』と焦りました」と、芸能界に入って1〜2年という新人時代ゆえの失敗談を語った。さらにつるのは「今では隊長が短パンで来ていますからね(笑)」と本イベントでの木之元の格好をネタにして笑いを取っていた。

木之元は隊員たちをどうまとめたのかと問われて「まとめるも何も、まったくこのとおり。みんなホン(台本)のまま、まっすぐに演じていただけでした。細かな制約がほとんどなくて、自由な雰囲気が楽しかった。『まとめる』という次元を超えていましたね。どんな大変な撮影があっても、ぜんぜん苦痛ではなかった。いつも現場に入るのが楽しくて楽しくて仕方なかった。今も25年前とぜんぜん変わりません」と、チームを束ねる隊長であり、若い隊員のよき兄貴分というヒビキのキャラクターそのままのコメントを残し、隊員たちを感激させた。

つるのは「撮影拠点だった東宝ビルトには個別の楽屋があったんですけれど、みんなほとんど楽屋にはいなくて、メイクルームとかサロンとかに集まってしゃべっていたね」と、メンバーの仲の良さをふりかえり、斉藤も「たぶんひとりになるのってトイレに行くときくらいだった(笑)」と常にメンバーと一緒の時間を過ごしていたことを懐かしそうに話した。

斉藤から「ナカジマ隊員は後半、なぜあんなに太ったのか」と疑問を投げかけられた丈は「毒蝮三太夫さん(『ウルトラマン』の科学特捜隊・アラシ隊員役)に負けないよう、ナカジマに何かインパクトのある特徴を持たせたくて、マリキュラの回(第24話「湖の吸血鬼」)のときにフライドチキンをたくさん食べるシーンを撮りました」と、ナカジマのキャラ作りのために劇中での食事を増やしていたことを明かした。ちなみに現在の丈は当時より25kgも減量し、スマートな体型を維持しているという。

山田の「今だから言える話」は、「コンピューターのエキスパートという役だけど、タイピングがまったくできなかった」というもの。「今もパソコン操作は得意ではないですけど、みなさんマイがエキスパートのようにちゃんと見えていましたか?」とファンに呼びかけた山田は、客席から大きな拍手が巻き起こったことで満足げに笑顔を見せた。

加瀬は第11話「幻の遊星」でカリヤがリョウに向けて放ったセリフ「花を積んだりするのがこんなに似合わない女もいるもんだなって……」の裏話として「最初はカリヤがリョウの女の子らしさを見て、照れながら言っていたセリフを、監督に『これ、マジメに言ったほうが面白くなりませんか』と提案してあんな感じになった。この直後カリヤは怒ったリョウに殴られるんですけど、以後も『おい、殴るなよ』ってこのときのことをずっと引っ張るんですよね(笑)」と、自分の提案がきっかけとなってカリヤの「天然キャラ」、リョウの「凶暴キャラ」が際立ったとにこやかに話した。

ここで、『ウルトラマンダイナ』のメイン監督として第1、2話や最終三部作(第49〜51話)などを手がけた小中和哉監督と、当時セカンド助監督を務め、後のウルトラマンシリーズでも多くのエピソードを演出した八木毅監督が登場。2人が見守る中、第51話「最終章III 明日へ…」の名シーンが木之元、布川、加瀬、斉藤、丈、山田によって再現され、ファンの心を強く揺さぶった。木之元(ヒビキ隊長)の力強い言葉に隊員たちが「ラジャー(了解)!」と万感の思いで応えると、なんとスーパーGUTSの隊員服を着たつるのがステージに登場。さらにウルトラマンダイナの3タイプ(フラッシュ、ストロング、ミラクル)が同じ空間に出現するといったサプライズ演出が施された。

八木監督は「ラストシーンの撮影前には、みんなで円陣を組んで『頑張るぞ!』と気合いを入れた。ラストの『ラジャー!!』もこれで最後だという思いが伝わってきました。ふたたびスーパーGUTSのあのときの姿が見られて感激です」とコメントを寄せた。

小中監督は「『ダイナ』ラストでのアスカは『人間が到達できなかった次の段階へ進む』というポジティブな思いを込めた」と、アスカがスーパーGUTSの仲間と離れ離れになるラストシーンの演出意図を語りつつ「みなさんのノリは昔とぜんぜん変わらないですね。この場であのころのテンションの高さを再現してもらえて、本当に嬉しかったです」と、『ダイナ』撮影当時のキャスト陣による熱意ある取り組みを大切そうに振り返った。

最後の挨拶でつるのは、ときおり感激で胸をつまらせながら「四半世紀を経て、こうしてスーパーGUTSが全員集合し、ファンのみなさんの前に立つことができました。みんなが健康でいてくれたから集まれました。みなさんには本当に感謝でいっぱいです」とかけがえのない仲間たちと『ダイナ』を愛するファンへの感謝の言葉を述べた後「これからもアスカは飛び続けます。僕の夢は、いつかスーパーGUTSのみんながアスカに追いついて、また一緒に集まること。そんな作品をぜひ、小中監督に作ってほしいです!」と、『ウルトラマンダイナ』の未来のストーリーを夢想し、目を輝かせた。この言葉を受けて小中監督も「やりましょう!」と強い意欲を見せ、ファンからの盛大な拍手を浴びていた。

本イベントで話題に上った『ウルトラマンダイナ』の各エピソード(全51話)および劇場版『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』は「ウルトラサブスク」こと「TSUBURAYA IMAGINATION」にて配信中。

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