ウェブブラウザ「Firefox 102」の正式版が公開されました。Firefox 102にはダウンロード関連のオプションなどが新規追加されています。また、企業向け拡張サポートリリース(ESR)もFirefox 91からFirefox 102へ置き換わる予定です。

Firefox 102.0, See All New Features, Updates and Fixes

https://www.mozilla.org/en-US/firefox/102.0/releasenotes/

◆ダウンロードパネルが自動オープンする機能の改善

Firefoxではファイルのダウンロードを行う際にダウンロードパネルが自動的に開きますが、この挙動は人によっては煩わしく感じられることもあります。



そこで、設定によりダウンロードパネルの自動オープンを無効にできるようになりました。ダウンロードボタンを右クリックすると表示されるポップアップメニューに「ダウンロード開始時にパネルを表示する」という項目があり、こちらのチェックをOn・Offすることによりこの機能の有効・無効を切り替えることができます。



◆ETP Strictモードの調整

ETPのStrictモードでサイトをナビゲートする際、クエリーパラメーターの追跡を軽減するようになりました。

◆ストリーミングサービス利用時のPicture-in-Picture機能追加

Picture-in-Pictureの字幕とキャプションが、HBO Max・Funimation・Dailymotion・Tubi・Disney+ Hotstar・SonyLIVといったストリーミングサービスで利用できるようになりました。これにより、メイン画面でアプリやコンテンツを見ながら、画面の隅に固定されたサブ画面でビデオコンテンツを字幕・キャプション付きで鑑賞できるようになりました。

◆Windows版Firefoxでスクリーンリーダー連携の不具合を修正

スクリーンリーダーは画面に表示されている内容を読み上げてくれる機能で視覚障害者にとっては必須ツールですが、Windows版Firefoxでスクリーンリーダーを使用しているときに読み上げ対象要素のアクティブ化をする操作をしても、アクティブ化に失敗したり、意図しない要素や別のアプリケーションをアクティブ化したりしてしまうことがありました。今回のリリースでこの不具合は修正されました。

◆オーディオデコードのプロセス分離

ユーティリティープロセス用のサンドボックスをオーバーホールしたのを受け、オーディオデコードのプロセスの分離状況が改善されました。これにより、オーディオデコードが悪意のある第三者から攻撃を受けた場合でも、サンドボックス外のプロセスへの影響は最小限に抑えられます。

◆開発ツールの機能追加

開発ツールの「スタイルエディター」タブでスタイルシートをフィルタリングできるようになりました。



フィルターのアイコン付きのエディットボックスに入力された文字列でスタイルシートがフィルタリングされているのがわかります。



多くのスタイルシートを読み込むサイトを開発する場合に、適切にフィルタリングをおこなうことによりスタイルシートの把握が楽になりそうです。

◆CSPによるWebAssembly実行制限の追加

WebAssemblyに関するContent-Security-Policy(CSP)統合をサポートするようになりました。スクリプトを制限するCSPを含むウェブページは、ポリシーに新しい「wasm-unsafe-eval」キーワード(WebAssemblyに限定しない場合は「unsafe-eval」でも可)を使用しない限り、WebAssemblyを実行しなくなります。

◆Streams API関連

Streams APIのインターフェイスであるReadableStream・TransformStream・WritableStreamがすべて転送可能になりました。 ReadableStreamからWritableStreamへとパイプしてやることにより、各チャンク上で変換を実行できるようになりました。

また、Firefox 102には19件のセキュリティバグフィックスが含まれています。

なお、次期メジャー版となる「Firefox 103」は現地時間の2022年7月26日にリリース予定です。