「自分を愛して好きな道を歩んでいけばいい」りゅうちぇるが語る 自分の″普通″を貫く生き方 - BLOGOS編集部PR企画

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※この記事は2018年09月03日にBLOGOSで公開されたものです



「ジェンダーレス男子」の代名詞・りゅうちぇる。モデルのぺこと結婚後、今年2月には待望の第一子、リンク君が誕生し、一家の大黒柱としても輝きを放っている。

学生時代、自身の"個性"を偽ってつらい時期を過ごしていたというりゅうちぇるは、どのように「自分らしさ」を表現する術を身につけたのだろうか。9月8日、日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2018で「『性別』ってなんですか?」と題したセッションに登壇予定の彼に、これまでの歩みを語ってもらった。

「男だから」「女だから」ではなく、その人に向いてるか、向いてないか

――「ジェンダーレス」という言葉はすっかり当たり前のものになりました。男女の垣根を越えて自己表現をされるりゅうちぇるさんにとって、「性別」とはなんでしょうか

りゅうちぇる:僕はメイクもするし、可愛いものが大好き。でも女の子が好きで…っていうタイプなので、昔から男だから、女だからとか考えるタイプじゃなかった。

今も「男だから」「女だから」ではなく、その人に向いてるか、向いてないかで考えています。

―― 過去には、ご自身の「性別」について迷われたことがあったそうですね

りゅうちぇる:幼稚園の頃から男の子がする遊びはあまり好きじゃなくて、バービー人形みたいな、女の子がする遊びが好きでした。周りには自分のように女の子の遊びをしている子はいなかったから、「あ、自分って人と違うんだ。変わってるんだ」って感覚は小さい時からあったんです。

でも、だんだん大きくなるにつれて、周りの目を気にする様になってきて。"男の子だけど可愛いものが好き"という、ありのままの自分だと一人になっちゃうことに気づいてしまった。孤独になるよりも、周りの誰かに合わせて一緒にいた方が安心できると思って、「なんでみんな一緒の服装なの?」と感じながらも、自分を偽っていました。

学生時代って学校がめちゃくちゃ大事じゃないですか。だからここでしくじったら、もう人生が終わるって思っちゃって。大人になったらそんなことないって気づくけど、そんな余裕が学生の頃はなかったんです。

―― そこから、何をきっかけに自分を取り戻したのでしょうか

りゅうちぇる:そうやって自分を偽って過ごしていると、だんだん、心が死んでいくのがわかったんです。

「偽りのお友達に、偽りの自分。何も本物じゃない」と思うと辛くて。結局、孤独にならないように自分を偽っていたのに、孤独だったんですよね。

だから中学からの知り合いが誰もいない高校に進学したんです。新しい環境で、ありのままの自分を出して、一からスタートをきりました。

まずはSNSで自分の居場所を作って、「ちぇるちぇるランドの王子様 りゅうちぇる」ってプロフィールに書いて…自分の好きな世界を作ってみんなにそれを見てもらって、どんどん自分をアピールしたんです。それを見知らぬ誰かが評価して褒めてくれて。その声はとても力になりました。

価値観の違いからくる批判は時が経てばみんな忘れてしまう

―― 中にはネガティブな声もあったと思います。そんな時はどう対応していましたか

りゅうちぇる:いろんな事を言ってくる人もいたけど、ありのままの自分をさらけ出していると、本当の自分をわかってくれる“本物の友達”が増えてきたんです。それも自信になっていたので、僕は大丈夫でした。

こういうお仕事をしていると、りゅうちぇるってこういう人なんだろうな、こういう感じなんだろうなって思われてしまうのは「仕方がないな」って思っています。傷つくこともあるし、勘違いされて悔しいなって思うこともあるけど、僕ゴムみたいなハートなんで(笑)ふふふ(笑)



ーー 考え方が柔軟なんですね

りゅうちぇる:中には、何かを人に伝えたいがために、「自分はこうだったのに!」って不満をぶつけてくる人もいるけど、それって価値観が違うだけですよね。

もし僕がしたことに対して、誰かが「それはだめ!ありえない!」って思ったなら、その人はその価値観を大事にすべきだと思うんです。でも、それと同じくらい僕だって自分の価値観を大事にしたい。どんなに話し合っても、価値観の話は平行線で終わっちゃうので、そこまで熱くもならないかなぁ。

テレビに出たての頃は、「ビジネスカップル」って言われたし、結婚しても、「ビジネス婚だ」と言われて。でも子どもが生まれたらそういう批判を言ってくる人も減ったんです。結局、価値観の違いからくる批判は時が経てばみんな忘れてしまうし、最後には何も言われなくなるんですよね。

それを経験しているから、5年後10年後に僕の批判を続けている人はいないだろうし、それを上回る良いことを提供したいと思っています。

自分を愛して自分の好きな道を歩んでいけばいい



―― りゅうちぇるさんは「個性的」だと言われることも多いと思いますが、個性とはどういうものだと思われますか?

