芦名星さんに三浦春馬さん…相次ぐ芸能界の謎の自殺に「心のケア」は - 渡邉裕二

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※この記事は2020年09月21日にBLOGOSで公開されたものです

「発作的な行動だったのでしょうか…。遺書のようなものも見当たらず、いまだに理由がわからないようです」

俳優・三浦春馬さん(享年30)に続く、女優・芦名星(あしな・せい=享年36)さんの自殺には多くの芸能関係者が頭を抱える。

「芦名さんと聞いて、ピンとこなかった人も多かったと思いますが、現在発売中の『週刊プレイボーイ』には中面で8ページにも亘ってグラビアで登場しています。高視聴率ドラマ『相棒』(テレビ朝日)に、写真週刊誌の辣腕記者役で出演していた女性と言ったら『ああ、あの子ね』と顔が浮かぶのではないでしょうか。10月から始まる予定の『相棒 season19』にも出演していて、撮影にも参加していました。スタッフも共演者も含め、全く自殺を図るような素振りを見せていなかったので一様に驚いていました」(放送記者)

芦名さんは福島県郡山市の出身。高校2年の時にスカウトされ、2003年にデビューした。08年には「海の上のピアニスト」で知られるアレッサンドロ・バリッコの同名ベストセラー小説を日本、カナダ、イタリア、フランス、イギリスの5カ国が合作で映画化した「シルク」にヒロイン役で抜擢され注目を集めた。また、13年にはNHK大河ドラマ「八重の桜」、さらに今年に入ってからもTBS系ドラマ「テセウスの船」など、話題のドラマに数々出演してきた。

「ロングな黒髪とミステリアスな雰囲気が印象的な女優で、幅広い役をこなせると現場の評判も良かったようです」(芸能関係者)

仕事上では周囲の誰からも順調そうに見えていただけに、突然の訃報に驚くのは無理もない。

「9月13日から連絡が取れなかったことを心配したお兄さんが翌朝、新宿区内の自宅マンションを訪れたところ、寝室のクローゼットで発見したそうです。すぐに110番通報したようですが既に亡くなっていたと言います。警視庁の調べでは事件性はなく自殺だと判断していますが、遺書などは見つかってないようなので、おそらく衝動的な行動だったのだろうと思われます。

しかし、自殺の理由が全く思い当たらないというのは、さすがに後味が悪い。芦名さんも三浦さんの時の混乱ぶりを目の当たりにしていたはずですからね。しかも『相棒』の最新作の撮影にも参加していたわけですから、多少なりとも自分の置かれている立場というのも理解していたとは思います。事情はどうであれ残念でなりません」(芸能関係者)

日本より深刻な問題を抱える韓国の芸能界

芸能人の自殺は韓国でも深刻な問題となっている。

記憶に新しいところでは昨秋、韓国ではもちろん、日本でも絶大な人気を誇っていた女性アイドルグループ「KARA」のメンバーで、〝韓国の安室奈美恵〟とまで言われたク・ハラさんが、韓国ソウル市内の自宅で亡くなった。

韓国の芸能界に詳しい芸能ライターは「韓国の芸能界では自殺者が急増していて、05年から15年間に30人以上が自ら命を絶っています。20~30代の女性が多いのが特徴です」と前置きした上で、その実情については、

「普段からうつ病で悩んでいるケースが多いのですが、最大の原因となっているのがインターネットによる誹謗中傷の集中砲火です。芸能活動の悩みよりも私生活での悩みが自殺に結びついていると言ってもいいかもしれません。

ハラさんの場合も具体的な死因や経緯などは明らかにされていませんが、元カレとの間で暴力問題が起こり、さらにその男性からリベンジポルノで脅迫されたことから、法廷闘争にまで発展していました。さらに、それが引き金となってネット上での悪意のある書き込みが増えたことに心労が絶えなかったのだと思います。

亡くなる前にインスタグラムを通じて『辛くても辛くないふり、痛くても痛くないふり、幸せなふり、大丈夫なふり、もうやめにしたい』などと投稿していましたからね。韓国ではネット上で執拗に寄せられる悪質コメントのことを〝悪プル〟(「悪性リプライ」の略)と言いますが、今や社会問題化しています」

韓国の自殺率はOECD加盟国の中でもトップだと言われているが、最近では「指殺人」なんて言い方まで出ている。日本以上にネットが普及している韓国においては「ネット暴力」「ネット殺人」の歯止めがきかない状態になっているようだ。

