今週は約27年にわたって使われてきたInternet Explorer(以下、IE)のサポート終了が注目を集めた。Microsoftの公式ブログによれば、IEを起動するとMicrosoft Edgeにリダイレクトされ、今後の更新でIEは削除される。このあたりは同社が以前から告知していたとおりだが、一般紙やテレビの報道を見ると「対応に追われる企業が……」と報じていた。筆者は単純に「Microsoft EdgeのIEモードを使えばいいのでは?」と思ってしまう。

すでに検索にもヒットしなくなったInternet Explorer

この騒動(?)を見て思い返したのが、Windows XPサポート終了時の記者説明会。IT系の記者は真っ当な質問を寄せていたが、とあるテレビ局記者の質問は「無償化できないか?」だった。本誌の読者諸氏なら、この質問がどれだけバカげているかご理解いただけるだろう。Microsoftに限らず、プロプライエタリなソフトウェアを無償提供するわけもなく、よしんば無償提供されたとしても基本的にしっかりとしたユーザーサポートは受けられない。Windows XPのサポート終了はセキュリティ更新もなくなったため(例外的に更新されたケースもあるが)、早々にセキュリティホールが見つかり、何らかのトラブルを招いていただろう。

無償化に関する質問が挑発を意図していたのか、無知だったのかを知る術はない。IEサポート終了にまつわる報道も、利用者の声として「急に終了といわれても……」、報道キャスターも対応策を提示せず「早い対応が求められる」とコメントするばかり(16日に入ってIEモードが紹介されるようになった)。ちなみに、Microsoftは約1年前から「2022年6月15日にIEのサポートを終了する」とアナウンスしていた。

さて、今回の本題は2022年6月の月例アップデートで有効になった、デスクトップ版Windowsスポットライトである。KB5014697のリリースノートでは触れていないものの、この機能が有効になっていた。

KB5014697の主な更新内容

デスクトップの背景画像としてBing画像を使用するWindowsスポットライト、Windows 11 Insider Previewではおなじみの機能だ。とはいえ、Windows 11 バージョン21H2に、新機能を以前のバージョンで使用できるように移植するバックポートを行うのは意外だった。すでにロック画面でもBing画像を日替わりで用いていることから、Microsoftとしても難しい取り組みではなかったのだろう。素直に歓迎したい。

デスクトップ版Windowsスポットライト

となると期待するのは、エクスプローラーに加わったタブ機能のバックポート。ただ、タブをバックグラウンドで開く機能や、ドラッグ&ドロップによるタブ間のファイル移動、タブの入れ替えなど機能的にもの足りない。UXを踏まえると、もう少しWindows 11 Insider Previewで成熟させてからバックポートしたほうがよいと思う。エクスプローラーのタブ機能のために、Windows 11 バージョン21H2のPCをWindows 11 Insider Preview(ベータチャネル)に変更するか悩んでいたが、デスクトップ版Windowsスポットライトのようにバックポートする可能性があるなら、完成度が高まるまで待とうとしよう。

Windows 11 Insider Previewのタブ機能(エクスプローラー)

著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。 この著者の記事一覧はこちら