りゅうちぇる:Twitterでも、本当にたくさんの人に言われるんです。「私には個性がない」とか、「夢がない」ないとか。でも、それぞれ絶対ある。

みんなに「好きな事は?」と聞くと、それぞれ答えてくれる。僕は「じゃあそれをしてみたらいいじゃん!」って思ってるんです。きっと、自分を諦めちゃってたり、自分を愛せていないから、「やりなよ!」って言われても「ん~」ってなっちゃうのかな。

自分を信じて何かをやるのは勇気のいる事だけど、自分のしたい事、自分のやりたい事を見つけて自分を愛し続けてあげなきゃ、何も繋がらないし、何もできない。

その自分のやりたい・なりたい姿が周りにとって当たり前になることがあるかもだから、自分を曲げずに続けて行くっていう強さをもって欲しいって思っちゃう。

僕は何か考えてたわけではないので、偉そうなことは言えないんですけど、自分の好きな道を歩いていたら運良くお仕事ももらえて、ぺこりんにも出会えた。だから、難しいかもだけど、自分を愛して自分の好きな道を歩んでいけばいいと思うんです。

子どもが生まれてわかった 親の気持ち



―― 結婚してから、心境に変化はありましたか

りゅうちぇる:ぺこりんは女の子っぽいありのままの僕を好きになってくれたんです。彼女はすごく可愛いけど、中身はサバサバして男らしくて。そんなありのままの僕たち同士が好きで。結婚しても名字が変わっただけで何も変わらなかったです。でも子どもができて変わりました。

―― 一番変化が大きかったのは?

りゅうちぇる:「リンクとぺこりんの笑顔を守っていこう、守っていきたい、守らなきゃ」と思うようになったことです。「こうしなきゃ」と決めたわけじゃなくて、自然と湧き出てきました。

これからこの男らしい?気持ちはどんどん増えていくと思うし、子どもが生まれて、僕たちももう少し慎重に行動しなきゃダメだと思っていますね。



―― 学生時代、ご両親とスタイルについて意見の食い違いがあったそうですね

りゅうちぇる:高校生の時は、毎日メイクをしていたから、「普通の男の子はこんなことしないよ」って言われていました。

でも、「普通って何?僕の普通がこれなだけで、別にそれぞれの普通って他者と共有するものじゃないし。なんでそっちの普通をこっちの普通にしたがるんだろう?」って思ってました。だから、それでもやめずに自分らしくしていました。

―― 親になってみて、その時のことをどう感じますか

りゅうちぇる:やっぱり親は子どもが心配だから色々言ってしまうんですね。当時、僕が原宿に行くって言ったら、お母さんは「原宿に行ったらもっと派手になるからダメ」って言ってたんですけど、お母さんも寂しいから、心配で止めてたんだなってわかりました。

僕だって、「リンクが大人になってニューヨークに行く~とか言い出したらどうしよう!」って赤ちゃんの今でも思っちゃうし。離れちゃうのはやだな~って思っちゃうから(笑)

―― ご両親との考えの違いはどうやって埋めていったのですか

りゅうちぇる:僕は自分がやりたいことに対して真剣だってことを態度で示しました。あなたが何を言おうと、僕はこれをするんだって示したんです。

僕の場合は好きな服装やスタイルを貫いて、高校を卒業したら上京するという事でした。そのために高校3年間でお金を貯めて、これだけ真剣だって示しました。

上京して、大切な友達に出会えて、運命の人にも出会えて、自分の好きなことを追いかけて、すごく幸せだよって。たくさん止められたけど、今の自分の姿を親に見せたことで、親も自分のことを認めてくれたと思います。

小さい頃の「自分を好きな気持ち」を忘れないで



―― 「性の個性」は家族に対しても話す事が難しいテーマです。旧来のジェンダー観に縛られないために、何が必要だと思いますか

りゅうちぇる:やっぱり、自分を愛することによって周りの接し方なども変わってくると思っています。

恋愛でフラれてしまった時とかでも、「あ~自分がこんなんだからだ」って思わずに、「あ!この人じゃなかったんだ!」って思えるんですよね、自分を愛していたら。

小さい時はみんな自分のことが大好きだし、自分ならなんでもできると思ってて、めちゃくちゃ大きな夢を語ったりするじゃないですか。でも、それをいつしか忘れちゃう。そのすごくキラキラしていて輝いていた時代を忘れちゃうのはもったいない。

僕は自分をただただ愛して自分の進む道を信じてきて、今の僕になった。色々考えちゃうと「無理かも~」ってなるけど、皆さんもありのままの姿で進んで欲しいと思っています。

【りゅうちぇる】
タレント・歌手。1995年9月29日生まれ、沖縄県出身。ヘアバンドと個性的なファッションと愛されるキャラクターで注目を集め、バラエティ番組などに彼女である、読者モデルの「ぺこ」と多数出演し、2016年12月にはぺこと入籍。2018年2月より「自分の色を取り戻そう」をテーマに音楽活動を本格的にスタートさせ、7月の第一子「リンク」くん誕生に際しては、「誰でもない生き方でありますように」と息子にあてたメッセージソング「Link」を発表し、話題となっている。

りゅうちぇるさん登壇「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム 2018」

「おとこ」と「おんな」だけじゃ語れない人生。性別の「枠」にとらわれない多様な生き方、新しいジェンダー観を探る。(登壇者:りゅうちぇる、椎木里佳、蓮見勇太、井土亜梨沙)

登壇セッション:「性別」ってなんですか?
日時:2018/09/08(土) 11:00~13:00
場所:青山学院大学 15号館1階 ガウチャー記念礼拝堂
アクセス:東京都渋谷区渋谷4-4-25 東京メトロ(銀座線・千代田線・半蔵門線)「表参道駅」より徒歩5分
チケット:ソーシャルイノベーションフォーラム2days
     一般4,000円、学生1000円、高校生以下無料
     購入は右記URLから→https://eventregist.com/e/sif2018