ちなみに韓国内では、こういったネットでの問題を解決するために、ネットの利用者は実名と共に住民登録番号(日本ではマイナンバー)の確認も必要とする「実名制」が叫ばれ始めており、韓国の世論調査機関による韓国内での調査では69.5%が賛成だったという。

もちろん日本でもネットでの誹謗中傷は他人事ではない。この5月のことだったが、フジテレビ系「テラスハウス」に出演した女子プロレスラーの木村花さん(享年22)が、視聴者からの誹謗中傷を受けて自殺している。

この自殺を受け、総務省はネット上の書き込みへの対策を打ち出し、番組を制作して放送をしたフジテレビに対しても放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会が審理入りを決めている。

芸能人に求められる「心のケア」

しかし、韓国の芸能界に比べると日本はまだまだ深刻度は低い。プロダクション関係者は言う。

「今回の芦名さんや三浦さんを含め、最近では2年前に愛媛の松山市を拠点に活動していたローカルアイドルグループ『愛の葉Girls』のメンバーだった大本萌景さん(享年16)が事務所とのトラブルで自殺。5年前にはザ・ワイルド・ワンズのリーダーだった加瀬邦彦さん(享年74)、7年前に藤圭子さん(享年62)が亡くなりましたが、韓国に比べると日本の芸能界での自殺者は少ないかもしれませんね。

ネットでの誹謗中傷も、実際には多いのですが、日本では事務所の管理も行き届いているので、それが原因となるケースは少ないと思われます。考えられるとしたら健康、あるいは家庭環境も含めた日常の生活ではないでしょうか。

特に、この春以降はコロナ禍の中で心のケアが重要になってきています。ステイホームになったことで、所属のタレントに対してマネージャーを含め事務所も目が行き届きにくい状態になっていましたからね。最近は仕事も元に戻ってきましたが、芸能界での感染者が増えてきたことで神経を使うようになりました。俳優さんには感受性の強い人が多いので、事務所としてはこれまで以上に心のケアが急務になっています」

三浦さんは「アミューズ」。そして芦名さんは「ホリプロ」の所属だった。共に大手芸能プロダクションである。

「三浦さんを発見した事務所のマネージャーはショックが大きかったと思います。聞くところでは、現在でもショックから立ち直れないでいるそうですからね。芦名さんのケースでも同じですが、部屋を訪ねるというのは、気持ちのどこかに不安を感じる部分があったのかもしれません。

タレントの管理の問題で考えると、大きい事務所ほど一人のマネージャーが複数人を担当することもあって、どうしても目が行き届かなくなることは否めません」(芸能関係者)

事務所を退社 華原朋美のメンタルに不安

最近では、歌手の華原朋美(46)が、長年所属していた大手芸能事務所のプロダクションから契約解除された。「(契約解除は)双方の合意だった」と事務所関係者は言うが、実質的にはクビに近かったとか。

「華原のわがままぶりが事務所の限界を超えたのでしょう。とにかくトラブルメーカーで、もう面倒を見切れなくなったのでは。最近では1年前に出産した長男を巡って、ベビーシッターから虐待を受けたと写真週刊誌の取材で訴えたことがありました。

そのベビーシッターを紹介したのはバイオリニストの高嶋さち子(52)だったのですが、華原は高嶋にも苦言を呈したようです。さらに今年1月には乗用車で物損事故も起こしたとか。そんな華原の奇行をこれ以上支えることは無理だと判断したのでしょう」(芸能記者)

華原の奇行ぶりは業界でも有名だ。これまでも幾度となくトラブルを引き起こしている。

「長男を出産してまだ1年ですから、母親としても悩みが大きい時期だと思われ、これまで以上に奇行が目立つのかもしれませんね。ただ、心配なのは華原の場合は相談相手も少ないようですし、事務所を離れてしまったら孤立無援な状態になってしまうことです。

芸能活動は絶望的だと思われますが、問題は今後誰が華原をケアしていくのか。旦那さんは外資系企業に勤める一般男性というだけで、現実的に結婚しているのかどうかもハッキリしません。旦那さんと言われる人以外に、気にかけてくれる人がいればいいのですが…。彼女こそ心のケアが必要なのかもしれませんね」(前出の芸能記者)