松任谷由実がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Yuming Chord」(毎週金曜11:00〜11:30)。7月1日、8日(金)の放送では、「Yuming 50th Anniversary Special対談」と題して、2週にわたり小室哲哉さんをゲストに迎えてお送りしました。ユーミンと小室さんの対談は11年ぶりとなります。ミュージシャン同士ならではの深い音楽談義から、今だからこそ話せる話まで、たっぷりとお届けしました。

この記事では、7月1日(金)放送の模様を紹介。長きにわたりトップを走って来た2人だからこそ見える、音楽を取り巻く環境の変遷について語り合いました。

小室哲哉さん、松任谷由実



ユーミン:今日は「Yuming 50th Anniversary Special対談」ということで、ゲストは小室哲哉さんです。てっちゃんとラジオでこうしてお話しするのは、この番組の前にやっていた「松任谷由実 Sweet Discovery」(2011年2月27日放送)以来で、直接お会いするのは11年ぶりなんですよ。あれからさらに、音楽をめぐる状況も、世界の状況もめまぐるしく変わったけど、てっちゃんご自身が激動の人生で。それと“世の中とのリンク”というか、今、思うことはある?

小室:今から思えば、この11年間で音楽の売り方、売れ方みたいなものがどんどん変わってきて、どんどん1曲の価値が薄まっていってますね。

ユーミン:そうですね。90年代はCDがものすごく売れて、(その後の時代では)ものすごく売れなくなった。

小室:今考えると、その薄くなった分、自分も薄くなっちゃった……というような。

ユーミン:私のほうは全然、生乾きでずっとあがいているよ。

小室:でも必ず潮流というか、波ってありますからね。

ユーミン:あのね、私、周りの業界のいろんな人に「シティ・ポップの次に来るのは小室サウンドだよ」って言いまくっているの(笑)。

小室:ありがとうございます(笑)。

ユーミン:でも本当に、あのダンサブルな感じが(今の時代に)欲しい。

小室:今、「シティ・ポップをサンプリング」とか、いろいろ言われていますけど、あの頃の方たちは、本当に楽器がうまいですからね。そこが長持ちする秘訣で、だからまた流行っているのかなと思います。そういう方たちに、ユーミンもトラックを作ってもらっていたでしょ? とてつもないミュージシャンの方たちに。

ユーミン:そうですね。私の歴史を紐解くと、荒井由実でデビューした3作は、キャラメル・ママ、ティン・パン・アレー系のセッションだったんだけれど、4枚目のアルバム『14番目の月』から、ミュージシャンがガラッと変わったんですよ。

初めてLAからミュージシャンを日本に呼んで、リーランド・スカラーという人と、マイク・ベアードという人が来て、あとは日本のミュージシャンで、違うセッションで録ったんだけど、「これがあったから今の私があるな」っていう、すごく貴重なアルバムとして、今、自分で認識しています。

私は、この『14番目の月』のアナログ盤の帯に、自分でキャッチコピーを書いたんですけど、それが「郊外(Suburb)の風と光をあなたに贈ります」っていうものだったの。

小室:素敵ですね。「府中市をこんなに素敵に描いていただいてありがとうございます」という感じで、ちょっと聴いてみたいと思うんですけど、いいですか?

ユーミン:お願いします!

小室:荒井由美さんで「中央フリーウェイ」。

――ここで「中央フリーウェイ」をオンエア

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デビュー50周年記念企画の1つで、ユーミンの人気曲のタイトルが6人の作家によって新たなストーリーへと生まれ変わったトリビュート小説集「Yuming Tribute Stories」(新潮社)は、現在好評発売中です。

また、12月8日(木)からは「松任谷由実展」(仮称)の開催が決定しました。詳細は順次、公式Webサイト、SNSで発表予定ですので、ぜひチェックしてください!

<番組概要>
番組名:Yuming Chord
放送日時:毎週金曜11:00〜11:30
パーソナリティ:松任谷由実
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/yuming