(撮影:松尾/アフロスポーツ)

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羽生結弦選手が名古屋に降臨しました!」

6月3日の朝、“メ〜テレ”こと名古屋テレビの情報番組でアナウンサーが興奮気味に力強く一言。

アイスショー『ファンタジー・オン・アイス』(以下、FaOI)のために羽生結弦(27)が名古屋を訪れていることを伝えるニュースの冒頭だ――。

5月下旬に千葉・幕張で開幕したFaOI。羽生にとって北京五輪以来の公の場での演技とあって、初日の様子は大きく報じられたが、その次の開催地が名古屋だった。

公演期間は6月3日から5日までの3日間。最終日の公演は全国各地の映画館でもライブ・ビューイングされ、SNSでも羽生やショーにまつわる言葉がトレンド入りするなど、大盛り上がり。

「名古屋での羽生くんは本当に“神”でした! プログラムはもちろんですが、手でハートを作ったり投げキスをしたりと、会場の熱気に応えるファンサービスもすごかったです」(公演を見たファン)

特にファンが沸いたのが4日の公演。羽生の“あるアドリブ”を見ることができたからだ。現場にいたリンク関係者によると、

「ショーのオープニング後に羽生さんがリンクの氷の穴に気づいたんです。スタッフを整氷作業のために呼んだうえで、アドリブで観客の手拍子をあおりながらリンクを駆け回るように滑り始めました。

整氷の時間に観客が興ざめしないように考えたのでしょう。本人のとっさの判断だったので、あわててスタッフが照明を羽生さんに当てたほどです。背中を大きく反らせる動きをすると、ジャケットから両肩がはだけ、シャツがめくれて腹筋までチラッと見えたりして。そこから会場はさらに盛り上がりましたね」

羽生のファンサービスが爆発した3日間となったわけだが、盛況の背景には土地柄もありそうだ。

愛知県といえば、伊藤みどり、安藤美姫、浅田真央、宇野昌磨らトップ選手を輩出してきた日本のフィギュア王国。ところが、羽生自身はこれまで名古屋の地で滑る機会はあまり多くなかった。

「羽生選手が名古屋で開催されるショーで滑るのは、’14年以来のことだそうです」(イベント関係者)

’10年から始まったFaOIも、名古屋で開かれるのは今回が初めて。名古屋公演の主催となった地元テレビ局のメ〜テレにとって、この招致は悲願だったという。

「飛びぬけた人気を誇る羽生選手が座長的な立場となるFaOIを、是が非でも名古屋でやってほしいと、メ〜テレは何年もかけて交渉し続けてきたそう。そして今年、メ〜テレ開局60周年のタイミングで実現にこぎつけることができたのです」(前出・イベント関係者)

名古屋公演に関わった地元フィギュア関係者は、羽生自身の言動からも名古屋は特別な地だという意識があるように見えた、と話す。

「羽生選手は本番前に『愛知のファンは目が肥えているから緊張する』と話していて、自分の出番が来るまでストイックに会場横でランニングやストレッチを続けていましたから」

ショーを引っ張る身としてリハーサルから念入りに準備していたというから、いかにも羽生らしい。

「会場の日本ガイシホールのリンクに入ると、音響さんや照明さんなどに『おはようございます』『よろしくお願いします』と一人一人の顔を見て挨拶。これには、女性スタッフはみんなメロメロでした(笑)。演技とは関係ない場所に落ちているゴミまで拾い、リンクを入念にチェックしては割れた氷を丁寧に取り除いていましたね。

ほかの出演者が確認程度に行うリハも、羽生選手は本番さながら。コップの水を頭にかける演出がありましたが、音楽をかけたリハでは毎回やっていたのでびしょびしょになっていましたよ」(前出・フィギュア関係者)

■地元テレビ局には問い合わせが殺到!

だが熱狂が高まりすぎたからか、思わぬ騒動も起きていた――。

「2日目の開演前から、会場入口付近の掲示板にショーの日付が入った羽生選手やほかの出演者たちの最新のサインが飾られたんです。

そこで羽生選手のサインに気づいた人たちが写真撮影を始め、一気に長蛇の列ができました。SNSでも拡散されたことで、さらにファンが殺到してしまったのです」(地元紙記者)

会場は一般の出入りもあるスポーツ施設。なおかつ展示された場所がトイレ付近だったので、開演前のトイレ待ちとも重なった。

「現場は収拾がつかない状態に。それで急きょ、スタッフが羽生選手をはじめ出演者のサインを掲示板から撤収したそうです。密になり、押し合いへし合いにもなっていたので安全面からの判断だったそう。

それを知らずに集まったファンは『サインがない!』と戸惑い、なかには『ゆづのサインが盗まれた!』と言いだすファンもいました。サインが展示されていたのはたった2時間ほどですが、その後もまた展示されていないかと確認しに行くファンは多く、何もない掲示板を記念に撮影して帰る人もいたほどです」(前出・地元紙記者)

そんな混乱もあったが、公演は無事終了。最終日の翌日には、メ〜テレによる羽生の独占インタビューも放送されている。

「取材時間は20分ほどでした。名古屋や東海地方について聞かれた羽生選手は、名物の手羽先が好きなことや名古屋城、伊勢神宮に行ったときの思い出などを気さくに話してくれました。もともと予定になかったんですが、情報番組『ドデスカ!』のオリジナルポーズまでやってくれたんです」

取材裏をそう話す制作関係者は、その後の反響もすごい、と続ける。

「名古屋公演の特番が放送予定(7月2日)ということもあり、公演終了後にも局に多くの問い合わせがあったのです。その数の多さは、メ〜テレ開局以来かもしれません。“全国放送してほしい”“課金してでも見たい”などの声で、改めて羽生選手の人気のすごさを目の当たりにしました」

名古屋公演を終えた羽生は、これから神戸、静岡での公演を控えている。激熱の羽生フィーバーは、“名古屋の変”にとどまらず、さらに広がっていきそうだ。