この秋は北海道旅行のチャンス!地震で観光客減の今こそ、カモンベイベーHKD - BLOGOS編集部
※この記事は2018年10月18日にBLOGOSで公開されたものです
9月6日に発生した北海道胆振東部地震。震災から約1ヶ月が経過し、被災した人々も少しずつ以前のような生活を取り戻しつつある。しかし、地震から一ヶ月で94万2000人が宿泊をキャンセルするなど観光業への影響は大きく、現地では不安を募らせる人も多い。北海道の現在の様子を取材した。【取材:島村優】
団体キャンセルで予約が取りやすく?
今回の地震の震源地となった厚真町は、新千歳空港から車で30分ほどの距離だ。空港近くのレンタカー店で働くスタッフは「例年に比べると観光で訪れる人が少ない印象」だと話す。
「9月は、北海道の観光シーズン。毎年、連休明けは観光客が少し減るんですけど、今年はその下げ幅が大きいかなと。やっぱり地震の影響があるのかもしれません」
北海道庁によると、地震の起きた6日から10日間で、ホテルや旅館などのキャンセルは94万2000人、観光バスのキャセルは4000台、観光施設の利用者数は6万9000人が減ったというデータがある。宿泊代、現地で使うお金、お土産などを合わせた消費への影響額は推計で292億円にも上るという。
ホテル関係者や観光会社の担当者からは、「部屋の予約キャンセルのダメージが大きかった」「外国人向け団体バスが軒並みキャンセルになった」といった声も多く聞かれた。
その一方で、一般の旅行者には嬉しいこんな話も。札幌市内のあるタクシー運転手によると「外国人団体客のキャンセルによって、ホテルの予約が取りやすくなり、値段も下がっている」とのこと。事実、市内でサラリーマンを乗せる回数は9月中旬以降増えているそうだ。
北海道へ行きたくても行けなかった人にとっては朗報。ホテルの予約が取りにくく値段も高くなっていた札幌に泊まるなら、今がチャンスだ。
観光客が多い店はガラガラの状態も…
札幌市内では、地震の影響で来客を大きく減らす店舗や施設がある一方で、地元の人が集まるイベントなどでは従来並みの客足が見られるケースもあった。
札幌市中央区の大通公園で開催される、毎年恒例の食の祭典・さっぽろオータムフェスト。地震の影響で8日遅れのスタートとなったが、連日多くの人出で賑わっていた。
イベント運営スタッフが「出店を取りやめる店がいくつかあったが、来場者の数に関してはそれほど変わらない印象です」と話す通り、週末には会場内で歩けないほど人が溢れていた。会期を短縮したため例年よりは少ないが、今年も100万人を超える来場者数になるという。
ネガティブな影響はないとする声は他にも聞かれた。狸小路のバー店主も、地震による目立った客数減は見られないと話す。
「うちのような小さい店は、もともと外国人観光客が少なく、道外からのお客さんも紹介や口コミで知って訪れてくれる人がほとんどなので、営業再開後にはいつも通りの客足でした。逆に応援しに来店してくれる人で忙しかったくらいです」
停電になったことを除けば市内の中心部では地震による直接的な被害はなく、これまで通りの営業ができている。逆に外国人観光客や団体ツアー客が売上のボリュームを占める店では、経営へのダメージは深刻だ。
すすきのの第3グリーンビルにある「新ラーメン横丁」の店舗で働く女性は「稼ぎ時の9月にこれほどお客さんが少ないのは例がない」と嘆く。
「いつもは、昼時はどの店も一杯になってるんですけど、今はこの通りガラガラ。中国・台湾から来る外国人の影響は大きかったのですが、1割減ったと言われる修学旅行生も大きいですね。札幌は11月以降にお客さんが減ってしまうので、この時期に今の状態だとかなりこの先が不安です」
逆に考えると、いつもは混み合っている「観光地」として敬遠される人気店や観光スポットも利用しやすくなっていると考えることもできる。この機会に普段は行かない店に、気分を変えて立ち寄ってみてはどうだろうか。
復興割で訪問する客も増加中
北海道を代表する観光地でも、「余震が怖い」といったイメージから、予約をキャンセルする団体客が多かったという。
古くから温泉地として名高い登別温泉でも、地震後数日は停電で旅館が営業できなかったが、それ以外に直接的な被害はなかった。
観光コンベンション協会の担当者によると「地震の直後はやはり団体などを中心に結構な数のキャンセルがあったと聞きます」とする。ただ、現在は「復興割などがプラスに働いて、現在は逆に少しずつ増えているようです」と、政府による支援策の効果が表れていると話していた。
地震時に北海道にいた外国人旅行者は、避難に必要な情報にアクセスできなかったため困惑したケースが多かったと伝えられている。こうしたこともあり、震源から遠い地域でも、外国からの団体客で宿泊キャンセルが続発した。
「日本で最も国際的なリゾート」と呼ばれるニセコは、観光シーズンのピークではなかったこともあり、営業は限定的だったようだ。
地元の観光案内所のスタッフによると、「ニセコは冬の観光客が一番多くて、次に夏が多いんです。秋は比較的旅行者が少ないので目立った影響はありませんでしたが、それでも地震直後は団体客や修学旅行生の数が減ったと聞いています。今年の冬への影響は今のところなさそうです」とのことだ。
北海道を代表する人気観光スポットの旭山動物園でも地震直後は来園者が減少し、7日から1週間は通常の40%程度だったという。9月15~17日の三連休も昨年に比べるとマイナスの来園者となった。少しずつ従来通りのにぎわいを取り戻しているが、震災前の水準にはまだ至っていない。
「地震直後に大きく減少した来園者数については、少しずつ回復してきています。本園は現在通常通り営業しており、ご来園いただいたお客様に対して、これまでと変わらず楽しんでいただける環境を整えております(旭山動物園の担当者)」
秋の北海道は過ごしやすく食事が美味しい季節。事実、秋の魚など旬の素材はどれも言葉にできないほど美味しかった。近々の旅行先を考えている人には、北海道をお勧めしたい。今こそカモンベイベーHKD!