豊洲市場に移転した「寿司大」 10時間待ちも出た築地最終営業 - BLOGOS編集部
※この記事は2018年10月07日にBLOGOSで公開されたものです
築地屈指の行列店・寿司大の開店時間は、市場の食堂らしく早朝の5時。
その行列は、終電を使った客で夜中から延び始め、週末には5、6時間待ちも当たり前の異常な人気ぶりだ。
移転を前に最後の週末営業日となった9月29日(土)は、深夜2時に行列を締め切ったという。
その寿司大へ、最終営業日となる10月5日(金)に行ってみた。
19時から並んだ先頭客
22時頃に店に着くと、既に6人が列をなしていた。
先頭は19時から並んでいたという。
みるみるうちに行列は延び、1周目に店内に入ることのできる13人は23時で終了。
3時に行列を数えてみると60人を超えていて、4時には札止めとなった。
いよいよ暖簾が出て店内へ。
市場の新鮮なネタと軽妙に語られる"ネタ"
「お待たせしてごめんなさいね!」
「お疲れさまです!」
「何時に来たの?どこから?」
先頭のお客さんに「店の鍵を渡しておけばよかったね」と声をかけるところから始まり、府中から来たという母娘には「姉妹?」と冗談を飛ばす軽妙なトークは、築地の新鮮なネタにも負けず劣らず、寿司大の大きな魅力。
長い行列にもかかわらず、リピート客が絶えない理由はそこにある。
「場内の他のお店で食べたことはあるんですか?」
と聞かれた店長は、築地で働き始める前に一通り食べて回ったと語った。
「でも結構お店は変わっちゃったね」
豊洲移転を機にこの2年の間だけでも「豊ちゃん」「かとう」「江戸川」といった人気店が閉店した。
※「かとう」は経営者が変わったものの同店名で再開。豊洲では店名を改めて営業する
移転を前に市場関係者の心配
移転が目前に迫るにつれ、場内では不安の声が多く聞かれた。
主に語られていたのは、駐車場が決まらないことについて。
「建屋ができてるのに、今さら駐車場がいくつ必要か聞かれても…」
「電車が動いていない時間に移動するのに、駐車場が足りなかった…」
豊洲のことを質問すると多くの市場関係者は、
「行ってみないと俺たちも分からないんだよね」
と困った顔をした。
豊洲で寿司大の行列はどうなる?
築地では、長屋のような趣を残していた食堂街だが、豊洲ではすべてビルの中に入ることになる。
寿司大の店長は、
「お客さんが何時からビルに入れるか、俺たちもまだ分からないんだよね」
と困った顔を見せた。
市場関係者に広がっているのは、怒りよりもまず「どうなるか分からない」という目の前の問題への戸惑いだ。
10月11日に豊洲新市場が開場し、13日10時から一般向けの営業が開始される。
日本の食の台所には、どんな未来が待っているのか。
そして、寿司大名物の長い行列はまた見られるのだろうか。
【BLOGOS編集部:川島透】