ブラックなヒーローショー業界を変える 「株式会社 悪の秘密結社」を直撃 - BLOGOS編集部
※この記事は2018年12月07日にBLOGOSで公開されたものです
平成最後のライダー「仮面ライダージオウ」や漫画「トクサツガガガ」のドラマ化で盛り上がりを見せる特撮業界。幼い頃、日曜の朝は東映のテレビヒーロー達に目を輝かせ、休日にはデパートの屋上でヒーローショーを楽しんだ読者も多いのではないだろうか。
しかし、最近では少子化の影響を受け、ヒーローショー業界が縮小してきているという。
そこで、ヒーローショーを専門に事業展開する「株式会社 悪の秘密結社」に業界の実情を聞くべく、福岡市天神・親不孝通りの一角にある悪党達のアジトに潜入。30体以上の怪人たちを率いる、代表の笹井浩生氏を直撃した。【BLOGOS福岡編集部】
高校時代、アルバイトでヒーローショーに出演。その後、時計店や広告代理店に就職するもヒーローショーのことが頭から離れず、2016年に「株式会社 悪の秘密結社」を設立した。
福岡市の悪役ローカルヒーローであり、「株式会社 悪の秘密結社」の真の代表取締役社長でもある。
日本で唯一「悪役に特化した」ヒーローショービジネス
--まず、会社名が怪しすぎるのですが、どんなことをやっているんですか?日本で唯一、悪役に特化したヒーローショービジネスを展開しています。
弊社では悪役だけを取り扱っているんですが、会場からショーの依頼を受ければ会場に合ったヒーローを外部からキャスティングし、音響、設営までイベント運営の全てを請け負います。年間200回くらいエリアヒーローやゆるキャラと戦っていますね。
--悪役がヒーローをキャスティングとは珍しいですね。ショーだけで経営は成り立っているんですか?
ショー以外にもオリジナルのヒーロースーツやゆるキャラを受注しているので、売上はおかげさまで毎期上がってきています。
スーツの造形も日本で1番お金をかけている自負が有り、デザイナーのセンスもピカイチなので発注は多いです。また、『秘密結社鷹の爪』さんのヒーローショーライセンスも担当させて頂いています。
(株)悪の秘密結社の技術を見よ… pic.twitter.com/bW8DqrjUFh
- ㍿悪の秘密結社 ヤバイ仮面 (@yabai_kamen) October 25, 2018
ヤバイ仮面 サービス残業ver.は総工費500万円だとか
--株式会社 悪の秘密結社というくらいですから、相当なブラック企業なんですよね?
何かと厳しい業界かとは思いますが「悪の秘密結社」は社名のイメージと違い、ちゃんとしています(笑)福利厚生・社会保障もキッチリ完備。新卒で月給25万円のメンバーもいますね。
そもそも、ヒーローショー業界の雇用を変えよう!と会社を設立したんです。 大好きなヒーローショーで生活できる環境づくりをしたいので、積極的に正社員登用しているんです。副社長の私より給料をもらっている社員もいますよ(笑)
ヤバイ仮面社長のデスク
悪党たちの血のりにまみれた経営目標
これから新卒採用もかけていく予定ですが、特殊技能が必要な業態なので中途採用が主です。
現在はアルバイトからの正社員登用が多いですね。我々は「楽しい」という刹那とコンテンツを売っているのでやはり一緒に働いてみないと意図が伝わらないんです。
ヒーローショーは「日本の文化」
--1990年代のピーク時と比べてヒーローショーは減ってきているのでしょうか?確実に減っています。会場となる遊園地もデパートでの公演も減ってきていて、全体のパイが下がってきている。
でも、ヒーローショーは日本の文化だということは間違いないんですよね。 大手さんが多大なお金をかけて番組やショーを制作し、子どもたちがそれを「カッコイイ!」と思って観ている。本当に凄まじい、大勢の大人の努力で成り立っている世界だと思います。 私達は私達の出来ることで「ヒーロー」という世界の発展の一端を担いたいんです。
--ヒーローはショーを通じて子ども達に夢や希望を与えていると思うんですが、「悪の秘密結社」は何を与えるのでしょうか?
恐怖ですね。ショーの時も割とギリギリのところまでやります。
「本当に地球を破壊してやる!」くらいの気持ちで(笑)。
そこにヒーローが満を持して登場するので、子ども達が「まってました!」と喜んでくれるんです。ヒーローの皆さんの御膳立てが仕事です。
--ヒーローに配慮してるんですね。今後、やっていきたいことは?
福岡にエリアヒーローの特撮番組はないんですけど、弊社だったら怪人30体にアジトセットから小道具まで全部あるので明日から撮れるんですよ。なので、テレビ番組のオファー来ないかなー?とは思っています(笑)。
また、既存キャラクターコンテンツの運用プロデュース、IP(知的財産)の保護と育成に最も力を入れていきます。
最近はイーブイとコラボも
元々思いつきで始めた会社なのですが、今のところ本当にありがたいことに何とか採算がとれています。
でも、それはまだまだヤバイ仮面社長個人のサクセスストーリーでしかなく、それを法人のサクセスストーリーにして、株式会社として利益を追求していくのがこれからの課題です。雇用など、もちろんリスクは伴いますけどね。
--「悪の秘密結社」の野望は?
上場。マザーズで充分!とヤバイ仮面社長はおっしゃりますが、東証を目指します!
--最後に子ども達に一言お願いします!
--本日はどうもありがとうございました。